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大学・研究所にある論文を検索できる 「パーキンソン病の新規リスク遺伝子Midnolinの発現調節機構と病態生理的な役割の解明」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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パーキンソン病の新規リスク遺伝子Midnolinの発現調節機構と病態生理的な役割の解明

提箸 尚貴 山形大学

2021.03.31

概要

ES細胞において2000年に発見されたMidbrain Nucleolar Protein(Midnolin, MIDN)は, 胎生期のマウス中脳において強く発現する.成体になると様々な組織で発現し, 細胞内では主に核および核小体に局在する.詳細な役割は明らかになっていなかったが, 2017年および2019年にMIDNがパーキンソン病(PD)の新規リスク遺伝子であることを当講座が報告した.しかし, 個体レベルでのMIDNの役割は明らかではなく、またヒトの細胞や組織で, MIDN遺伝子の発現がどのように調節されているかも解明されていない.そこで, 本研究ではヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞を用いて, MIDN遺伝子の発現調節機構を解明するとともに, Midnノックアウトマウスを作製して, その病態生理学的な役割を明らかにすることを目的とした.

 SH-SY5Y細胞をインスリンで処置するとERK1/2, PI3K依存的にMIDN遺伝子の発現が誘導された.レチノイン酸で分化誘導したSH-SY5Y細胞においてはBDNF処置によっても, 同様の発現誘導が確認された.MIDN遺伝子の発現調節領域を同定するため, 様々な塩基長のプロモーターをルシフェラーゼと連結させたプラスミドを作製し, MIDNプロモーター活性を測定した.その結果, MIDN遺伝子上流-121/-99bpにMIDN遺伝子の発現を抑制する領域が, -71/-57bpに発現を促進する領域があることが判明した.データベースを用いた解析により, 前者の領域にはTFAP2が後者の領域にはAP-1およびCREBが結合することが予想された.実際に, SH-SY5Y細胞をインスリンで処置すると, ERK1/2依存的にAP-1ファミリーであるc-FOS遺伝子の発現およびCREBのリン酸化が誘導された.

 ゲノム編集法により2系統のMidnヘテロノックアウトマウスを作製した.マウス中脳のMidn遺伝子の発現を定量したところ, 26週齢のヘテロKOマウスでMidn遺伝子の発現減少が確認された.また, 8週齢マウスの黒質および線条体のドパミン作動性神経細胞を観察したところ, ヘテロKOマウスの線条体への投射が大幅に減少していた.85週齢マウスの自発運動量をオープンフィールド試験で測定したが, 総移動距離や平均速度には大きな変化はなかった.

 これまでの結果をまとめると, 1.MIDN遺伝子はインスリンによってMAPKおよびPI3K/Akt経路を介して発現が誘導されることが明らかになった.2.MAPK経路はCREB/ATF, AP-1を活性化し, MIDN遺伝子発現を調節することが示唆された.3.TFAP2ファミリーが結合するMIDN遺伝子上流-121/-99bpは, MIDN遺伝子の発現を抑制的に調節していることが示された.4.Midnヘテロノックアウトマウスでは, Midn遺伝子の発現が減少し, ドパミン神経の投射が減少するPD様の病理学的特徴が見られ, それはMIDNがPDのリスク遺伝子であることを支持する所見と思われた.

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