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大学・研究所にある論文を検索できる 「性別違和を有する当事者に対する性別違和の緩和を目的とした治療が当事者の生活の質および精神的健康に与える影響:後ろ向きコホート研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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性別違和を有する当事者に対する性別違和の緩和を目的とした治療が当事者の生活の質および精神的健康に与える影響:後ろ向きコホート研究

江口, のぞみ 東京大学 DOI:10.15083/0002006199

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 江口 のぞみ
本研究は、性別違和を有する当事者に対する性別違和の緩和を目的とする治療が、当事者
の生活の質および精神的健康に与える影響を明らかにするために、複数の治療を受けてい
る当事者を対象にした後ろ向きコホート研究を実施した。主要評価項目(主観的な生活の
質:WHOQOL-26)と副次評価項目(抑うつ:CES-D)について、初診時と追跡調査時間の得点
差から、ホルモン療法のみ群、手術(二次性徴)群、手術(一次性徴)群の 3 群間の効果量
を算出した。主要な解析として、一般線形モデリングを適用し、データの欠測に対応するた
めに制限付き最尤法を用いて推定値を算出した。その結果、以下のことが明らかとなった。
1.心理的領域に関わる主観的な生活の質について、ホルモン療法のみを受けている当事者
に比べて何らかの手術を受けている当事者の方が治療による改善の度合いが大きいこ
とが明らかとなった。
2.心理的領域に関わる主観的な生活の質について、二次性徴を変える手術を受けている当
事者と

一次性徴を変える手術を受けている当事者の間には治療による改善の度合い

に有意な差はないことが明らかとなった。
3.手術後 1 年以内の研究参加者を除いた当事者のみを対象に解析を行った結果、わずかに
有意とならなかったものの、上記と同様の傾向が示された。
4.FtM のみの当事者を対象に解析を行った結果、わずかに有意とならなかったものの、上
記と同様の傾向が示された。
5.抑うつの程度については、治療による改善の度合いに有意な差はないことが明らかと
なった。
以上、本論文は性別違和の治療としてホルモン療法のみを継続するより、自認するジェ
ンダー・アイデンティティに移行する身体的変化が大きい何らかの手術を受ける方が当事
者の心理的領域に関する主観的な生活の質をより高くする可能性を明らかにした。本研究
は、性別違和を有する当事者を初診時から長期間にわたって追跡することで、性別違和の
治療効果を治療内容毎に比較した数少ない研究であり、日本の治療環境において、当事者
が多様な選択肢の中からジェンダー・アイデンティティに見合った治療を選択する際に、
エビデンスとして重要な貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士(保健学)の学位請求論文として合格と認められる。

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