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<論説> 会社の計算と外部的エンフォースメント(3)

弥永, 真生 筑波大学

2020.08.24

概要

論 説

会社の計算と外部的エンフォースメント⑶
─オーストラリア─

弥 永 真 生

1 オーストラリア証券・投資委員会(ASIC)
1997 年に、いわゆるウォレス委員会最終報告書 1)は、金融システムの安定と
消費者保護という 2 つの理念を掲げて、預金取扱機関、保険及び年金の監督を
主たる任務とするオーストラリア健全性規制委員会(Australian Prudential
Regulation Commission)と会社の規制、証券市場の誠実性の確保及び金融の
利用者保護を主たる目的とする会社・ 金融サービス委員会(Corporations and
Financial Services Commission)との創設を勧告し、会社・ 金融サービス委員
会は、当時適用されていたさまざまな行為及び開示に関する法律をつかさどる
権限を有するものとして制定法により創設されるべきであるとした。この勧告
をうけて、1998 年 7 月 1 日にオーストラリア証券・ 投資委員会(Australian
Securities and Investments Commission:ASIC)が創設された。
ASIC の権限とその所管は、Australian Securities and Investments Commission
Act, 2001(以下、
2001 年法)が規定しており、Corporations Act, 2001 のほか(2001
年法 11 条 1 項)、Insurance Contracts Act, 1984 及び National Consumer Credit
Protection Act, 2009 の一部の施行を任務としている。
2018 19 年度では、市場チームのうち、財務報告及び監査を担当しているの

1)

Wallis, S.(chairman), Financial System Inquiry Final Report, Australian Government

Publishing Service, 1997.

171

論説(弥永)

は 28 人(常勤換算)
、エンフォースメント局の市場エンフォースメント部門の
うち会社及びコーポレート・ ガバナンス部門を担当しているのが 36 人(常勤
換算)となっている 2)。
2 ASIC 創設前の財務報告監視
ニューサウスウェールズの会社問題委員会(Corporate Affairs Commission)
が 1976 年に行った調査によると、30%の会社が会社法の 1 つまたはそれ以上
の規定に違反しており、30%の会社がすべてのオーストラリア証券取引所の上
場規則に従っておらず、80%の会社は会計基準に完全には従っていなかったと
報告されている 3)。また、1974 年に、オーストラリア勅許会計士協会は公表さ
れた会社の 77 組の計算書類をレビューしたが 4)、その結果はオーストラリア勅
許会計士協会の 1984 年年次報告書 5)で初めて明らかにされた 6)。
また、1983 年会社・ 証券法制(雑改正)法 80 条による改正後 1981 年会社法
269 条 8A 項は、取締役は、計算書類または連結計算書類を、適用されるべき
承認された会計基準に従って作成しなければならないと定め、不遵守に対する
制裁は会社・証券全国委員会(NCSC)が担うことが予定されていた 7)。会社・
2)

ASIC, Annual Report 2018 19, p.230.

3)

Clarke et al.(2014)p.43.

4)

Australian Accountancy Profession Joint Submission(1982)
. 20 通の書簡が監査人である

会員に送付され、うち 11 通は軽微な問題に関するものであったとされていた。なお、オー
ストラリア勅許会計士協会は、1984 年にはレビューの範囲を信用組合及び住宅金融組合に
拡張するとし、1985 年には商業銀行及び相当額の大衆の資金が投資されるものに拡張する
とした。オーストラリア勅許会計士協会の年次報告書によると、1985 年には 101 組の財務
諸表が対象となり、59 通の書簡が監査人に送付され、そのうち 32 通は軽微な問題に関す
るものであった。1986 年には 164 組の財務諸表が対象となり、83 通の書簡が監査人に送付
された。1987 年には 130 組の財務諸表が対象となり、44 通の書簡が監査人に送付され、そ
のうち 24 通は軽微な問題に関するものであった。1988 年には 145 組の財務諸表が対象とな
り、64 通の書簡が監査人に送付され、そのうち 30 通は軽微な問題に関するものであった。
5)

Institute of Chartered Accountants in Australia(1984).

6)

Kestel et. al(1996)p.294.

7)

Parker et al.(1987)p. 243 244;Langfield Smith(1990)p. 19 25.

172

会社の計算と外部的エンフォースメント⑶

証券全国委員会は、
承認された会計基準の不遵守が会社法に違反する場合には、
公訴を提起し、または 1980 年証券業法 40 条または 1981 年会社法 574 条に基づ
き差止めを請求できることとされていた。もっとも、会社・証券全国委員会は、
まず、取締役に対して不遵守の事情についての説明を求め、その説明に満足し
ない場合であっても、会社の取締役が、これからは会社法の要求に従う旨を書
面で約束し、会社法に従った計算書類を会社の株主に配布し、かつ、会社・
証券全国委員会の受任者(Delegate)8)にその計算書類を提出した場合には、刑
事訴追を行わないという方針をとっていた 9)。
しかも、会社・ 証券全国委員会には財務報告をレビューするために平均し
て 2 人のスタッフしかおらず 10)、オーストラリアの規制当局は、1980 年代には、
会社法の規定や会計基準の不遵守にほとんど対応しようとせず、実務に対する
実効的なモニタリングやサンクションの賦課には最低限の資源しか割こうとし
なかったという評価もある 11)。
1991 年から、オーストラリア証券委員会(ASC)は、財務報告監視プログ
ラム(financial reporting surveillance program)を開始した 12)。このプログラ
ムは、会社法附則 5、適用されるべき会計基準及びオーストラリア証券取引所
の上場規則の遵守を促進し、財務諸表が真実かつ公正な概観を提供することを
目的としていた。レビューの対象となる財務報告は、告発、首尾一貫しない財
務報告の実務、付託、除外事項付監査報告書、報道及びオーストラリア証券委
8)

各州の会社問題委員会が受任者とされていた。

9)

See NCSC Media Release 66/87, Non compliance with Approved Accounting Standards(7 

December 1987), reproduced in:Butterworths Company Law Bulletin, No.1, 1988, p.4 5.
10) Kestel et. al(1996)p.294. また、Parker et al.(1987)p.243 も参照。
11) Walker(1994)
.
12) なお、オーストラリア勅許会計士協会もその会員が財務諸表の作成者(つまり、勅許
会計士が事業体の取締役である場合)または監査人として適切に業務を遂行することを促
進するという観点から財務諸表をレビューするプログラムを実施していた(Kestel et. al
(1996)p.299 302)。また、オーストラリア勅許会計士協会及びオーストラリア公認会計士
協会の品質管理プログラムにおいても、財務諸表のレビューがその中核を成していた
(Kestel et. al(1996)p.302 303)。

173

論説(弥永)

員会の他の情報収集活動の結果に基づいて選定されていた。まず、財務諸表が
会社法附則 5 及び会計基準を遵守していることを確かめ、営業報告書が会社法
の関連規定に従っているかどうかを机上レビューする。このプログラムでは財
務報告書を主としてレビューするが、さらに情報が必要な場合には監査調書も
対象とされた。そして、何らかの不整合が発見されたときには、会社の取締役
に対して説明を求める書簡を送付し、その写しを監査人に送付した 13)。このよ
うな場合、多くの会社は財務報告書を修正したが、情報が欠けている情報がよ
り重要である場合には、オーストラリア証券委員会は、会社に対し、株主及び
証券取引所に対して補足的情報を送付するように命じた。さらにより深刻な場
合には、財務報告書の再発行が求められた。そして、オーストラリア証券委員
会は、法に従った計算書類の作成を取締役に強制する裁判所の命令を得ること
もできた。以上に加えて、真実かつ公正な概観の要求に違反した取締役を起訴
し、取締役が刑事罰に課されることも想定されていた。
このように、最終的には、法的なエンフォースメント手段をとることになり
うるが、その過程で、識別された重要な欠陥が人々の目に触れるようになるこ
とが抑止力となることをオーストラリア証券委員会は狙っていた 14)。

対象会社

是正措置要求

1991 92

478

196

1992 93

546

215

1993 94

463

186

1994 95

303

107

1995 96

143

情報なし

(各年度の Annual Report から抽出)

13) Grant(1994)
14) Kestel et. al(1996)p.296.

174

会社の計算と外部的エンフォースメント⑶

年次報告書における開示は、年度によって精粗にばらつきがあるが、最も詳
細なデータを示した 1993 1994 年度版では以下のような細分化された情報が示
15)
されていた(公式な調査(investigation)手続きは 0 件であった)


上場会社上位 150 社
その他の上場会社

非上場公開会社

私会社

重大な是正措置要求

7

その他の是正措置要求

6

重大な是正措置要求

19

その他の是正措置要求

87

重大な是正措置要求

12

その他の是正措置要求

46

重大な是正措置要求

2

その他の是正措置要求

7

なお、1996 97 年度にはランダムチェックを止め、オーストラリア証券取引
所(ASX)から回付された 5 件を検査しているとしていた 16)
3 ASIC による財務報告監視プログラム
ASIC も、創設以来、財務報告監視プログラム(financial reporting surveillance
program)を実施している 17)。これは、ASIC は、会社法によってまたは会社
法の下で与えられた任務と権限を有し(2001 年法 11 条 1 項)、その任務の遂行
に必要であり、関連し、または合理的に付随することを行う権限を有している
こと(2001 年法 11 条 4 項)に基づくものである。
ASIC は、創設当初は、対象領域を絞ったレビューを行っており 18)、ASIC の
15) ASC, Annual Report 1993 94, p.52. なお、1994 95 年度では、重大な修正が求められた
事業体が 29
(うち、上場会社が 15、非上場会社が 14)
、その他の修正を求められた事業体が
78 であった
(ASC, Annual Report 1994 95, p.18 及び ASC, Media Release, Financial Reporting
Surveillance Programme(15 August 1995))。
16) ASC, Annual Report 1996 97, p.31.
17) Commonwealth of Australia(1999)p.29.
18) Commonwealth of Australia(1999)p.29. 1998 年には 180 社を対象として行った。

175

論説(弥永)

議長の David Knott は、2002 年 7 月 12 日に、ASIC は、2002 年 6 月 30 日に終了
した会計年度につき、選定された上場会社に適用するためのより厳格な監視手
法を開発していると表明した 19)。そのプロジェクトの主たる焦点は一連の特定
の会計基準 20)への遵守をレビューすることにあった。
ところが、この ASIC の動きを捉えて、議会の公共会計及び監査合同委員会
21)
の報告書(2002 年 9 月 18 日に下院と上院とに提出)
において、「当委員会は、

適切なレベルのサンクションと罰を伴う、財務報告監視プログラムは、会計基
準のエンフォースメントと 2001 年会社法の遵守において重要な意味を持つと
考えており、ASIC が財務監視の領域における活動のレベルを高める意図を示
したことを喜んでいる」とし(パラグラフ 3.96)

「当委員会は、活動レベルの
この増加が 1 回きりの(unique)できごとではなく、毎年なされ、かつ、すべ
ての上場会社がレビュー対象に選定される等しい可能性を有するような体系的
なプロセスを ASIC が進展させるよう勧める。会計基準の遵守を確保するのと
同時に、ASIC が財務諸表に含まれる情報が真実かつ公正な概観を提供するの
に十分であるかどうかも評価することが考えられる。」と述べられた(パラグ
ラフ 3.97)。
そこで、ASIC は、2003 年に新たな方針を採用することを公表した 22)。すな
わち、特定の業種または会社に焦点をあてたリスク・ ベースのレビューを行
うことに加え、2004 年までに、すべての上場会社の財務諸表全体が少なくと
も 4 年に 1 回はレビューされるように、このプログラムを拡大するという方針
をとるとされた 23)。ASIC は、レビューの対象となる会社をランダム・ サンプ
19) ASIC, MR 02 249 ASIC s accounting surveillance <https://asic.gov.au/about asic/news
centre/find a media release/2002 releases/02249 asic s accounting surveillance/>
20) AASB 1040 Statement of Financial Position、AASB 1018 Statement of Financial
Performance、AASB 1004 Revenue 及び AASB 1024 Consolidated Accounts.
21) Parliament of Australia(2002)
.
22) ASIC, MR 03 242 440 listed entities to be reviewed by ASIC <https://asic.gov.au/about
asic/news centre/find a media release/2003 releases/03 242 440 listed entities to be
reviewed by asic/>. See also Costa(2003).

176

会社の計算と外部的エンフォースメント⑶

リングとリスク・ ベースに選定を組み合わせて、選定するとし、会計基準不
遵守を理由として除外事項が付された監査報告書を受け取った会社を含めると
していた。このレビューはすべての会計基準への準拠性を網羅するが、市場の
状況と不適切な報告の趨勢の兆候に対応するため絶えずモニターされる 24)。そ
して、このような財務報告監視プログラムはプロアクティブな規制にとって不
可欠の構成要素であり、質の良い財務報告は投資者保護にとっても金融市場に
対する信認の促進にとっても決定的なものであると主任会計士の Pound は指
摘していた。
現在は、財務報告監視プログラムは以下のように実施されている 25)。まず、
市場における「ホット・ トピック」ならびに現在の会計及び開示の重要な問
題を反映したさまざまな規準に基づいて、レビューの対象となる計算書類は選
定される。いくつかの会社は ASIC の他の活動の結果として、また、寄せられ
た告発に基づいて対象に含められることがある。ASIC が会社に対して明確化

23) ASIC, MR 05 31 ASIC releases preliminar y results of 2004 05 financial repor ting
sur veillance project <https://asic.gov.au/about asic/news centre/find a media
release/2005 releases/05 31 asic releases preliminar y results of 2004 05 financial
reporting surveillance project/>では、2003 年度(約 400 社)と 2004 年度(約 400 社)とで、
上場会社の約半数について、会計基準の一般的な遵守性をレビューしたとされている。こ
れは、2005 年度においても、同様であり、約 440 社の上場会社について会計基準の一般的
な遵守性をレビューしたと報告されている(ASIC, MR 05 304 ASIC s 2005 06 financial
reporting surveillance program focuses on international accounting standards <https://asic.
gov.au/about asic/news centre/find a media release/2005 releases/05 304 asic s 2005
06 financial repor ting sur veillance program focuses on international accounting
standards/>)。他方、IMF(2006)は、オーストラリア証券取引所は上場会社による定期
的開示(年度報告書及び半期報告書)について、包括的なレビューを行っておらず、ローテー
ション及びリスク・ベースでのレビューを行っていないと指摘していた(p.24)。
24) Pound は、継続的なモニターによって、ASIC は潜在的な問題を先取りすることができる、
たとえば、会社の利益に対する圧力が長期にわたる環境をふまえて、ASIC は収益認識及
び繰り延べられた費用についての会計方針に焦点をあてることができると述べていた。
25) https://asic.gov.au/regulatory resources/financial reporting and audit/directors and
financial reporting/asics financial reporting surveillance program/

177

論説(弥永)

を求める必要があると考える争点がない限り会社は自らがレビューの対象とさ
れていることは知らない。
そして、選定された計算書類は、ASIC の職員によって、会社法及び会計基
準を遵守しているかを判断するためにレビューされる。ASIC は不遵守が生じ
うる領域を検討し、その重要性を評価する。
ASIC が机上レビューの結果、懸念を抱いたときは、ASIC は会社に対してさ
らに情報を求めて連絡をすることがある。ASIC は会社にその懸念を伝えて、
適用した開示及び会計処理方法を明確化するために回答を求める。 ASIC は、
会社からの回答を検討し、さらに議論が必要かどうか、ASIC の懸念が払拭さ
れたかどうかを判断する。懸念が払拭された場合には、さらなる措置はない。
他方、ASIC が依然として懸念をいただいているときは、財務諸表の再発行が
求められることもあるし、将来の財務諸表に修正を反映することのみが求めら
れることもある。
Brown 及び Tarca の調査によると、1998 年から 2004 年の間に、42 の案件の
うち、財務諸表の再発行が求められたのは 5 件、補足的書類または公表の実施
が求められたのが 7 件、公表の実施 / 暫定的公表の修正及び将来の財務諸表に
修正を反映することが求められたのが 7 件、将来の財務諸表に修正を反映する
ことのみが求められたのが 21 件、裁判の結果、是正措置が要求されなかった
のが 2 件となっていた。なお、42 件のうち、裁判所の判断を ASIC が求めたの
は 6 件であり(うち、4 件で ASIC の主張が支持された)、ASIC に対して会社
が一定の対応を約束した(強制可能な約束[enforceable undertaking]
)事案
が 4 件あった 26)。
なお、報告書提出時期の終わりに、ASIC は監視プログラムでの検出事項を
公表する。これによって、焦点を当てるべき現在のトピック、及び、財務報告
の質の向上という目的をもって ASIC が認識した遵守のレベルを財務報告書の
作成者が知ることができるようにすることが目指されている。

26) Brown and Tarca(2007)p.451, Table 5.

178

会社の計算と外部的エンフォースメント⑶
サーベイランスの結果、重
要な修正を行った発行体

レビュー対象会社数
上場企業
その他の
非上場事業体 大規模私会社
合計 上位 500 社 上場会社
(平均頻度) (平均頻度)
(平均頻度)(平均頻度)

2018 19 294

2017 18 320

2016 17 320

205

350
2015 16
(2.4 年)
以上

400
(2.9 年)
以上

80

167

35

35

(9 年)

(25 年)

2013 14 525 (3 年)

(9 年)

(25 年)

2012 13 750 (3 年)

(12 年)

2011 12 450 (3 年)

(12 年)

2014 15

3%

うち、8 の事業体で
併せて、2 億 3250 万
オーストラリアドル
の純資産及び利益の
修正

4%

う ち、14 の 事 業 体
で併せて、16 億オー
ストラリアドルの純
資産及び利益の修正

4%

う ち、11 の 事 業 体
で併せて、9 億 3700
万オーストラリアド
ルの減損その他の評
価損の認識

4%

う ち、14 の 事 業 体
で併せて、17 億オー
ストラリアドルの資
産の減損を認識。
う ち、10 の オ ー ス
トラリア証券取引所
上場会社で併せて、
6 億 3000 万オースト
ラリアドル以上の利
益の修正

100
(54 年)

4%

300
(90 年)
(多くの利用者
がいる 100 社に
ついては毎年)

(ASIC の各年度の Annual Report より抽出)

4 財務報告パネル
財務報告パネルは、2004 年会社法及び経済改革プログラム(監査改革及び
会社開示)法(Corporate Law and Economic Reform Program(Audit Reform
and Corporate Disclosure)Act, 2004)に基づいて 27)創設され、財務報告に関す
179

論説(弥永)

る事柄に関する紛争を裁判所における法的手続きを開始することなく、解決す
ることを目的としていた。財務報告パネルは効率的で費用と効果とが見合った
ように紛争を処理する方法、必要な専門性を有する者に審理してもらう機会を
与え、裁判所が会計基準を十分に理解していないのではないかという懸念を払
拭するように設計された。
ASIC と会社との間の紛争に決着をつけるためにパネルを導入するという構
想は、ASIC v. MYOB 事件 28)で、2002 年に ASIC が敗訴した後に現れた。この
事件では、議会による会計基準の不許容 29)がなされた場合に、会社がその会計
基準を用いることができるかどうかが争われたものである。MYOB は、AASB
1015 に基づいた会計処理を行ったが、ASIC はそれは不適切であるとして、裁
判所の判断を求めた 30)。議会は会計基準の本体から当該条項を削除したものの、
会計基準の内容を参照する経過規定を削除しなかったことに着目して、裁判所
は ASIC の主張を退けた。
たしかに会計基準は法であるが、他の法律と異なった方法で書かれているこ
とから、この裁判において、会計の専門家たちは、法的議論の論調に対して懸
念を示し、論争の双方当事者の中には裁判所の判断によらない他の紛争解決方
法を選好するものもあった。また会計基準の解釈が争われる典型的な事例では
なかったものの、ASIC としてはこのようなことが再び起きないことを望ん
だ 31)。ASIC は、HIH 事件に関する王立委員会に対して提出した文書 32)の中で、
会計基準の適用が困難さを生じさせている場合に、低コストで、迅速で、かつ、
27) 2001 年会社法の Part 2M.3 及び 2001 年オーストラリア証券・ 投資委員会法の Part13。
28) ASIC v. MYOB Ltd,[2002]21 VSC 34.
29) 弥永(2008)23 24 頁
30) 詳 細 に つ い て は、 た と え ば、Groen and Lanis(2004)
;ASIC, MR 02/95 Decision on
MYOB accounting treatment <https://asic.gov.au/about asic/news centre/find a media
release/2002 releases/0295 decision on myob accounting treatment/>
31) Ravlic(2012)
32) ASIC(2002)
. ASIC は財務報告パネルの導入を支持していたと指摘されている(Brown
and Tarca(2005)p.74)

180

会社の計算と外部的エンフォースメント⑶

決着をつける(decisive)紛争解決メカニズムが必要であるとし、会社による
会計基準の不遵守に関する紛争をすばやく解決する権限が ASIC に与えられる
べきであると主張した 33)。
財務報告パネルへの付託は、ASIC(会社法 323EC 条)も(ASIC の同意を条
件として)会社(会社法 323EG 条)もすることができ、申立てをうけて、財
務報告パネルはその申立てが管轄の範囲内かどうか、及び、手続きを開始する
かどうかを検討する。手続きを開始する場合には、議長は、重要な利益相反が
ない、3 人のメンバーを担当パネルとして任命する。付託した企業の要請がな
ければ、手続きは非公開で行われる。付託の日から 60 日以内に 34)、財務報告
パネルは財務諸表をレビューし、両当事者(及び、企業が上場会社または上場
登録スキームである場合には、市場開設者)にその結論の写しを交付する。財
務報告パネルの判断は ASIC も会社も拘束せず、当該紛争は裁判所で争うこと
ができるが、会社が適用される会計基準に従ったかどうかを判断するにあたっ
て、裁判所は、財務報告パネルの結論を考慮に入れることができるものとされ
ていた(会社法 323EM 条)35)。
しかし、2010 年 7 月までの間、財務報告パネルに付託された事件は 1 件にと
どまり 36)、連邦政府は、予想したよりも付託が少なかったとして、財務報告パ
ネルを廃止する旨の公表した。しかし、2010 年 8 月に ASIC が 4 件、財務報告
33) また、適格性を有する監査人の報告や通報なしには不遵守を発見することは難しいか
ら、法令違反を報告する監査人の義務を強化すべきである、監査基準にも会計基準と同様
の法的拘束力(force of law)が与えられるべきであるなどとも主張した。
34) 4 件の事件については、2 カ月をわずかに超えた期間で、企業にとっても ASIC にとっ
て も わ ず か な 費 用 で、 判 断 を 下 し た と さ れ て い る。Financial Reporting Panel, Annual
Report 2010 2011, p.1
35) 財務報告パネルは会計、監査、ビジネス、会社経営または法律についての学識経験を
有する非常勤のメンバーから構成されていた。2011 年時点では、Ken McKenzie(Chairman,
New South Wales)
, David Boymal(Victoria)
, Michael Burgess(South Australia)
, Roger
Cotton(Victoria), Allen Craswell(Queensland), Brigid Curran(Queensland), Mar tin
Fensome(Victoria), Bill Palmer(South Australia)及び Ted Rofe(New South Wales)とい
う 9 人から構成されていた。

181

論説(弥永)

パネルに付託したため、政府は財務報告パネルを廃止するかどうかの判断を延
期した。2011 年 11 月に、連邦政府は、意見を求めて、ディスカッション・ペー
パー 37)を公表した。そこでは、① 財務報告パネルの現在のプロセスと権限を
維持する、② ASIC の同意なく企業が財務報告パネルに付託できるようにする
ことを含め、付託プロセスを手直しする、③ 財務報告パネルの任務を撤回し、
財務報告パネルを廃止するという 3 つの選択肢が示されていた。
これに対して、寄せられた意見は、財務報告パネルは報告事業体がその報告
上の要求事項をみたす、または紛争があったときに、ASIC と合意に達するイ
ンセンティブを与えるとして、財務報告パネルを維持することを支持し、かつ、
その多くは付託プロセスの手直しも支持した 38)。とりわけ、会計士団体は、
2011 年に財務報告パネルを存続させることが適切であるという回答を提出し
た。そこでは、財務報告パネルがあることによって、ASIC と会社とが争点を
解決することができる場が提供されることが理由とされていた。また、財務報
告パネルに監査人と ASIC との間の意見が対立している事項についても付託し
てはどうかという提案もなされた 39)。しかし、2012 年 2 月 7 日に、財務大臣政
務官である David Bradbury が、政府は、財務報告パネルを廃止するという当
初の決定を実施すると公表した。これは、財務報告パネルを維持し、それにつ
いて報告するコストは、付託がない以上正当化できないというものであった。
2010 年 8 月の後は 1 件も付託されておらず、付託プロセスを修正しても、付託
件数が必ずしも増加するわけではないというコメントがディスカッション・ペー
パーに寄せられたとも指摘されていた 40)。そして、Corporations Legislation
36) 2007 年 7 月に、ASIC が財務報告パネルに付託した事件が 1 つあったが、企業は ASIC
が適切であるという会計処理方法に変更したため、パネルの結論は示されなかった
(Corporations Legislation Amendment(Financial Reporting Panel)Bill 2012, Explanatory
memorandum, para.1.7)。
37) Future of the Financial Reporting Panel
38) Corporations Legislation Amendment(Financial Reporting Panel)Bill 2012, Explanatory
memorandum, para.1.10.
39) Ravlic(2012)

182

会社の計算と外部的エンフォースメント⑶

Amendment(Financial Reporting Panel)Bill 2012 の理由書では、財務報告パ
ネ ル へ の 付 託 の 数 が 少 な か っ た こ と が 廃 止 の 理 由 と さ れ、Corporations
Legislation Amendment(Financial Reporting Panel)Act 2012(No.118, 2012)
により、2001 年会社法及び 2001 年オーストラリア証券・ 投資委員会法中の財
務報告パネルに言及している規定が削除され、財務報告パネルは 2012 年 10 月
1 日に廃止された。
結局、財務報告パネルは 6 年間で 4 つの事件(ASIC に有利な判断を示した
ものが 2 件 41)、企業に有利な判断を示したものが 2 件 42))についてしか判断を
示すことができなかった。
5 ASIC による財務報告エンフォースメント
⑴ 不適切な財務報告に対応するエンフォースメント
ASIC は、刑事訴追を行い、また、差止請求、民事制裁金の賦課その他の民
事上の命令を発することを裁判所に求めることができる 43)。また、行政上の措
置を講ずることもできる。さらに、オーストラリアに特有なスキームとして強
制可能な約束があり 44)、裁判所に対する強制可能な約束のほか、ASIC に対す
る強制可能な約束というスキームが存在する。

40) Corporations Legislation Amendment(Financial Reporting Panel)Bill 2012, Explanatory
memorandum, para.1.11.
41) Sino Strategic International Limited;BBX Property Investment Fund Limited.
42) ING Real Estate Entertainment Fund;Oaks Hotels & Resorts Limited.
43) Australian Government(2017)参照。
44) さらに、適時開示義務(continuous disclosure)違反については、反則通知(infringement
notice)という行政罰を課す制度があり、これに応じて支払うと、民事制裁金の対象とは
ならない(日本における交通法規違反の反則金と罰金との関係とパラレル)。これについ
ては、たとえば、Desai and Ramsay(2011)及び Ramsay and Webster(2017)参照。

183

論説(弥永)

(Gilligan et al.(1999)p.428)
⑵ 強制可能な約束
強制可能な約束(enforceable undertaking)とは、事業体が ASIC に対して
する約束であり、ASIC が受け入れたものであるが、裁判所によって強制的に
実現されうるものである。強制可能な約束は、通常、ASIC が所管している法
令に対する違反があった場合になされる民事上または行政上の措置に代わるも
のと位置づけられている 45)。たとえば、ASIC は、2001 年法の下で ASIC が有
45) 2008 年までの状況については、Taing(2009)参照。

184

会社の計算と外部的エンフォースメント⑶

している任務または権限に関係する事項に関して強制可能な約束を受け入れる
ことができるが(2001 年法 93AA 条)
、財務報告は 2001 年法の下で ASIC が有
している任務または権限に関係する事項の 1 つである。
ASIC は、Regulatory Guide 100 Enforceable undertakings(RG 100)
(2015 年
2 月)を公表している。そこでは、ASIC は、些細なことについて強制可能な
約束を受け入れることはしないとし、この救済策が民事上または他の行政上の
措置よりもより実効的に規制目的を達成できる、より深刻な事案において受け
入れるかどうかを検討するとしている(RG 100.3)
。強制可能な約束は会社、
個人または責任を負っている事業体の側から提案することができ、または、そ
の当事者と ASIC との話し合いの結果として提案されることができる。ASIC は、
2001 年法 93AA 条の下ではある者に対して強制可能な約束をするように求める
権限を有しないし、また、強制可能な約束を受け入れるように強制されること
もない(RG 100.8)

ASIC に対して強制可能な約束をしようとする者は、まず、当該調査を担当
する ASIC の担当官と話し合いをしなければならず(RG 100.10)、提案がなされ、
強制可能な約束の内容が話し合われた後、その提案を受け入れるか拒絶するか
は ASIC の上級管理者が決定する(RG 100.11)

強制可能な約束の内容の決定の過程において、ASIC は、適切な規制上の成
果を得られるように、約束者と約束の内容を交渉する(RG 100.12)。なお、
ASIC がある特定の状況の下である強制可能な約束を受け入れたことは将来の
行動にとっての拘束力を有する先例であるとみなされるべきではない。ASIC
がある約束を受け入れるかどうかは、問題とされている行為によってその利益
が害されまたは害される可能性のある消費者及び投資者の立場、当該規制対象
者の将来の行為に与える影響、規制対象となっている者全体に対する影響及び
規制上の成果が可能限り迅速かつ費用対効果よく実現されることによる社会の
便益、ならびに、強制可能な約束がオーストラリアの金融市場及びコーポレー
トガバナンスの完全性及びそれに対する公衆の信頼を促進するかどうか、特に、
その者が当該約束につながった行為を行うことを将来抑止するかどうか、当該
185

論説(弥永)

行為及び当該行為を行うことから生ずる帰結をビジネス社会が気づくことを一
般的に抑止することを促進するかどうか、改善されたコンプライアンスプログ
ラムによって継続中の便益をもたらすかどうかという要素(RG 100.24 RG
100.25)に依存する(RG 100.13)

ASIC は、⒜ ある者に対する刑事手続の開始に代えて、⒝ 民事罰(pecuniary
civil penalty)の支払いを担保するために、
⒞ 当該事件が専門家団体への回付後、
⒟ 故意になされた非行、不正(fraud)もしくは高度の無謀さが認められる事
案(強制可能な約束の受け入れが緊急の保護的目的を達成するために最善であ
るときであって、将来の裁判を妨げない場合を除く)について、⒠ 些細なこ
とまたは⒡ 条件付救済命令が遵守されない場合の代替的な救済命令としては
強制可能な約束を受け入れることはしない(RG 100.21)

強制可能な約束は強制可能な約束を受け入れる権限を有する ASIC の上級管
理者が正式に受け入れるまでは効力を有さず、ASIC と約束者が強制可能な約
束の署名済原本を保管する(RG 100.14)
。その後、ASIC は強制可能な約束登
録簿において、強制可能な約束を閲覧に供し、強制可能な約束の内容が遵守さ
れているかどうかについて、その強制可能な約束によって要求されている専門
46)
家の報告書があれば、その内容も含めて、公に報告する(RG 100.15)


Table 3 では、開示との関係では、ASIC が受け入れる可能性がある(RG
100.32)強制可能な約束の例として、過去の誤ったもしくは誤導的な開示また
は約束者に責任がある継続的な誤解を正するために市場に知らせることや内部
的なコンプライアンス計画を立て、実施し、市場に対して定期的に報告するこ
とが挙げられている。
⑶ 近年の状況
2011 年 7 月 か ら 2019 年 6 月 ま で の 状 況 に つ い て は、ASIC enforcement
outcomes(2011 年 7 月∼ 2018 年 6 月)及び ASIC enforcement update(2018 年
46) RG 100.78 RG 100.93 も参照。

186

会社の計算と外部的エンフォースメント⑶

7 月∼ 12 月及び 2019 年 1 月∼ 6 月)に基づくと、財務報告に関するエンフォー
スメントは独立項目としてはデータが示されていない。したがって、すでにみ
たように、ASIC との討議に基づいて、ほとんどの場合、会社は、財務諸表の
修正を行っていると推測される。
そして、事後的なエンフォースメントは主として監査人に対するものとして
行われているようであるが、監査人に対するエンフォースメントの状況は以下
のようになっている(内容は、業務停止または監査人として業務を行わないこ
との約束などである)


刑事罰 民事制裁金 行政処分 強制可能な約束 合意
2011/7 2011/7

2

2012/1 2012/6

2

2012/7 2012/12

2

2013/1 2013/6

1

2013/7 2013/12

1

2014/1 2014/6

1

3

2014/7 2014/12

1

1

2015/1 2015/6
2015/7 2015/12

1
5

2016/1 2016/6

1

2016/7 2016/12

2

2017/1 2017/6

1

2017/7 2017/12

4

1

2018/1 2018/6

7

1

2018/7 2018/12

6

2019/1 2019/6

8

参考文献
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本稿は、科学研究費補助金 基盤 B(19H01427)の助成を受けて行っている
研究の成果の一部である。
(やなが・まさお 筑波大学ビジネスサイエンス系教授)

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この論文で使われている画像

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弥永真生(2008)

「商事法における会計基準の受容⑴オーストラリア」筑波ロー・ ジャーナル

4 号:1 33

本稿は、科学研究費補助金 基盤 B(19H01427)の助成を受けて行っている

研究の成果の一部である。

(やなが・まさお 筑波大学ビジネスサイエンス系教授)

189

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