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大学・研究所にある論文を検索できる 「ZBTB2-mediated mechanisms behind the expression of a specific subset of HIF-1 target genes under hypoxia」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

ZBTB2-mediated mechanisms behind the expression of a specific subset of HIF-1 target genes under hypoxia

Chow, Christalle Cheuk Tung 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24947

2023.09.25

概要

(続紙 1 )
京都大学

論文題目

博士(生命科学)

氏名

Christalle Cheuk Tung Chow

ZBTB2-mediated mechanisms behind the expression of a specific subset
of HIF-1 target genes under hypoxia

(論文内容の要旨)
多 細 胞 生 物 体 内 の 酸 素 環 境 は 一 定 で は な く 、血 管 か ら 十 分 な 酸 素 が 供 給 さ れ な い 低 酸 素
環境が存在する。低酸素刺激に対する細胞の適応応答において重要な役割を果たす転写
因 子 と し て 、 hypoxia-inducible factor 1( HIF-1) が 知 ら れ て い る 。 HIF-1は 様 々 な 生 理 的 ・
病態生理的な状況下で低酸素刺激に応答して活性化するが、その制御下にある数百の遺
伝 子 全 て の 発 現 を 一 様 に 誘 導 す る 訳 で は な く 、HIF-1の 活 性 化 し た 局 面 に 応 じ て 異 な る 遺
伝子群の発現を誘導する。この様な、特定の遺伝子サブセットの選択的な発現誘導にお
いて活性化補助因子(コアクチベーター)が重要な役割を果たしていることが示唆され
て い る が 、 そ の 分 子 機 構 に は 不 明 な 点 が 多 い 。 申 請 者 ら は 近 年 、 HIF-1の コ ア ク チ ベ ー タ
ー の 1つ と し て zinc finger and BTB domain-containing protein 2 ( ZBTB2) を 同 定 し て い る
( Koyasu S and Chow CCT et al. EMBO Rep. 2023)。 そ こ で 本 研 究 で 申 請 者 は ZBTB2を モ デ
ル と し て 利 用 し 、 低 酸 素 条 件 下 で コ ア ク チ ベ ー タ ー が HIF-1 と 協 働 す る メ カ ニ ズ ム と 、
HIF-1下 流 遺 伝 子 の 発 現 に 与 え る 影 響 を 解 明 す る こ と を 試 み た 。
は じ め に 申 請 者 は 、低 酸 素 環 境 下 で 培 養 し た 細 胞 を 対 象 に ChIP-Seq解 析 を 実 施 し 、酸 素
濃 度 < 0.1%と い う 低 酸 素 条 件 下 で ZBTB2が HIF-1標 的 遺 伝 子 の 特 定 の サ ブ セ ッ ト に リ ク ル
ー ト さ れ る こ と を 示 し た 。 そ し て 、 当 該 サ ブ セ ッ ト に 含 ま れ て い た EGFR antisense RNA 1
( EGFR-AS1)の 発 現 が 、低 酸 素 条 件 下 で 実 際 に ZBTB2と HIF-1に よ っ て 誘 導 さ れ る こ と を
確 認 し た 。 EGFR-AS1遺 伝 子 座 の 塩 基 配 列 の 解 析 と ChIP-qPCR実 験 を 組 み 合 わ せ る こ と に
よ り 、 EGFR-AS1 の イ ン ト ロ ン 1 に HIF-1 の 認 識 配 列 で あ る エ ン ハ ン サ ー 配 列 hypoxiaresponse element( HRE) が 存 在 し 、 こ こ に HIF-1が 結 合 す る こ と を 確 認 し た 。 次 に 、 当 該
HREに 変 異 を 導 入 し た 細 胞 株 を 用 い て 、ZBTB2が EGFR-AS1の 発 現 誘 導 を 増 強 す る た め に
は 、 HIF-1が 当 該 HREへ リ ク ル ー ト さ れ る 必 要 が あ る こ と が 分 か っ た 。 ま た 、 低 酸 素 刺 激
に よ る EGFR-AS1の 発 現 誘 導 に 、 ア セ チ ル ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ p300を 介 し た ヒ ス ト ン 3リ
ジ ン 27の ア セ チ ル 化 ( H3K27ac) が 必 要 で あ り 、 ZBTB2が EGFR-AS1遺 伝 子 座 の H3K27ac
を 増 加 さ せ る こ と が 示 さ れ た 。 さ ら に 、ChIP-Seq解 析 と 、ChIP-Atlasで 公 開 さ れ て い る デ
ー タ を 統 合 し た 解 析 を 通 じ て 、 HIF-1 と ZBTB2 が 共 に リ ク ル ー ト さ れ て い る ATPase
Na+/K+ Transporting Subunit α 2( ATP1A2)遺 伝 子 も ま た 、EGFR-AS1と 同 様 の 遺 伝 子 発 現
制 御 を 受 け て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。一 方 、ZBTB2が リ ク ル ー ト さ れ な い 既 知 の HIF1標 的 遺 伝 子 で あ る carbonic anhydrase 9( CA9) や BCL2 Interacting Protein 3( BNIP3) は 、
ZBTB2に よ る 発 現 制 御 を 受 け な い こ と が 確 認 さ れ た 。こ れ ら の 結 果 は 、HIF-1の 制 御 下 に
ある低酸素誘導性遺伝子群のうち、状況に応じて必要な遺伝子サブセットの発現を特異
的 に 誘 導 す る 際 に 、異 な る コ ア ク チ ベ ー タ ー が HIF-1と 協 調 し て 、標 的 遺 伝 子 座 の ヒ ス ト
ン を p300依 存 的 に ア セ チ ル 化 す る メ カ ニ ズ ム が 存 在 す る こ と を 示 し て い る 。
以 上 の よ う に 本 研 究 で 申 請 者 は 、 低 酸 素 条 件 下 で HIF-1と と も に 機 能 す る コ ア ク チ ベ ー
タ ー の 1つ と し て ZBTB2に 着 目 し 、 HIF-1標 的 遺 伝 子 の 特 定 の サ ブ セ ッ ト の 発 現 を 特 異 的
に増強する分子メカニズムの一端を明らかにすることに成功した。

(続紙 2 )
(論文審査の結果の要旨)
低 酸 素 刺 激 に 対 す る 細 胞 の 適 応 応 答 は 、主 に hypoxia-inducible factor 1( HIF1)と い う 転 写 因 子 に よ っ て 制 御 さ れ て い る 。数 百 に も 及 ぶ HIF-1標 的 遺 伝 子 の 発
現 誘 導 に は 、 HIF-1と 他 の 活 性 化 補 助 因 子 ( コ ア ク チ ベ ー タ ー ) と の 相 互 作 用 が
必 要 で あ り 、コ ア ク チ ベ ー タ ー の 違 い が 、特 定 の 遺 伝 子 サ ブ セ ッ ト を 発 現 誘 導 す
る 選 択 性 を 担 保 し て い る と 考 え ら れ て い る 。し か し 、そ の 基 盤 と な る 分 子 機 構 に
ついては未解明な点が多い。
こ の 様 な 状 況 下 で 本 論 文 著 者 は 、 自 身 ら が 見 出 し た 新 規 の HIF-1コ ア ク チ ベ ー
タ ー zinc finger and BTB domain-containing protein 2( ZBTB2) が 、 低 酸 素 下
で 特 定 の HIF-1標 的 遺 伝 子 の 発 現 を 増 強 す る こ と を 示 し 、か つ そ の 分 子 メ カ ニ ズ
ムを解明した。
具 体 的 に は 、ChIP-Seq解 析 と ChIP-Atlasで 公 開 さ れ て い る デ ー タ ベ ー ス の 解 析
を 組 み 合 わ せ る こ と で 、 HIF-1と ZBTB2の ピ ー ク が 重 複 す る HIF-1標 的 遺 伝 子 の
サ ブ セ ッ ト が 存 在 す る こ と を 見 出 し た 。当 該 遺 伝 子 サ ブ セ ッ ト に 含 ま れ る 代 表 的
な 遺 伝 子 EGFR antisense RNA 1( EGFR-AS1) を モ デ ル と し て 解 析 を 進 め る こ
と に よ っ て 、 EGFR-AS1イ ン ト ロ ン 1の 中 に 存 在 す る HIF-1認 識 配 列 ( hypoxiaresponse element: HRE) に HIF-1が 結 合 す る と 、 ZBTB2が リ ク ル ー ト さ れ 、 当
該 遺 伝 子 座 の ヒ ス ト ン が p300 依 存 的 に ア セ チ ル 化 修 飾 を 受 け 、 低 酸 素 下 で
EGFR-AS1 の 発 現 が 誘 導 さ れ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 対 照 的 に 、 carbonic
anhydrase 9( CA9)や BCL2 Interacting Protein 3( BNIP3)の よ う な 、ZBTB2
が リ ク ル ー ト さ れ な い HIF-1標 的 遺 伝 子 の 発 現 は 、ZBTB2に よ っ て 増 強 さ れ な か
っ た 。こ れ ら の 知 見 は 、ZBTB2が HIF-1の 制 御 下 に あ る 特 定 の 遺 伝 子 サ ブ セ ッ ト
の HRE近 傍 に リ ク ル ー ト さ れ る コ ア ク チ ベ ー タ ー で あ り 、 p300依 存 的 な ヒ ス ト
ン ア セ チ ル 化 を 介 し て 、発 現 誘 導 さ れ る べ き 遺 伝 子 サ ブ セ ッ ト の 選 択 を 担 っ て い
ることを示している。
以上のように本論文著者は、これまで未知であった「低酸素刺激において発現
誘 導 さ れ る べ き 遺 伝 子 群 を 選 択 す る 分 子 機 構 の 理 解 」を 大 き く 前 進 さ せ た 。HIF1が が ん 治 療 に お け る 有 効 な 治 療 標 的 と し て 認 識 さ れ て い る 状 況 下 、 特 定 の コ ア
ク チ ベ ー タ ー と HIF-1の 協 働 を 阻 害 す る こ と に よ っ て 、 特 定 の HIF-1下 流 遺 伝 子
の 発 現 を 抑 制 で き る 可 能 性 を 示 す 研 究 成 果 で あ り 、 HIF-1阻 害 の コ ン セ プ ト に 一
石を投じる重要な研究であると評価できる。
本論文は優れた論理構成によって一貫性を持って記載されており、申請者の生
命 科 学 に 関 す る 高 度 で 幅 広 い 学 識 、酸 素 生 物 学 と 腫 瘍 生 物 学 分 野 に お け る 優 れ た
研 究 能 力 、そ し て 生 命 科 学 の 理 解 と 発 展 に 繋 が る 新 し い 発 見 を 示 す 内 容 と な っ て
い る 。以 上 の こ と か ら 、本 論 文 を 博 士( 生 命 科 学 )の 学 位 論 文 と し て 高 い 価 値 が
あるものと認めた。
な お 、令 和 5 年 8 月 7 日 、論 文 内 容 と そ れ に 関 連 し た 口 頭 試 問 を 行 な っ た 結 果 、
合格と認めた。

論文内容の要旨及び審査の結果の要旨は、本学学術情報リポジトリに掲載し、公表と
する。特許申請、雑誌掲載等の関係により、学位授与後即日公表することに支障がある
場 合 は 、以 下 に 公 表 可 能 と す る 日 付 を 記 入 す る こ と 。
( た だ し 、学 位 規 則 第 8 条 の 規 定 に
よ り 、 猶 予 期 間 は 学 位 授 与 日 か ら 3 ヶ 月 以 内 を 記 入 す る こ と 。 ...

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