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大学・研究所にある論文を検索できる 「転写翻訳と共役した環状ゲノム複製サイクル」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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転写翻訳と共役した環状ゲノム複製サイクル

奈良 聖亜 立教大学

2022.06.03

概要

精製された因子を用いて生命現象を試験管内で再構成することは、対象とする生命現象の成立の境界条件を明らかにする上で重要であり、同時に、バイオテクノロジーのツール開発の基礎となる。これまでに、精製された大腸菌の因子を用いて転写と翻訳を試験管内で行うシステムが開発されており、PURE system と呼ばれている。また、大腸菌ゲノムの複製起点である oriC 配列に依存した、DNA 複製の試験管内再構成系も実現されており、ReplicationCycle Reaction (RCR)と呼ばれている。

本研究ではまず、様々な環状 DNA を RCR によって複製するための手法を開発した。RCRの鋳型となる DNA には oriC が必要である。そのため、如何にして環状 DNA に oriC を導入するかが課題であった。そこで、トランスポゾンを用いて oriC を挿入する技術を開発し、ミトコンドリア DNA などの様々な DNA を RCR によって増幅できることを示した。この方法によって、環境中の微量な環状 DNA なども増幅して解析できる可能性がある。

続いて、任意のゲノム構造を持った長鎖環状 DNA を、RCR を用いて試験管内で構築する技術を開発した。末端がオーバーラップした DNA 同士を DNA 組換え酵素を用いて連結する手法を RCR と組み合わせ、新型コロナウイルスを人工的に産生するためのプラスミドなど、様々な環状 DNA を試験管内で構築した。また、PCR では増幅が難しいとされる長大なリピート配列(約 60 kb)なども増幅できることを示した。

さらに、RCR と PURE system を共役させ(以下、PURE-RCR と呼ぶ)、大腸菌染色体の複製と転写・翻訳の衝突について解析した。構築した PURE-RCR 系においては、RCR における複製開始に必須な DnaA を遺伝子として供給し、その転写・翻訳に依存して RCR の複製反応が進むものである。また、RNA polymerase として大腸菌 RNA polymerase ホロ酵素を用いている。鋳型となる環状 DNA の分子数を減らすと PURE-RCR における DNA 増幅反応の効率が低下することを見出し、その主要な原因として複製と転写の衝突が考えられた。そこで、この衝突を回避するための機構について探索を進め、1) RNA polymerase の停滞を解消する因子 GreAB、2) 転写産物 RNA と鋳型 DNA との二重鎖である R-loop を分解する RNaseH、3) DNA helicase である UvrD あるいは Rep が、PURE-RCR 系における複製と転写の衝突回避に機能することが見いだされた。以上の結果は、複製と転写が同じ鋳型 DNA 上で効率よく進行するために、緻密な衝突回避の分子機構が機能していることを試験管内再構成系で初めて明らかにしたものである。

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