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大学・研究所にある論文を検索できる 「Chemistry on Flapping Fluorophores That Bridges Photochemistry and Polymer Mechanochemistry」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Chemistry on Flapping Fluorophores That Bridges Photochemistry and Polymer Mechanochemistry

Kotani, Ryota 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23025

2021.03.23

概要

申請者は所属する研究室において開発されてきた羽ばたく蛍光団FLAPを用いることで、その基底状態と励起状態における可逆なコンフォメーション変化と蛍光特性に着目し、新たな光機能性材料の開発に取り組んだ。それによって従来では解決できなかった励起状態芳香族性によるエネルギープロファイルの制御や、材料破壊前の分子レベルの応力集中の評価、さらにその知見を活かして、高分子材料の新しい強靭化メカニズムの提案に取り組んだ。

光機能性材料の特性を決定する上で、最低励起一重項状態(S1)のエネルギープロファイルを理解・制御することは重要である。まず申請者は、羽ばたく蛍光団FLAPの光機能を分子デザインによって制御すべく、蛍光性のπ拡張7員環オキセピンに着目した。するとπ拡張に伴ってS1芳香族安定化エネルギーが減少することを見出した。量子化学計算によって、π拡張に伴いS1エネルギープロファイルの傾きが緩やかになることを明らかにし、実験的な吸収・蛍光スペクトルの波長から、芳香族安定化エネルギーを10–20 kcal/molの範囲で調整できることを定量的に示した。この知見によりS1芳香族安定化エネルギーが分子設計によって制御できることを実証した。

従来高分子材料のマクロな安全性診断の手法として、偏光解析や高感度カメラによるひずみ解析など汎用的な手法が数多く開発されている。一方で、高分子材料の分子論的な立場から力学的負荷を実験的に評価する手法は確立されておらず、化学構造に基づく高分子材料の強靭化設計に関しては経験的な理解して得られていない。本研究では、FLAPの可逆なコンフォメーション変化と二重蛍光性が、従来の結合開裂や蛍光エネルギー移動を利用した力学応答材料では解析できなかった100ピコニュートンというメカノ応答閾値(量子化学計算により定量)であることを用いて、架橋高分子の局所的な応力集中の偏りを分子レベルで直接的に定量した。実際に架橋ポリウレタンの局所的な応力集中はひずみ硬化領域において架橋点近傍に集中することを実証し、蛍光スペクトル形状の変化から、今回のメカノ応答の割合はFLAPを架橋点に化学ドープした場合最大18%、主鎖の場合9%と見積ることに成功し、従来の共有結合切断型メカノフォアの1000倍の応答感度を示した。

申請者は前章において、分子レベルの応力集中が架橋高分子の架橋点近傍に偏って集中することを実証した。このことに着目し、本研究では応力集中の大きな架橋点近傍を補強することで、化学構造の理解に基づいた新しい高分子材料の強靭化の指針を提示した。具体的には、架橋点を単線架橋から複線架橋に変更することで、ガラス転移温度やヤング率を維持しつつ、架橋ポリウレタンの破断応力、靭性(材料を破壊するのに必要な仕事に対応)をそれぞれ6.3 MPaから9.9 MPa、24 MJ m−3から3 6 MJ m−3へと増大させることに成功し、従来の“犠牲結合”を利用した手法とは異なる強靭化メカニズムを提唱した。

以上のように申請者は、羽ばたく蛍光団FLAPの基底状態と励起状態に着目した研究課題を通して、光応答分子の機能開拓および材料開発に重要な知見をもたらした。

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