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大学・研究所にある論文を検索できる 「ウキクサ植物の概日リズムの種間・属間多様性の研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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ウキクサ植物の概日リズムの種間・属間多様性の研究

磯田, 珠奈子 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24077

2022.05.23

概要

地球上の多くの生物は地球の自転に伴う24時間周期の環境変動に適応するために概日時計を持っている。植物の概日時計は光や温度といった日周変動のある情報を入力し時刻合わせをすることで多くの生理現象を適切な時間・季節に行えるように制御している。植物の概日時計を構成する遺伝子ネットワークの構造は広く保存されているが、その一方で同種内や近縁種であってもその概日時計の性質には多様性が見られる。本研究では幅広い地域に分布するウキクサ植物の概日リズムを解析し、その多様性を系統的・地理的観点から理解することを目指した。

第1章では、異なる温度条件下における概日リズムの安定性の種間多様性を解明することを目的にした。低緯度から高緯度地域まで広範囲に分布するLemna属8種と主に低緯度地域に分布するWolffiella属7種に概日発光レポーターを一過的遺伝子導入し、20℃・25℃・30℃の温度条件下での種間の概日発光リズムを解析した。Lemna属の植物はすべての条件下で周期的な発光リズムを示したが、Wolffiella属の植物は高温連続明条件下で7種のうち5種が概日リズムを失うという現象が見られた。その一方で、高温連続暗条件下ではこのような概日リズムの消失は見られなかった。これらの結果から、ウキクサ植物の概日リズムの周期や安定性といった性質は、系統関係を反映して多様化していることが明らかとなった。また、Lemna属でも低緯度地域に分布するL. valdivianaが複数の条件下で不安定なリズムを示したことから、低緯度地域に分布するほど概日リズムが不安定になるという概日リズムの安定性と地理的な要因の関係性も示唆された。

第2章では、周期的な外環境に対する概日リズムの同調性の種間多様性を調べるために、第1章と同じ植物を用いて1日の長さを30, 24, 16, 12時間とした明暗周期下で発光リズムを測定した。1日の長さが24時間以上の明暗周期下ではすべてのウキクサ植物が同調したリズムを示した一方で、1日の長さが16時間、12時間の短い明暗周期下ではLemna属の植物はWolffiella属に比べて明暗周期に同調しにくい傾向が見られた。また、外界の明暗周期への同調のしやすさは同属内であっても種間で大きな多様性が見られた。第1章で示されたLemna属の概日リズムの安定性と合わせて考えると、明暗周期への強い同調性と概日リズムの不安定性に関連があることが示唆された。第3章では、Wolffiella属の植物の1細胞概日発光リズム測定系を確立した。Wolffiella属の1種であるW. hyalinaを用いて行い、長期的な1細胞概日発光リズム測定が可能となった。またW. hyalinaの低分子化合物の取り込みを検証し、培地中から非常に良く取り込むことを明らかにした。生理活性を有する低分子化合物を用いることで効率良く概日リズムの解析ができるため、概日リズムの分子機構の解明がさらに進むことが期待される。

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