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大学・研究所にある論文を検索できる 「トランスゴルジネットワーク及び分泌小胞塊に局在するタンパク質は、ショ糖欠乏条件で分解される」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

トランスゴルジネットワーク及び分泌小胞塊に局在するタンパク質は、ショ糖欠乏条件で分解される

小田, 大和人 ODA, Yamato オダ, ヤマト 九州大学

2020.09.25

概要

植物の小胞輸送系は小胞体に始まり、中間に存在するゴルジ体、それに引き続くトランスゴルジネットワーク(TGN)を経由する。ゴルジ体では、小胞体上のリボソーム上で合成されたタンパク質の修飾や細胞壁多糖の合成が行われる。TGNはこれらが細胞壁や細胞膜、液胞へと、輸送・選別される際に分岐点となる非常に重要な細胞小器官である。TGN以降の輸送系には、単独の輸送小胞のほか、分泌小胞塊(SVC)が知られている。

 SUT2は、TGNに局在するタバコのショ糖輸送体である。ショ糖欠乏条件にさらされた対数増殖期のBY-2において、タバコSUT2量が著しく減少することが判明した。また、SNAREタンパク質であるタバコSYP41はTGNとSVCに局在するが、SUT2と同様に、ショ糖欠乏条件にさらされた対数増殖期のBY-2において減少することが明らかとなった。さらに、通常の培地条件ではSCAMP2-mRFPはTGN、SVC及び細胞膜に局在するが、ショ糖欠乏条件下においては、細胞膜上のSCAMP2-mRFPは分解されないものの、TGN並びにSVCに局在するSCAMP2-mRFPは液胞で分解されることが判明した。このように、TGNやSVCに局在するタンパク質はショ糖欠乏条件で選択的に分解を受けることを明らかにした。

 しかし、ショ糖欠乏条件において、TGNそのものが分解されるか否かは不明であった。そこで、FM1-43にBY-2をさらし、共焦点蛍光顕微鏡観察を行うこととした。FM1-43はエンドサイトーシス経路によってBY-2内部に取り込まれ、取り込み開始から約30分後にTGNに到達する。このとき蛍光顕微鏡下においてTGNは緑色のドット状構造として観察されることが報告されている。このドット状構造の数を解析したところ、ショ糖存在条件、ショ糖欠乏条件のいずれにおいても、30個から40個のドット状構造が観察された。このことは、ショ糖欠乏条件にさらされたとしても、TGNそのものは分解されないことを示していた。

 以上のように、ショ糖欠乏条件においてTGN自体は分解されないものの、TGNやSVCに局在するタンパク質は分解される。TGNやSVCにはタバコSYP41にように、輸送*選別や小胞膜の融合に深くかかわるタンパク質が存在する。それゆえに、TGN上のタンパク質が分解されることは、ショ糖欠乏条件においてTGNの機能変化を引き起こし、輸送経路に変化をもたらす可能性を示唆している。

 細胞壁は多種の多糖により構成されているが、重要な構成成分の一つにペクチンがある。ペクチンは、細胞壁のセルロース骨格を架橋し細胞壁を安定化させる役割を果たす。そこで、ショ糖存在、ショ糖欠乏条件の両条件におけるペクチンの細胞壁蓄積量や培地画分への蓄積量を解析した。ショ糖存在条件では、細胞壁画分に蓄積したベクチン量は経時的に増加したものの、ショ糖欠乏条件では、細胞壁に蓄積するペクチン量の増加は観察されなかった。培地画分に分泌されるペクチン量は、ショ糖存在条件、欠乏条件のいずれにおいても変化しないことが判明した。3-Deoxy-D-manno-oct-2-ulosonic acid(KDO)は、ペクチンを構成する糖の—である。そこで、KDOとKDOがアジド化されたKDO-N3を用いてパルスチェイス解析を行った。KDO-N3はCy3-alkyneによるクリック反応を用いて可視化した。ショ糖存在条件では、KDOによるチヱイスの開始後、0時間から5時間にかけて、ゆっくりとではあるがKDO-N3が細胞壁に蓄積していく様子が確認された。また24時間以内にKDO-Njは分解されKDOに置き換わった。その一方で、ショ糖欠乏条件では、チェイス開始直後には細胞壁にKDO-N3が蓄積しており、4時間以内にすべてKDOに置き換わった。以上のことから、ショ糖欠乏条件では、ペクチンの合成速度および分解速度がともに増大し、釣り合うことによって、細胞壁にペクチンが蓄積しないと考えられた。

 さらに、ショ糖存在条件、ショ糖欠乏条件の両条件において、細胞外へ輸送されることが明らかとなっている、細胞外分泌型スポラミンや、多糖分解酵素、糖エステルの分解酵素の分泌量を解析したところ、いずれの条件においてもこれらのタンパク質の分泌は抑制されないことが判明した。

 以上の結果は、BY-2細胞がショ糖欠乏にさらされた際、TGNおよびSVCの機能変化とともに輸送物質の変化を引き起こし、エネルギー欠乏に対応していることを示していた。

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