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大学・研究所にある論文を検索できる 「Role of Mean Motion Resonances in Planetesimal Accretion onto Proto-Gas Giant Planets」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Role of Mean Motion Resonances in Planetesimal Accretion onto Proto-Gas Giant Planets

柴田, 翔 東京大学 DOI:10.15083/0002006685

2023.03.24

概要

論文審査の結果の要旨
氏名

柴田



太陽系内のガス惑星および太陽系外の短周期ガス惑星には大量の重元素が含まれていることが知ら
れている。しかし、なぜ大量の重元素を獲得されたのかは不明であった。従来研究では重元素の起源と
して微惑星の集積が提唱され、ガス惑星の質量成長に伴う微惑星の集積が議論されてきたが、系外短周
期ガス惑星に見られる大量の重元素の起源を説明できないなどの大きな問題が残っており、解決には至
っていなかった。こうした中、本論文はガス惑星の形成に不可欠な要素である惑星移動の効果に着目し、
ガス惑星の惑星移動に伴う微惑星集積を検証した。特に、従来の研究では考慮されていなかった平均運
動共鳴の効果に着目し、微惑星の軌道計算を用いることで平均運動共鳴が微惑星集積に与える影響を正
確に評価した。これまでに微惑星集積過程における平均運動共鳴の影響が検証されたことはなく、その
影響は無視されていた。本論文は、未解明の物理過程を正面から検証した研究であり、微惑星集積がガ
ス惑星の重元素量に与える影響を論じる上で非常に意義がある。また、重元素の量と惑星の形成過程は
密接に結びついていると考えられており、重元素の起源を明らかにすることで惑星形成理論の発展も期
待される。さらに、今後の観測の発展に伴い、ガス惑星の重元素量と形成過程の関係性を説き明かす上
で非常に重要な知見を与えてくれると期待される。
本論文は6章からなり、ガス惑星の平均運動共鳴が惑星移動過程における微惑星集積に与える影響を
論じている。第1章はイントロダクションであり、ガス惑星の形成理論における現状と問題点をレビュ
ーし、ガス惑星の組成と惑星形成過程の関係についてまとめている。さらに、ガス惑星の形成において
微惑星が集積する過程が重要である理由、微惑星集積に関する先行研究の問題点および本論文が用いる
理論方法の概要が述べられている。
第2章では、本研究の主テーマである平均運動共鳴と微惑星集積の物理的特徴について、先行研究を
参考にしながら簡潔にまとめている。さらに、この物理的特徴を基づいて、平均運動共鳴が移動する巨
大ガス惑星への微惑星集積に大きな影響を与えうることを示している。
第3章では平均運動共鳴が微惑星集積に与える影響について数値計算を用いて検証している。軌道計
算を用いた検証の結果、平均運動共鳴は惑星移動に伴う微惑星集積に重要な影響を与えることが明らか
となった。微惑星の軌道進化は、平均運動共鳴と円盤ガス抵抗によってコントロールされ、微惑星集積
が効率的に起こる領域は円盤内の限られた領域に制限されることが明らかとなった。本論文ではこの最
適領域を Sweet Spot と呼び、数値計算の結果を元に Sweet Spot 位置の解析式を得ている。この過程
は様々な物理要素の影響を受ける複雑なものであるが、一つ一つの物理過程を丁寧に読み解くことによ
って、最終的には平均運動共鳴の影響をシンプルな解析式に落とし込むことに成功している。このシン

プルな解析式は様々な円盤モデルや惑星移動モデルにも応用可能であり、本論文の重要な結果である。
また、平均運動共鳴は微惑星集積を助ける効果があることが明らかとなり、これは当初の予想とは異な
る興味深い結果である。
第4章では微惑星同士の衝突が平均運動共鳴を破壊する可能性について検証している。これは微惑星
の軌道計算では直接扱うことが困難な問題であり、特別に取り出して検討する必要がある。計算の結果、
微惑星同士の衝突によって平均運動共鳴の効果が弱まり、微惑星集積に大きな影響を与えることが明ら
かとなった。
第5章では、前章までの結果をもとにガス惑星の組成進化について議論を展開し、観測から推定され
ている短周期ガス惑星の内部重元素が、形成過程における微惑星集積によってもたらされた可能性を検
証している。本章の結果は、微惑星集積が短周期ガス惑星の内部重元素量に見られる複数の特徴を説明
できる可能性を示しており、特に従来の研究では説明が困難であった 100 地球質量を超える大量の重元
素の獲得可能性を示した点が新しい。本章の結果は、ガス惑星の内部重元素量から形成過程を制約でき
ることを示しており、将来の観測の発展に伴いガス惑星の形成過程がより高い精度で制約されることが
期待される。
第6章は本論文のまとめである。その中には、本論文が得た結果が及ぼす波及効果が簡潔に述べられ
ている。
なお、本論文第3章は、Ravit Helled 氏と生駒大洋氏との共同研究、第4章と第5章は生駒大洋氏
との共同研究であるが、論文提出者が主体となって数値計算および解析を行ったもので、論文提出者の
寄与が十分であると判断する。

以上のことから、本論文に博士(理学)の学位を授与できるものと判断する。

最終試験の結果の要旨
氏名
成績



柴田





本委員会は、論文提出者に対し令和3年1月6日、学位論
文の内容及び関連事項について、口頭試験を行った。
その結果、論文提出者は、地球惑星科学、特に惑星科学に
ついて博士(理学)の学位を受けるにふさわしい十分な学識
をもつものと認め、審査委員全員により合格と判定した。

参考文献

104

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