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大学・研究所にある論文を検索できる 「肝細胞移植における吸入麻酔イソフルランがグラフト生着へ及ぼす影響」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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肝細胞移植における吸入麻酔イソフルランがグラフト生着へ及ぼす影響

西牧 宏泰 東北大学

2021.09.24

概要

【研究背景】肝細胞移植は世界的に広く施⾏されているものの、移植効率など克服すべき課題が依然多く、治療成績は満⾜に程遠いのが現状である。しかし、動物モデルを⽤いた研究では⼀定の有効性を⽰す結果が複数報告されており、肝細胞移植においては、動物モデルと臨床成績の間に⼤きな解離が存在すると考えられる。注⽬すべき点として、臨床肝細胞移植は唯⼀覚醒下で実施されるものの、動物実験は通常イソフルラン等の吸⼊⿇酔下で施⾏されるという違いが挙げられる。そこで本研究においては、⾨脈拡張作⽤および抗炎症作⽤を併せ持つイソフルランの使⽤が、上記解離の⼀因を担っているのではないかと仮定し、移植肝細胞の⽣着に対するイソフルランの影響を検証した。

【研究⽅法】本研究では覚醒下で移植を⾏う awake 群(AW 群)、イソフルラン吸⼊⿇酔下で移植を⾏う isoflurane 群(ISO 群)の 2 群で検討を⾏った。肝細胞移植には、ドナーが F344 ラット、レシピエントが F344を背景にもつ近交系である無アルブミンラットの同種同系モデルを⽤いた。移植前⽇に⾨脈カテーテルを挿⼊し、カテーテルから 1.0×10⁷個の肝細胞を移植した。移植前および移植後 7 ⽇から 56 ⽇までの⾎清アルブミン濃度を測定した。またカテーテル挿⼊時、移植直前、移植後 1 時間、2 時間、4 時間、8 時間、24 時間の⾎清 AST、ALT、LDH、および⾎中炎症性因⼦(サイトカイン、ケモカインなど)を測定した。移植後 24 時間のレシピエント肝組織のアルブミン染⾊を⾏い、移植肝細胞の肝内分布と肝内壊死領域の割合を検討した。また、lipophilic tracer 1.1-dioctadecyl-3,3,3,3-tetramethylindotricarbocyanineiodide(XenoLight DiR)で標識した肝細胞を使⽤し、移植グラフトの体内および肝内分布を in vivo および ex vivo イメージングで評価した。さらに、移植後 14 ⽇の肝細胞グラフトの増殖について、5-bromo-2’-deoxyuridine (BrdU)の取り込みを免疫組織化学染⾊で評価した。

【研究結果】ISO 群の⾎清アルブミン濃度は、AW 群に⽐べて有意に⾼値を⽰した(p<0.05)。ISO 群の⾎清 AST、ALT、LDH 濃度は、AW 群と⽐べて有意に低値を⽰した(p<0.0001)。ISO 群における IL-1β(p<0.05)、 IL-10(p<0.05)、IL-18(p<0.01)、MCP-1(p<0.05)、IP-10(p<0.05)、RANTES(p<0.01)、 Fractalkine(p<0.05)、および LIX(p<0.05)は、AW群よりも有意に抑制された。免疫組織化学染⾊におけるレシピエント肝臓の壊死領域は、ISO 群において AW 群よりも限局される傾向が確認されたが、肝実質における移植肝細胞の分布は、両群間に差異を認めなかった。同様に、ex vivo イメージングにおいても、両群の移植肝細胞の肝内分布に差異は確認されなかった。また、移植肝細胞の増殖に関しても、両群間で明らかな差異は認められなかった。

【結論】本研究により、イソフルランの抗炎症効果が、肝細胞移植におけるグラフト⽣着を促進することが明らかとなった。この結果から、イソフルランの使⽤が、肝細胞移植における動物モデルと臨床移植成績の⼤きな解離の原因の⼀つである可能性が⽰唆された。

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