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陽極酸化ナノチューブアレイと半導体ナノ粒子との複合体形成および気相光触媒水素生成 (本文)

柵木, 光 慶應義塾大学

2022.03.23

概要

1.1 水素エネルギー社会に向けて
現在、「化石燃料の枯化によるエネルギー問題や「化石燃料使用に伴う CO2の排出による地球温暖化などの環境問題が顕在化している。今後も、医療や食料生産などの技術進歩で人口増加するため、世界のエネルギー消費量も年々増加することと環境問題も深刻化されると考えられる。したがって、これら諸問題を根本的に解決する手段として、化石燃料に代わるクリーンなエネルギー源の開発とその普及が急務となっている。
クリーンエネルギー源の代表例としては、太陽電池や風力発電といった自然エネルギーを利用したものが挙げられる。しかし、これらのエネルギー源は天候に左右されるため出力が安定であり、また生み出される電気エネルギーは大規模に「貯めることができないという問題がある。そこで、次世代クリーンエネルギー源として、『水素』が注目されている。水素が注目されている理由として、以下の五つのキーワードが挙げられる。①無尽蔵(水は地球上に無尽蔵に存在し、枯することがないこと)・②ハイパワー(宇宙ロケット燃料に使われるほどエネルギーとしてのパワーが大きいこと)・③クリーン(空気中の酸素と反応して水に戻るだけで、CO2 や大気汚染物質を全く排出しないこと)・④エネルギー媒体(大容量の電力を⻑期間貯蔵できる媒体であること)・⑤エネルギーセキュリティー(太陽光や風力の余剰エネルギーから製造可能で、安定したエネルギー自給率向上につながること)である[1]。つまり、「エネルギー資源問題」と「地球環境問題の二つの課題を同時に解決できることから、水素エネルギーの研究開発が進んでいる。
水素エネルギー社会実現のためには、水素の製造技術、水素の貯蔵と運搬技術、および水素利用の商品開発が必須である。近年の日本では、「液化水素技術による大容量の運搬と貯蔵」、そして「家庭用小型燃料電池」や「水素燃料自動車」といった水素利用の商品化が成されるまで技術が著しく進歩した。今後の課題は、主に、水素エネルギー普及に向けた低コスト化である。

1.2 水素製造技術
現在よく使われている水素製造技術と今後の水素製造技術について述べる。
【現状の水素製造技術】
現在の主な水素製造方法は、「①グレー水素」、「②ブルー水素」、「③グリーン水素の 3 つに大別できる[2]。①グレー水素とは、蒸気改質法/部分酸化法/自己熱改質法などの手法を用いて、化石燃料から取り出す水素のことである。しかし、化石燃焼利用の水素製造法は、低コストで大量に水素を製造できるが、副生成物の二酸化炭素(CO2)が大気中に放出されるという問題がある。2020 年時点で、世界で生産されている水素のうちグレー水素が約 95%を占めている。②ブルー水素とは、蒸気メタン改質や自動熱分解などで化石燃料を水素と CO2 に分解し、CO2 が大気へ排出する前に回収する方法のことである。回収・貯蔵した CO2 を資源として利用することで、カーボンニュートラルになる。③グリーン水素とは、風力や太陽光などの再生エネルギー由来の電力で水を電気分解して生成する水素のことである。CO2 を全く排出しない利点はあるが、現状では最も製造コストが高い。
以上のことから、製造過程で二酸化炭素(CO2)を排出しない、高効率、かつ「安価な水素製造技術の確立が必要とされている。

【将来の水素製造技術】
光電極と半導体光触媒を用いた水素製造技術は、他の水素生成方法と比較して「材料コスト」や「装置の設置と維持に係る費用が安価で済む」ことから、次世代水素製造技術として大いに注目されている。光電極とは、半導体からなり、光エネルギーを吸収してキャリア(電子と正孔)を生み出すことのできる電極のことである。一方、光触媒は同じく半導体材料であるが、外部との接続は特になく、粉末状態であり極めてシンプルな構造である。光電極では、「酸化と還元の反応場を分離的に分離構築できること」や「外部バイアスにより光励起キャリアの電荷分離が促進される」ため、光触媒に比べて反応効率が高い。よって、現状の水素生成効率は、太陽光を利用した水素製造システム(=太陽光発電と水の電気分解を組み合わせたシステム)>光電極を用いた水素製造>光触媒を用いた水素製造の順となっている。
本研究では、光触媒を用いた水素製造に関する研究を行っているが、現状、光触媒を用いた水素製造効率は、実用に至るまでにはまだまだ十分である。実用化には、太陽光を用いて高効率エネルギー変換ができるような画期的な光触媒材料の創成や、他に類を見ない革新的な応用システムの開発が求められている。

1.3 光触媒とは
光触媒とは、光照射により光励起された電子および正孔により半導体材料表面において化学反応を起こさせる媒体である。光触媒の起源と光触媒を用いた水素製造技術の基本原理について述べる。

【光触媒の起源】
半導体による光触媒効果は、1972 年に本多と藤嶋により初めて報告された。白金(Pt)の電極と二酸化チタン(TiO2)を陽極に用い、TiO2 表面に光を照射することにより、水の電解に必要な電圧(1.23 eV)よりも低い電圧で水を水素と酸素に分解するという報告がなされた[3]。

【光触媒の基本原理】
光触媒の基本原理は、図 1-1 に示したように、「①光吸収→②電荷分離→③電荷輸送→④触媒反応→⑤物質移動の 5 つの工程を経て、初めて水分解水素生成を実現する[4]。太陽電池の場合は③までであり、そこに表面化学プロセスが加わったのが光触媒のメカニズムである。

図 1-1. 光触媒のメカニズム

①光吸収では、材料の光吸収領域や材料への光の侵入の深さなどにより、光励起キャリアの数が変わる。②電荷分離では、誘電率や励起子の結合エネルギーなどにより、光励起キャリアの数が変わる。③電荷輸送では、導電率・エネルギー障壁の高さ・他の材料との接触界面における内部電場・キャリアの濃度勾配による拡散などにより、材料表面までの到達するキャリアの数が変わる。④触媒反応では、活性化エネルギーや電荷移動抵抗などにより水素生成の効率が変わる。⑤物質移動では、溶液抵抗や「反応させる物質が液体であるか気体であるか」などにより、水素生成の効率が変わる。

1.4 光触媒の研究動向
1.4.1 貴金属助触媒の効果
Nozik らにより、白金と二酸化チタン両電極を接合させた光化学ダイオードが考案され、光触媒の応用へ向けた研究開発が進展した[5]。また、TiO2 などの半導体に貴金属助触媒(Pt, Pd, Au)を担持させることで、外部の電気回路が無くても水の光分解反応が生じることが報告された[6-8]。これは、図 1-2 のように n 型半導体の電子親和力よりも貴金属の仕事関数が大きければ、界面での電場により光励起電子が貴金属に流れるだけでなく、ショットキー障壁により半導体へ逆流できないからである。これらの先行研究により、低コストでシステムが簡易に構築できることが示され、光触媒技術を用いた水素生成に関する研究が盛んに行われる動機となった。

図 1-2. n 型半導体と金属の接合前と接合後

しかし、TiO2 には、光触媒活性が高いが太陽光を有効利用できないという欠点がある。TiO2 のバンドギャップエネルギーは、anatase 型で 3.2 eV[9]、rutile型で 3.0 eV[10]である。つまり TiO2 の光吸収領域は、主に紫外線領域(波⻑ 380 nm 以下)で、太陽光スペクトルの数%しか存在しない[11]。そのため、太陽光に 53%含まれる可視光領域(波⻑ 400〜700 nm)においても高い光触媒活性を示す材料の開発が望されている。

1.4.2 可視光応答型光触媒の材料開発
光触媒材料の開発目標として第一に挙げられるものが、可視光を利用した高効率光エネルギー変換の実現である。光触媒を用いて水分解による水素生成を実現するための条件として、半導体の伝導帯(Conduction Band:CB)下端のエネルギー準位が水素還元電位よりも負であり、かつ価電子帯(Valence Band: VB)のエネルギー準位が水の酸化電位よりも正となる必要がある。しかし、一般的な材料(TiO2, 酸化鉄(Ⅲ)(α–Fe2O3)など)で上記の条件を満たしつつ可視光を利用できる材料はほぼ存在しない。可視光を吸収する新規な半導体材料を設計・創製するのは、光触媒の高効率化に向けた材料設計針がまだ明確ではない現段階ではリスクが大きい。そのため、現在進められている研究例としては、一般的なモデル材料を用いて、可視光応答による光触媒の高効率化への針を探索することを目的としたものが多い。
可視光応答型光触媒の構築にあたって主に二つの戦略がある。一つ目は、高い光触媒活性を有する TiO2 を改良する試みである。TiO2 に窒素原子をドーピングすることにより、水の酸化還元電位を満たす伝導帯準位を維持しつつ、バンドギャップを縮小することが可能である[12]。しかし、バンドギャップ(光吸収領域)と酸化還元力はトレードオフの関係にあり、バンドギャップを縮小すると酸化還元力が弱まるため、TiO2 のみの物性制御のみによる可視光応答性の向上には限界がある。二つ目は、水の酸化用の半導体光触媒と水素還元用の半導体光触媒の二つで実現する Z スキームの活用である[13]。酸化用光触媒として代表的な材料は、『酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3)、バナジン酸ビスマス(BiVO4)、リン酸銀(Ag3PO4)、酸化鉄(Ⅲ)(α-Fe2O3)』である(図 1-3 参照)。一方、還元用光触媒として代表的な材料は、『グラファイト状窒化炭素(g-C3N4)、酸窒化タンタル(TaON)、硫化カドミウム(CdS)、酸化銅(Ⅰ)(Cu2O)』である。本研究では、これらの多彩な光触媒材料の中で、水の酸化用光触媒として酸化チタン(TiO2)と酸化鉄(Ⅲ)(α-Fe2O3)、還元用光触媒として酸化銅(Ⅰ)(Cu2O)とグラファイト状窒化炭素(g-C3N4)に着目した。

図 1-3. 各光触媒材料のエネルギーバンド

1.4.3 Z スキームの変遷
Z スキームに関する研究は、図 1-4 のように第 1 世代の液相 Z スキームから第 3 世代の Direct Z スキームへと着実に進化を遂げている[14]。

図 1-4. Z スキーム研究の変遷

Z スキームは、1979 年に Bard によって初めて提案された[15]。第一世代の Zスキームは、図 1-5(a)のように二つの異なる半導体間の電子移動の手段として、 A/D(I-/IO3-, Fe2+/Fe3+)のレドックス媒体を介在した『液相 Z スキーム』光触媒システムである[16,17]。これは、光励起電子・正孔がより高い還元力・酸化力を保持できるため、酸化電位や還元電位の最適化を図ることができる。しかし、 逆反応による光変換効率の低下や使用が液相に限られてしまうという課題があ るため、その後、第二世代の『全固体 Z スキーム』が提案された[18]。全固体 Z スキーム光触媒システムは、図 1-5(b)のように二つの異なる半導体間の電子移 動手段として、貴金属(Au や Ag)ナノ粒子を介在させたものである[13,19]。 この貴金属ナノ粒子の使用により、第 1 世代で問題視された逆反応を抑制する ことができる。しかし、貴金属(特に Au)は局在表面プラズモン共鳴に基づく 強い光吸収材であるため、光触媒の光吸収量が大幅に低下するという問題が浮 上した。こうした先行研究を踏まえ、電子伝達体を用いずとも酸化亜鉛(ZnO) と硫化カドミウム(CdS)による合半導体において Z スキームが構築される という研究成果が、2009 年 Wang らによって報告された[20]。その後、2013 年 に Yu らにより、図 1-5(c)のような伝達体を介さず、酸化用光触媒(PC-Ⅱ)と 還元用光触媒(PC-Ⅰ)の接合面で直接的に電荷が再結合することで Z スキーム が構築されるというモデルが提唱され、『Direct Z スキーム』と付けられた[21]。

図 1-5. 各世代の Z スキームメカニズム[22]

1.4.4 様々なナノ複合体構造
一方で、光触媒活性向上に向けた取り組みの一つとして、ナノ粒子やナノチューブなどのナノ構造体の形成(ナノ構造化)が挙げられる。その理由として、ナノ構造化により「①電荷分離が促進されることと、「②反応比表面積が増加する」ことが挙げられる。バルクで光励起された電荷キャリアが再結合せずに材料表面までの到達しやすくなると共に、反応比表面積増大に伴い、化学反応に寄与する電荷キャリアの数が増えるため、光触媒活性の向上が見込める。
前節で述べた Direct Z スキームによる合光触媒を作製する上で、2 種類のナノ構造体をどのように接合させるかということも重要な検討事項である。ナノ合体構造は、 大きく分けて 3 つの接合モデルに分類されている[22](図 1-6 参照)。一つ目は、2 種類の接合体の大きさが異なるモデルであり、大きなナノ粒子に小さなナノ粒子を接合させるもの(図 1-6(1-1)) 、ナノシートにナノ粒子を接合させるもの(図 1-6(1-2))、ナノチューブにナノ粒子を接合させるもの(図 1-6(1-3))が考えられる。二つ目は、2 種類の接合体の大きさが等しいモデルであり、ナノ粒子同士を接合させるもの(図 1-6(2-1))、ナノシート同士を接合させるもの (図 1-6(2-2))が考えられる。3 つ目は、コアシェル構造を形成するモデル(図 1-6(3))である。本研究では、酸化物ナノチューブアレイ上に酸化銅(Ⅰ)ナノ粒子(または窒化炭素ナノ粒子)を堆積させたナノ合体構造を対象にしており、図 1-6(1-3)の構造に該当する。

図 1-6. ナノ合体モデル[22]

1.5 本研究の目的および特徴
【背景と目的】
水素は、CO2 を排出しない次世代クリーンエネルギー源として注目されている。本研究では、光触媒を用いた水素生成に取り組んでいるが、光触媒技術を用いる利点は、他の水素生成方法と比較して、材料コストや装置の設置と維持に係る費用が安価で済むことである。しかしながら、現状の水素生成効率は、実用に至るまでにはまだまだ十分である。また、光触媒表面における光励起電荷キャリアの分離機構が未だに解明されておらず、それを明らかにし、より高効率な電荷分離を実現することが、光触媒活性向上に向けた重要課題の一つとなっている。
本研究は、最終目標である「太陽光の 53%を占める可視光を有効活用した高効率光触媒水素生成の実現に向けて、水分解水素生成に用いる光誘起電荷キャリアの移動機構に関する知見を得ること、およびその知見を基にして、半導体材料における可視光応答による光触媒機能を向上させることを目的とした。

【本研究の特徴】
本研究の特徴として、「①陽極酸化ナノチューブアレイ/半導体ナノ粒子合体における水素生成と「②気相反応場での評価の 2 点が挙げられる。
一つ目の特徴については、主に可視光応答材料を対象として、水分解用光触媒と水素生成用光触媒の二つを組み合わせて、水素生成を実現している。また、水の酸化用光触媒において反応比表面積が大きいナノチューブアレイ構造を採用し、その表面に水素生成還元用光触媒のナノ粒子を堆積させて、ナノ合体を形成することで可視光応答型光触媒の高性能化を目指している。ナノチューブの作製方法には、水熱法・陽極酸化法・AAO(陽極酸化アルミニウム)テンプレート法の 3 つがある。陽極酸化法を用いる利点は、配向膜が自発的に形成されやすい、反応比表面積が大きい、簡易かつ安価な作製が可能である、ナノチューブのサイズ制御が可能であるなどが挙げられる。陽極酸化法で作製した酸化物ナノチューブアレイの側面に半導体ナノ粒子を堆積することが難しく、また液相反応場では固液界面での可逆反応が生じるため、「陽極酸化法で作製した酸化物ナノチューブアレイ上に半導体ナノ粒子を堆積させた複合体構造における光触媒水素生成に関する研究は、極めて少ない。また、陽極酸化ナノチューブアレイ/ナノ粒子のようなナノ合体構造は、図 1-6 で見られるような他のナノ合体構造と比較して、ナノチューブアレイの反応比表面積が大きいため、光触媒が起きる箇所が多く、水素生成の効率が高いと期待される。
二つ目の特徴については、従前の研究の大半が液相反応場であるのに対して、本研究では主に気相反応場を対象としている。液相反応場の場合、液体燃料(水やアルコールなど)の中に粉末光触媒を入れるだけなので、装置の設置や維持にかかる費用が安価で簡便に済む利点がある。その反面、固体/液体界面では無数の分子が光触媒反応に関与していることから、反応機構の解明が困難である。しかし、気相反応場では中間生成物質の検出が比較的容易である。さらに、同一の燃料源を用いた場合でも、光触媒材料毎に異なる反応過程を経由することがあるため、気相反応場での追跡によって反応過程を解明していくことは、学問的に新しい知見を得られるだけでなく、光触媒の高効率化においても極めて重要である。
本研究では、様々な材料から成る「酸化物ナノチューブアレイ/半導体ナノ粒子」
合体光触媒を用いて、光誘起電荷キャリアの分離機構に関する情報を得るための各種分光評価、ならびに光触媒活性測定を実施した。

1.6 本論文の構成
本論文の構成は、図 1-7 に示すように 6 章で構成されている。
第 1 章では、水素エネルギー社会の実現に向けた様々な取り組みや水素製造技術を概説した後、本研究の主題となる光触媒を用いた水素製造技術の開発の意義、光触媒のメカニズム、光触媒研究開発の進展状況について詳述した。最後に、本研究の目的および特徴について述べた。
第 2 章では、本研究で用いた光触媒材料、ナノ構造作製技術、および試料の評価技術の原理について述べる。
第 3 章では、光触媒を用いた水素生成の高効率化を目し、水素生成に適したナノチューブアレイ/ナノ粒子合体構造についての知見を得るため、「全電気化学手法による TiO2 ナノチューブアレイ(TiO2 nanotube array:TNT)/Cu2Oナノ粒子の合体形成と「高真空下での気相光触媒反応分析を実施した。そこで得られたナノ複合体試料の構造や物性の評価結果、ならびに想定される光触媒反応機構について述べる。
第 4 章と第 5 章では、前章で得られた知見をもとに、新たなナノチューブアレイ/ナノ粒子合体構造を構築すると共に、可視光照射下での気相光触媒水素生成へと応用した結果について述べる。なお、第 4 章ではα-Fe2O3 ナノチューブアレイ(α-Fe2O3 nanotube array:FNT)/Cu2O ナノ粒子の合体を、第 5 章では TNT/g-C3N4 ナノ粒子の合体を、それぞれ試料作製および各種測定の対象とした。
第 6 章では、本論文のまとめと今後の展望について述べる。

図 1-7. 本論文の構成

この論文で使われている画像

参考文献

第 1 章

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