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大学・研究所にある論文を検索できる 「Efficacy of Lusutrombopag for Thrombocytopenia in Patients with Chronic Liver Disease Scheduled to Undergo Invasive Procedures」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Efficacy of Lusutrombopag for Thrombocytopenia in Patients with Chronic Liver Disease Scheduled to Undergo Invasive Procedures

西田 祐乃 広島大学

2021.03.23

概要

学位論文 全文要約
Efficacy of Lusutrombopag for Thrombocytopenia
in Patients with Chronic Liver Disease Scheduled
to Undergo Invasive Procedures
(観血的手技を予定している慢性肝疾患患者におけ
る血小板減少症に対するルストロンボパグの有効性
について)
西田

祐乃

(医歯薬保健学研究科

医歯薬学専攻)

慢性肝疾患患者は血小板減少症を合併することが多い。慢性肝疾患患者は診断のための肝生
検、肝癌治療としての経皮的ラジオ波焼灼療法や肝動脈化学塞栓術、食道静脈瘤治療として内視
鏡的静脈瘤硬化療法や内視鏡的静脈瘤結紮術などの観血的手技を必要とすることがあり、その際
に血小板減少症による易出血性が問題となる。手技に際しての出血リスクを軽減するため、予防
的血小板輸血が必要となる場合があるが、血小板輸血には感染症などのリスクや非溶血性発熱反
応やアレルギー・アナフィラキシー反応、輸血関連急性肺障害などの副作用があるため、最小限
にとどめ、慎重に行われるべきである。また、重度の血小板減少症に対する治療として脾臓摘出
術や部分的脾動脈塞栓術が選択されることもあるが、これらは侵襲的であり、術後重症感染症、
血栓症などが問題となることがある。このような現状から、観血的手技を予定している慢性肝疾
患患者の血小板減少症を改善し、血小板輸血の必要性を減らすことを目的として経口投与のトロ
ンボポエチン受容体作動薬であるルストロンボパグが開発され、2015 年に承認を受け使用が開
始された。ルストロンボパグはトロンボポエチン受容体に選択的に作用し、トロンボポエチンの
一部のシグナル伝達経路を活性化することにより、骨髄前駆細胞から巨核球系への細胞の増殖な
らびに分化誘導を促進し、血小板数を増加させると考えられている。慢性肝疾患患者、特に肝硬
変の患者では、肝癌や食道静脈瘤が再発する可能性が高く、観血的手技が複数回必要となること
が多い。しかし、ルストロンボパグを反復投与した際の有効性や効果に寄与する因子に関する情
報は乏しい。本研究では、ルストロンボパグの反復使用の有効性と効果に寄与する因子について
検討した。
観血的手技を受ける前にルストロンボパグ治療を受けた慢性肝疾患患者 39 名、計 53 例(10 名
が複数回投与)を対象とした。ルストロンボパグ投与後の血小板数の変化、ルストロンボパグ反
復投与時の効果を評価した。ルストロンボパグ投与前と比較して、観血的手技前の血小板値が
2.0×104/µL 上昇した場合を治療効果ありと定義し、多変量解析を用いてルストロンボパグの効
果に寄与する因子について検討した。
ルストロンボパグ投与症例の 血小板中央値は治療前 4.5×104/µL から観血的手技前には
7.2×104/µL と有意に増加(P<0.01)した。53 例中 35 例(66%)がルストロンボパグの治療効
果ありと判断された。53 例中 49 例(92%)では血小板輸血を必要とせず観血的手技を受ける
ことが可能であった。全例でルストロンボパグによる有害事象は確認されなかった。
ルストロンボパグを 2 回以上使用した 10 名の検討では、初回投与時には血小板中央値はルス
トロンボパグ治療前 4.1×104/µL から観血的手技前 7.1×104/µL と増加した。2 回目投与時にはル
ストロンボパグ治療前 3.3×104/µL から観血的手技前 6.7×104/µL へと増加した。
初回投与時と 2
回目投与時の治療効果に有意差は認めなかったことから、特に観血的手技を頻回に必要とする肝
硬変の患者では、ルストロンボパグ治療は血小板輸血を繰り返すよりも有用であると考えられた。
ルストロンボパグ初回投与例の 39 例中 25 例がルストロンボパグ治療効果ありと判断され、
単変量解析では spleen index(腹部超音波検査で測定した脾臓の長径に短径を掛け合わせた値)
と糖尿病合併の有無がルストロンボパグ治療効果への寄与因子として抽出された。多変量解析の
結果、糖尿病を合併していないこと(オッズ比 5.56;P=0.04)のみがルストロンボパグの効果

に寄与する有意かつ独立した予測因子であることが示された。高血糖刺激は好中球からの S100
calcium-binding proteins A8/A9 分泌を誘発し、クッパー細胞の終末糖化産物受容体と相互作用
することでインターロイキン 6 の産生を増加させ、肝臓でのトロンボポエチン産生の増加をも
たらすとの報告がある。我々は、糖尿病患者ではベースラインのトロンボポエチン値が上昇して
いるため、ルストロンボパグの有効性が制限される可能性があると仮定し、ルストロンボパグ治
療を受けた糖尿病患者 6 名、糖尿病を合併していない患者 8 名のベースラインのトロンボポエ
チン値を測定した。その結果、有意差は認めなかったものの、トロンボポエチン値の平均値は糖
尿病患者の方が高値であったことから、糖尿病患者ではベースラインのトロンボポエチン値が高
値であるため、ルストロンボパグへの感受性が低い可能性が考えられた。
結論として、ルストロンボパグ治療は慢性肝疾患患者の血小板数を有意に増加させ、観血的手
技を受けることを可能にした。ルストロンボパグ治療は繰り返し行った場合にも同等の効果が得
られた。糖尿病患者ではルストロンボパグ治療の効果が乏しくなる可能性が示唆された。

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