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大学・研究所にある論文を検索できる 「Dendrimer-supported Synthesis of Poorly Soluble π-Conjugated Molecules」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

Dendrimer-supported Synthesis of Poorly Soluble π-Conjugated Molecules

藤木, 秀成 名古屋大学

2023.07.20

概要

学位報告4

別紙4
報告番号








論文題目
















Dendrimer-supported Synthesis of Poorly Soluble π-Conjugated
Molecules
(デンドリマー担体を鍵とする難溶性 π 共役分子の合成)
藤木 秀成

論 文 内 容 の 要 旨
芳香族高分子やナノグラフェンに代表されるπ共役分子は材料科学や生命科学などの多くの
分野で活用されている分子群である。しかし、多くのπ共役分子は芳香環からなる平面性の高い
分子構造に起因して分子間相互作用が強く働くため、溶媒中において凝集し難溶性となることが
知られている。現在の有機合成化学における変換や解析は主に溶液状態で行われるため、これら
難溶性π共役分子の精密な合成や液相での物性測定は困難であるとされてきた。この問題に対す
る解決法として、従来はπ共役分子の主骨格に多数のアルキル基やアルコキシ基などを修飾基と
して導入することによって凝集を抑制し、合成や取り扱いを容易にする手法が用いられてきた。
しかし、多数の修飾基を導入することによって引き起こされる望まない物性変化や合成の多段階
化が問題とされていた。この課題を解決するために申請者は、主骨格が剥き出しのπ共役分子を
可溶な状態で合成する手法の開発に取り組んだ。具体的には、多数の規則的な分岐をもつ樹状構
造分子であるデンドリマーを担体として用いてその上で難溶性π共役分子の合成を行うことで、
デンドリマーの立体障害によりπ共役分子の凝集を抑制するという合成手法を設計した。申請者
は、単一の合成戦略によって多様なπ共役分子を主骨格無修飾の状態で合成し、水を含む様々な
溶媒へと溶解させることで、主骨格無修飾のπ共役分子を合成•応用する際に必要となる合成手
法を確立した。本論文は以下の三章から構成される。
第一章では、デンドリマー担体を用いた主鎖無修飾芳香族高分子の合成を論じている。ポリア
リールアルキルエーテル骨格からなり 18 本の分枝型長鎖アルキル基を有するデンドリマー担体
独自に設計し、デンドリマー中心に導入されたヨウ化フェニレン部位を起点とした連鎖重合反応
を行うことで主鎖無修飾のポリチオフェンを得ることに成功した。このポリチオフェンは主鎖が
無修飾であるにも関わらずヘキサンやクロロホルムをはじめとする多くの有機溶媒に対して高
い溶解性を有していることが明らかになったため、溶液状態での光物性も調査した。この主鎖が
無修飾のポリチオフェンは、デンドリマー担体を切り離すことによって完全に無修飾のポリチオ
フェンへと一段階で誘導することも可能である。続いて、本手法の一般性を確かめるために、同
様のデンドリマー担体を用いて合計で 5 種類の主鎖無修飾芳香族高分子の合成を達成し、それら
の光物性に関しても明らかにした。本結果は、申請者によって提案されたデンドリマーを担体と
して用いる合成手法が芳香族高分子を主鎖無修飾の状態で合成するための一般的な手法となり

学位関係

うることを明確に示している。さらに申請者は、デンドリマーにエステル結合を介して連
結された主鎖無修飾のポリチオフェン部位をシリカゲル表面やタンパク質へと共有結合的
に移し替えることにも成功した。本結果は、デンドリマー担体上で合成された分子が、他
の手法では合成が困難な難溶性芳香族高分子を望みの対象へと導入するための「試薬」と
して活用できる可能性を示しており、今後の難溶性芳香族高分子の応用展開に寄与する成
果であるといえる。
第二章では、デンドリマー担体による主鎖無修飾ポリチオフェンの水溶化について論じ
ている。無修飾の芳香族高分子は有機溶媒にすら難溶であるため、水溶性を付与するのは
更に困難であるとされてきた。第一章で用いたデンドリマー担体は表面に多数の長鎖アル
キル基を有しているため、低極性溶媒に対する高い溶解性を付与することができる一方で、
高極性有機溶媒や水に対しては不溶である。そこで申請者は、第一章で開発したデンドリ
マー担体の表面に極性官能基を多数導入することによって、無修飾芳香族高分子の凝集を
防ぎながら水溶化するという手法を提案した。実際に、デンドリマー表面に 18 個のカルバ
メート部位を有するデンドリマー担体を合成し、その上で連鎖重合反応による無修飾ポリ
チオフェンの合成を行った。それによって得られたデンドリマー連結ポリチオフェンは、
主鎖が無修飾であるにも関わらず極微量のメタノールを添加した水溶液に対して可溶であ
ることが明らかになった。さらにこの分子は、ヘキサンのような低極性溶媒から水までの
あらゆる極性の溶媒に対して高い溶解性を有するという興味深い知見が得られた。本成果
は、主鎖無修飾かつ水溶性のポリチオフェンを世界で初めて合成した例であるとともに、
主骨格無修飾の難溶性π共役分子を水溶化させる際の有用なガイドラインとなりうる。
第三章では、ナノグラフェンなどに代表される平面的なπ共役分子を主骨格無修飾の状
態で合成する手法について論じている。第一章、第二章ではポリアリールアルキルエーテ
ル構造からなるデンドリマー担体を用いて芳香族高分子の合成を行っていたが、このデン
ドリマー担体は酸化的な反応条件において容易に分解するという問題を有していた。多く
の平面状π共役分子は酸化的な反応によって合成されるため、本合成戦略によって合成可
能なπ共役分子の範囲拡大を指向し、酸化条件でも安定に存在しうる新たなデンドリマー
担体の設計と合成を行った。表面に 16 個の分枝型長鎖アルキル基を有するポリアミドデン
ドリマーを合成し、そこに連結されたヘキサフェニルベンゼン部位に対して酸化的な変換
反応を行うことによってヘキサベンゾコロネンを主骨格が無修飾の状態で合成することに
成功した。本研究により、デンドリマーを難溶性π共役分子合成の担体に用いる手法の一
般性が証明された。
以上、申請者はデンドリマーを難溶性π共役分子合成における担体として用いることに
よって、芳香族高分子やナノグラフェンを主骨格が無修飾の状態で合成することに成功し
た。本研究は、これまでほとんど研究がなされてこなかった可溶性の主骨格無修飾π共役
分子という分子群にアクセスするための一般性の高い方法論を提供するとともに、新たな
学術分野の礎を築くものである。

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