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大学・研究所にある論文を検索できる 「コレステロール塞栓症に対するLDLアフェレシスの有効性」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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コレステロール塞栓症に対するLDLアフェレシスの有効性

石山 勝也 東北大学

2022.03.25

概要

背景:コレステロール塞栓症は動脈硬化性プラークが破綻し,コレステロール結晶が血中に流出することで 起こる疾患である.全身のあらゆる臓器に塞栓を来し虚血症状をもたらすが,代表的な標的臓器は脳,皮膚, 消化管,胆嚢,そして腎臓である.コレステロール塞栓症の腎病変は約 50%の症例に生じ,急性・亜急性か ら慢性まであらゆる経過で腎不全に至る.全身に高度の動脈硬化性疾患を有する患者に発症する疾患であるこ と,また,確立した治療法は存在せず予防や支持療法が主となることからコレステロール塞栓症は予後不良な 疾患である.近年の低侵襲医療の進歩に伴い,コレステロール塞栓症の誘因となる血管内治療の種類・適応は 拡大の一途を辿っている.このため,コレステロール塞栓症に対する治療法の確立は急務である.本邦ではス テロイドやスタチンなどの薬物治療に加えて LDL アフェレシスも試みられているが,これまでにその有効性 を前向きに検証した報告は存在しない.

目的:血管内操作および血管外科的手術後に発症したコレステロール塞栓症のうち,腎機能低下を示した患 者を対象にデキストラン硫酸カラム(リポソーバーLA-15)を用いた LDL アフェレシスの臨床的有効性およ び安全性を評価する.

方法:目標症例数を 35 例とし,血管内操作ないし血管外科的手術後に発症し急性から亜急性の経過で腎機 能障害を発症したコレステロール塞栓症を全国の 15 医療機関から募集し,ステロイドやスタチンなどの薬物 治療に加えてデキストラン硫酸カラム(リポソーバーLA-15)を用いた LDL アフェレシスを 4 週以内に 6 回 実施した.主要評価項目は治療開始 24 週時点の透析導入率でヒストリカルコントロールと比較した.副次的 評価項目は治療開始 24 週時点での生存率,コレステロール塞栓症による他臓器病変の出現率,また安全性の 評価として治療開始日から 24 週までに発生した有害事象を収集した.有効性の評価はプロトコル遵守集団を 対象とした.ヒストリカルコントロールには 1995 年から 2007 年に旧仙台社会保険病院において薬物治療単 独で治療されたコレステロール塞栓症 15 例を設定した.なお本試験は先進医療 B「コレステロール塞栓症に 対する血液浄化療法」(jRCTs022180029)として実施された.

結果:プロトコル遵守集団は 32 例で治療開始時の年齢 72.4±6.9 歳,Cr 3.82±2.29 mg/dL,eGFR 17.8± 9.9 mL/min/1.73 ㎡だった.治療開始後 24 週の透析導入率は 3.13%でヒストリカルコントロールの透析導入 率 40%と比較して有意に低かった(p <0.0001).一方,24 週時点での生存率は 81%でヒストリカルコントロ ールの生存率 67%との間に統計学的な有意差はみられなかった.また,他臓器病変は 15.6%(5 例:下肢の切 断 2 例,壊疽2例,黒内障 1 例)に出現した.安全性の解析対象集団は 34 例で,有害事象は 23 例(67.8%) に 45 件発現した.CTCAE Grade 4 の有害事象は急性循環不全,急性心不全,胸部大動脈破裂,出血性ショ ック,多臓器不全,大動脈解離,敗血症性ショック,腹膜炎の 8 例で,うち死亡に至った症例が 7 例生じた がいずれも本治療との因果関係はなしと判断された.

結論:コレステロール塞栓症により腎機能低下を示した患者に対して LDL アフェレシスを実施することで, 腎機能の改善効果が得られることが示された.安全性の面ではこれまでに知られている安全性プロファイルと 大きな相違はなく,新たに留意すべき事象はないと考えられた.

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