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Controlled release and antimicrobial activity of cetylpyridinium chloride montmorillonite incorporated into a tissue conditioner

朝原 恵里加 広島大学

2021.03.23

概要















Controlled release and antimicrobial activity of
cetylpyridinium chloride montmorillonite
incorporated into a tissue conditioner
(粘膜調整材に配合した塩化セチルピリジニウム
担持モンモリロナイトの徐放特性と抗菌活性)
朝原

恵里加

(医歯薬保健学研究科

医歯薬学専攻)

共著者
阿部泰彦(広島大学)、槇田洋二(産業技術総合研究所)
長谷部

晃(北海道大学)
、津賀一弘(広島大学)
横山敦郎(北海道大学)

1

1.緒



粘膜調整材は,義歯の不具合で生じた粘膜の変形や傷を健康な状態に戻すことを目的として,
義歯に裏装し使用(数日~2 週間)する軟らかく弾性のある高分子材料である。本材は,アクリ
ル系ポリマーを主成分とする粉材と可塑剤を主成分とする液材を混和することでゲル化する。
そのため,本材は,多孔性で粘弾性を有するゆえに微生物(真菌,細菌)が付着しやすく,口腔
環境を悪化させ,抵抗力のない高齢者の全身への持続的な感染源となり,誤嚥性肺炎発症のリス
ク要因となっている。この問題を解決するため,微生物が付着し難く,汚染・劣化を防止できる
抗菌性粘膜調整材の開発が行われてきた。当研究室では,無機系抗菌剤「銀ゼオライト」を配合
した抗菌性粘膜調整材の開発を試みるも,抗菌成分が銀イオンゆえに塩化や硫化により粘膜調
整材が変色(黒褐色)し,また,抗菌性のコントロールが難しく実用化には至っていない。2015
年,広島大学,北海道大学,岡山大学,産業技術総合研究所の共同研究で,新規無機系抗菌剤「塩
化セチルピリジニウム担持モンモリロナイト(以下,CPC-Mont)(特許第 6570026 号)」を開
発した。Naoe ら(2020)は,本抗菌剤を応用した抗菌性粘膜調整材のプロトタイプを試作し,
抗菌性と生体適合性について検証した結果,実用化への可能性を示唆した。
本研究は,Naoe ら(2020)の研究成果を基に,粘膜調整材の粉材および液材の組成を決定,
さらに,粉材に対して無機系抗菌剤 CPC-Mont を 2 重量%配合し,粉液比 1.5 で混和した粘膜
調整材における CPC-Mont からの抗菌成分 CPC の徐放特性と抗菌活性との関係を明らかにす
ることで,抗菌性粘膜調整材の開発・実用化を目的とした。

2.材料および方法
2.1.粘膜調整材に配合した CPC-Mont からの抗菌成分 CPC の徐放特性について
CPC-Mont 配合粘膜調整材を厚さ 2 mm の円板状に成形,ガラスシャーレの底に貼り付けた
後,10 mL 試験液(蒸留水,0.2 M NaCl,0.2 M HCl)を添加し,小型恒温振とう培養機内で
37℃,毎分 77 回で 24 時間振とうした後,溶液回収用 PP チューブに全溶液を回収する工程を
28 日間繰り返した。回収溶液の CPC 濃度は,紫外可視分光光度計 UV-3100(PC)S(島津製作
所)で UV 測定した後,データ処理ソフトウェア Origin(OriginLab)を用いて UV スペクトル
解析し,波長 259 nm の吸光度を CPC 濃度として算出した。

2.2.CPC-Mont を配合した粘膜調整材の抗菌活性について
CPC-Mont 未配合および配合粘膜調整材を直径 20 mm,厚さ 1.6 mm の円板状に成形し,試
料とした。保管条件は,試料作製 2 時間経過後に 50 mL の滅菌生理食塩水(PBS)浸漬なし,
浸漬 7,14,21,28 日間とし,滅菌 PBS の交換は,7 日間ごとに行った。対象菌は,誤嚥性肺

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炎への関連およびデンチャープラーク形成への関与を理由とし,日和見感染菌の口腔から

Candida albicans(IFM40009),鼻腔から Staphylococcus aureus(ATCC6538P),う蝕原因菌
Streptococcus mutans(109c)とした。各試料の各菌(濁度 OD600 = 0.1 の菌培養液 5 mL)に
対する抗菌性試験において,浮遊菌および付着菌の生菌数を測定し,JIS Z 2801/ISO 22196
[細菌の増殖割合が 100 分の 1 以下(抗菌活性値 2 以上)で抗菌効果あり]により抗菌活性を
判定した。

3.結果および考察
3.1.抗菌成分 CPC の徐放特性について
各試験液における 28 日間の CPC 徐放特性は,1 日目で最も高い値(蒸留水:0.019 mg/cm2,
NaCl:0.019 mg/cm2,HCl:0.011 mg/cm2)を示し、2 日目以降漸減する傾向を示した。また,
各試験液における CPC 徐放量の各日での平均値では,1 日目 0.016±0.005 mg/cm2 に比較し,
2 日目 0.008±0.003 mg/cm2 に有意に減少し(Tukey 検定,P < 0.001),以降 28 日目 0.002±
0.000 mg/cm2 まで有意差は認められなかった。さらに,CPC 累積徐放量は,7 日間 0.048±0.013
mg/cm2,14 日間 0.070±0.015 mg/cm2,21 日間 0.087±0.016 mg/cm2,28 日間 0.102±0.016
mg/cm2 であった。
以上の結果の考察において,CPC 安全境界値としてヒト 1 日の摂取限界量 8.00 mg(医薬品
「CPC 含有トローチ」
)を参考値とした。すなわち,上下顎総義歯に抗菌性粘膜調整材を裏装し
た場合(最大床面積約 60 cm2)を想定し,CPC 徐放量を換算すると,1 日目で 0.96 mg,28 日
間の累積徐放量で 6.12 mg は,1 日摂取限界量 8.00 mg 以下となり,量的安全性に問題ない CPC
徐放特性であることが明らかとなった。

3.2.抗菌活性について

C. albicans において,いずれの試料も浮遊菌へ抗菌効果を示さず,また,浸漬なし,浸漬 7
日間試料が付着菌に抗菌効果を示したが,浸漬 14 日間試料は抗菌効果の判定基準にわずかに届
かなかった。S. aureus および S. mutans において,浸漬なし,浸漬 7 日間試料が浮遊菌および
付着菌を検出せず抗菌効果を示し,また,浸漬 14 日間試料が付着菌を検出せず抗菌効果を示し
た。
以上の結果より,CPC-Mont 配合粘膜調整材は,いずれの付着菌に対しても 14 日間は抗菌活
性を有していることが明らかとなった。また,実験 1 の結果より,CPC 累積徐放量は,1~7 日
間で 0.048 mg/cm2,8~14 日間で 0.022 mg/cm2 であることから,試料の両面積 6.28 cm2 で換
算すると,それぞれの CPC 徐放量 0.30 mg および 0.14 mg が各付着菌に対して抗菌効果を示

3

したと考えられる。

4.結論
以上より,CPC-Mont 配合粘膜調整材は,2 週間の抗菌活性を維持する Provable benefit を有
し,抗菌成分 CPC の量的安全性も担保されることから,抗菌性粘膜調整材として臨床応用が可
能であることを示唆された。

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