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大学・研究所にある論文を検索できる 「Novel BEST1 mutation in autosomal recessive bestrophinopathy in Japanese siblings」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Novel BEST1 mutation in autosomal recessive bestrophinopathy in Japanese siblings

山田, 理香 大阪大学

2020.10.31

概要

〔目的(Purpose)〕
 網膜の変性疾患である黄斑ジストロフィーは視力に重要な網膜の黄斑部が変性する病気であるが、その中の1つ常染色体劣性bestrophinopathy (ARB)は網膜色素上皮に存在するBestrophinタンパク質に異常が生じ、網膜下液と囊胞様黄斑浮腫が生じる疾患である。日本人のARBの報告は他国と比較して非常に少なく、本研究は20代の二卵性双生児の兄弟が同時期に同様の黄斑変性を生じたとても貴重な症例である。このたび臨床所見および臨床検査で診断がつかず、かつ遺伝性が疑われたため正確な診断と病態の解明を行うために遺伝学的検査を行った。
 
〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
 罹患患密である兄弟に大きな屈折異常はなく前眼部形態は正常であった。しかし網膜画像検査では、網膜の黄斑部にリポフスチンが散在しており、網膜下液と囊胞様黄斑浮腫囊が著明に認められ矯正視力は両眼とも1.0以下であった。網膜電図(ERG)検査でも網膜細胞の機能低下が認められた。なお患者の既往歴に特記事項はなく、血液検査でもぶどう膜炎関連抗体は陰性であった。
 遺伝学的検査を行うために罹患患者である二卵性双生児の兄弟とその妹、両親、母方の祖父母の計7名の血液を採取し、全エクソーム解析を行った。その結果、7名の被験者に約29万箇所の変異がみつかり、その中から常染色体遺伝子で発現頻度1%未満のもので検索すると668箇所の変異に絞り込まれた。また、その中から眼に関する変異で検索した結果、罹患兄弟にのみBEST1遺伝子にp.Phel51Cysとp.Ala160Proのbi-allelic変異を有することが明らかとなった。p.Phe151Cysは本研究で世界で初めてみつかった新規なBEST1遺伝子変異であることがわかった。p.Phe151Cysとp.Ala160Proの2つのミスセンス変異部位はともに種間で高度に保存されているアミノ酸配列部位であり、PolyPhen解析を行った結果、これらの変異はBEST1遺伝子がコードするBestrophinタンパク質の機能障害に関与する可能性が高いことが示唆された。また患者の臨床所見および検査結果がARBの特徴と一致することから、この患者2名をARBと診断した。
 
〔総括(Conclusion)〕
 本研究成果により、新規なBEST1遺伝子変異が世界で初めて見つかった。日本人でのBEST1遺伝子変異の報告は非常に少なくとても意義がある。日本人のARB変異に関しては2016年にp.Ala160Pro変異が報告されていたが、その際の症例はp.Ala160Proとp.Ala195Valのbi-allelic変異であり、臨床所見は網膜下液の貯留のみで囊胞様黃斑浮腫はなく視力とERG検査は正常であった。このことから本研究で新規にみつかったp.Phe151Cys変異は囊胞様黄斑浮腫と視力低下に閧与していると考えられる。
 Bestrophinタンパク質はCa2+活性型C1-チャネルであり、チャネルの開閉に関与する立体構造部位(neck)にp.Phe151、p.Ala160、p.Ala195のアミノ酸が位置する。そのため、この部位でのアミノ酸置換はチャネル開閉の機能障害をもたらし、ARBの発症につながることが考えられる。ARBは希少疾患で同じbi-allelic変異を持つ患者の臨床所見を比較することは困難であるが、本研究患者は二卵性双生児であるためp.Phe151Cysとp.Ala160Proのbi-alleiic変異の臨床像(発現時期、臨床・生理学的検査)の比較(再現性の確認)を同じ人種で容易に行えたことから、本研究成果は信頼性が髙いと考えられる。
 BEST1遺伝子はARB以外にも卵黄様黄斑ジストロフィ(BVMD)、成人型卵黄ジストロフィー(AVMD)、常染色体優性硝子体網脈絡膜症(ADVIRC)、網膜色素変性症(RP)の発症に関与しているが表現型はこれらの疾患で大きく異るため、genotype-phenotypeに関する研究はこれらの病態の解明にとても重要であると考えられる。

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