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大学・研究所にある論文を検索できる 「Studies on the pathophysiology and current treatment status of ion channel-related muscle diseases」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

Studies on the pathophysiology and current treatment status of ion channel-related muscle diseases

山内, 亨祐 大阪大学

2023.05.31

概要

Title

Studies on the pathophysiology and current
treatment status of ion channel-related muscle
diseases

Author(s)

山内, 亨祐

Citation

大阪大学, 2023, 博士論文

Version Type
URL

https://hdl.handle.net/11094/92884

rights

Note

やむを得ない事由があると学位審査研究科が承認した
ため、全文に代えてその内容の要約を公開していま
す。全文のご利用をご希望の場合は、 href="https://www.library.osakau.ac.jp/thesis/#closed">大阪大学の博士論文につい
てをご参照ください。

Osaka University Knowledge Archive : OUKA
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/
Osaka University

様式3




論文題名









山 内





亨 祐




Studies on the pathophysiology and current treatment status of ion channel-related muscle diseases
(チャネル異常症関連筋疾患の病態生理および本邦の治療状況に関する研究)

論文内容の要旨

遺伝性筋疾患は指定難病が多く、そのほとんどで根本的治療法が未だ確立されていない。その中で
筋細胞膜上のイオンチャネルが病態に関与する疾患が複数存在する。本研究ではClC-1 塩化物イオ
ンチャネルが関与する筋強直性ジストロフィー1型とKir2.1 カリウムイオンチャネルが関与する
Andersen Tawil 症候群について扱った。
[研究1] 患者レジストリを用いた日本の筋強直性ジストロフィー1型治療の現状
筋強直性ジストロフィー1型(DM1)は筋強直や萎縮といった筋症状に加えて、心伝導障害、耐糖能
異常、白内障など多彩な症状を呈する全身疾患で、常染色体顕性遺伝形式をとりDMPK 遺伝子の3‘
非翻訳領域における 3 塩基CTG のリピートの異常伸長が原因として判明している。今回、日本の
神経・筋疾患患者レジストリ(Remudy)のデータを用いて、本邦の成人の筋強直性ジストロフィー1
型(DM 1)患者の症状の特徴、治療の実態を明らかにすることを目的として研究を行った。先天性
のDM1患者を除く、809名の成人済みのDM1患者を対象に解析を行った。心臓突然死の指標として提
唱されているPR間隔240ms以上and/or QRS幅120ms以上を満たす患者は約30%存在するなど、患者の
症状は他国の既報と大差なかった。しかし治療に関しては、人工呼吸器の使用率の高さ(15.8%)、
3%未満といった心臓のデバイス植え込み率の低さ、糖尿病治療薬の違いが判明した。これらの差
は医療環境の差、特にデバイス植え込みに関しては心臓電気生理検査の施行率の低さなどに由来す
ると考えられた。
[研究2] Andersen Tawil 症候群家系より同定された二重変異の機能解析
Andersen Tawil 症候群(ATS)は周期性四肢麻痺、心電図におけるQT延長不整脈、小奇形を特徴と
する常染色体顕性遺伝形式をとる骨格筋チャネル病で、KCNJ2遺伝子がATSの原因遺伝子として同定
されている。今回、21歳の男性とその母親がATSに特徴的な発作性麻痺と不整脈を呈し、遺伝子診
断の結果KCNJ2遺伝子にATSで報告されているG144Aと新規変異であるV296Fの両方が同一アレル上に
同定された。KCNJ2遺伝子の二重変異はこれまで報告されておらず、稀有な症例である。本研究で
は、これらの変異がカリウムチャネルKir2.1に及ぼす機能的影響と、二重変異の意義について検討
した。G144A、V296F、およびG144A-V296F変異体チャネルをアフリカツメガエル卵母細胞で発現さ
せたところ、これらの変異体がKir2.1に対して機能喪失効果を示すことが明らかになった。G144A
とG144A-V296FチャネルのK+電流はV296Fチャネルのそれよりも抑制されたが、G144AとG144A-V296F
の間には差がなかった。2つの変異のいずれもATSの原因となる可能性はあるが、G144A変異が患者
の臨床症状に対して支配的な影響を与えると考えられる。
本研究では2つの遺伝性筋疾患について研究を行った。遺伝性筋疾患は近年新規治療薬の承認や開
発などの進歩が著しい分野であり、DM1の研究で得られた日本人の治療データは治療薬の治験を日
本で行う際の背景データとなり得る。また同一アレル上に二重変異が同定されたATS症例は稀有で
あり、今後の二重変異症例の判断に有用であると考えられる。

様式7

論文審査の結果の要旨及び担当者






山 内

亨 祐

(職)

論文審査担当者







主 査

教授

高橋

正紀

副 査

教授

木原

進士

副 査

教授

辻川

元一

論文審査の結果の要旨
チャネル異常症関連筋疾患は筋チャネル病とも呼ばれ、骨格筋に発現するイオンチャネルの機能もし
くは発現に異常をきたす疾患の総称である。根本的な治療法が確立されていない疾患がほとんどで、病
態についても詳細を欠く疾患が多い。この中で、ClC-1チャネルが影響を受けミオトニー症状を呈する筋
強直性ジストロフィー1型についての研究(研究1)とKir2.1チャネルが影響を受け麻痺症状を呈する
Andersen Tawil 症候群についての研究(研究2)を行った。
(研究1)筋強直性ジストロフィー1型(DM1)は常染色体顕性遺伝形式をとる遺伝性疾患で、 DMPK 遺伝子
の3’UTRに存在するCTG繰り返し配列の異常伸長が原因である。様々な臓器に多彩なスプライシング異常が
発生し全身症状を引き起こすと考えられている。治療に関しては現状対症療法のみであるが、近年国際
的に治験の機運が高まっており、日本では治験の円滑化を目的として患者レジストリであるRegistry of
muscular dystrophy(Remudy)が設立され筋強直ジストロフィーの登録も行われている。本邦のDM1患者の
治療の現状や海外との違いを明らかにするため、Remudyに登録された患者データを用いて解析を行っ
た。まず登録患者の症状に関しては他国での報告と大差ない結果であった。しかし、治療に関しては他
国との違いが散見された。心電図に関して既報の突然死の指標(PR間隔、QRS時間)が当てはまる患者は約
31%存在したが、植え込みデバイスの適用は3%程度と他国が10%以上であるのと比較して低い結果であ
った。これは無症状の患者に対する電気生理学的検査の施行率の低さがひとつの要因と考えられた。ま
た糖尿病治療薬に関しても海外ではビグアナイド薬が多数を占めているのに対し、DPP4阻害薬が最も処
方されていた。低い低血糖リスクなどが原因として考えられる。
(研究2)Andersen Tawil 症候群(ATS)は常染色体顕性遺伝形式をとる遺伝性疾患であり、周期性四肢麻
痺、QT延長を伴う不整脈、小奇形の3徴が特徴的である。原因遺伝子はKir2.1チャネルをコードする

KCNJ2 遺伝子であり、同遺伝子上の変異が同定されることが多い。既報変異であるG144Aと新規変異であ
るV296Fが同一アレル上に存在するという稀有なATS症例を見出し、そのチャネルの電気生理学的な機能
解析を行った。機能解析の結果、電気生理学的にはG144A、V296Fそれぞれ機能喪失を呈した。患者から
同定された同一アレル上に2つの変異が存在する場合は既報変異であるG144Aの影響が強く、患者の病態
においてはG144Aが優位に働いていると示唆された。
これらの研究結果は、ともにチャネル異常症関連筋疾患の臨床ならびにイオンチャネルの分子生理に
重要な知見であり、国際的にも高く評価され国際学会誌に受理されており、博士(保健学)に値する研
究と評価した。

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