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大学・研究所にある論文を検索できる 「広葉樹の建築構造利用に関する実験的研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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広葉樹の建築構造利用に関する実験的研究

末定, 拓時 東京大学

2022.06.22

概要

本研究は、木質構造物の構造性能を向上させるために広葉樹を建築構造材料として利用することを目的とし、広葉樹の部分横圧縮(めり込み)性能の推定手法及び、具体的な接合部への利用法の提案を行ったものであり、6章構成である。

1章では、広葉樹の建築構造材料利用に関する国内の規格や基準を取りまとめ、国内外の既往の研究や取り組みを分析し、広葉樹の建築構造利用に向けた課題を挙げ、本論文の方向性及び研究の位置づけを明確にしている。

2章では木材のめり込み性能を評価するための一般的な試験方法であるJISZ2101:2009木材の試験方法(以下、JIS試験)における部分圧縮試験を参考にしためり込み試験について、加力速度が結果に与える影響を実験的に把握し、分散分析により加力速度を上昇させることの妥当性を検討している。

試験体の材長と材厚及び加力速度を要因としためり込み試験を実施し、弾性ひずみ剛性とJIS試験で測定する部分圧縮比例限度応力及び辺長の5%部分圧縮強さを測定している。その結果、加力速度の増加に伴い部分圧縮比例限度応力及び辺長の5%部分圧縮強さが増加し、加力速度を上昇させることで危険側に評価することを明らかにしている。

3章では広葉樹のめり込み性能を推定するための手法を提案している。まず、広葉樹のめり込み性能の推定にあたり、道管配列と密度を指標として4樹種を選定し、試験体寸法を要因として材長と材厚をそれぞれ4水準としためり込み試験を実施している。針葉樹を適用範囲とするめり込み基準式を導出した仮定と比較したところ、いずれの樹種においても試験体寸法がめり込み性能に与える影響の傾向はこの仮定と概ね一致したことから、少なくとも今回の試験範囲においては、めり込み基準式によって広葉樹のめり込み性能が推定可能であることを示し、さらに、塑性域の荷重変形関係についても概ね推定可能であることを確認している。次に、8樹種の広葉樹について、縦振動法、全面横圧縮試験及び部分横圧縮試験から、めり込み性能の推定に必要な特性値を算出したうえで、ばらつきを含めためり込み性能の推定手法を提案している。

4章では広葉樹を利用した柱-貫接合部について、その回転抵抗性能を把握するとともに性能推定手法を提案している。

広葉樹を含めた4樹種の貫材について柱-貫接合部の回転抵抗試験を実施し、その性能を明らかにしている。さらに、広葉樹を貫材とした柱-貫接合部の性能推定手法として、末定拓時柱材と貫材のほぞ部分での接触面の縦圧縮変形等を考慮した柱-貫接合部の弾塑性域のモーメント回転角関係の推定式を提案している。加えて、より小断面で効率的に接合部性能を向上させることを目的に、スギの貫材に補強材を接着した補強貫材による柱-貫接合部の回転抵抗試験を、補強材の寸法と樹種を因子として実施し、貫材の上下に全長に渡ってシラカシを接着した仕様では、無補強のものと比べて降伏モーメントが有意に向上し、回転剛性についても平均値が向上したことから、貫材の広葉樹での補強による性能向上効果の有効性を示している。

5章では広葉樹を利用し、長ほぞ込栓仕口などと併用できるような仕様の柱頭柱脚接合部を考案し、その性能を実験的に明らかにしたうえで力学的モデルから接合部性能の算定式を提案している。

考案した接合部(以下、本接合部という)の仕様は、勾配を設けた広葉樹の補強材を柱材の側面に取り付け、横架材と嵌合させたものとし、引張試験によって本接合部の性能と変形挙動を明らかにしている。鉛直材に係る変形による剛性の算出には、接合部の力学的モデルを構築したうえで、各要素の単位荷重あたりの変形量を算出し、鉛直方向と水平方向の変形量の比が補強材の傾斜角の正接と一致するという幾何学的な関係を用いている。この剛性と横架材の変形による剛性が直列バネで接続していると仮定し、本接合部の剛性を推定している。さらに、4種類の降伏モードを仮定し、降伏耐力を推定している。この剛性及び降伏耐力の算定式による推定値と実験値を比較し、補強材の傾斜角が大きい仕様でよく一致したことから、提案した剛性・降伏耐力の算定式の妥当性を示している。

6章では本研究により得られた知見をまとめている。

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