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大学・研究所にある論文を検索できる 「スロースリップの検出に向けた海底地震記録の自己相関解析と室内摩擦実験からの考察」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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スロースリップの検出に向けた海底地震記録の自己相関解析と室内摩擦実験からの考察

植村, 美優 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23015

2021.03.23

概要

世界中の地震の多くはプレートの沈み込み帯で発生している。近年、多くの沈み込み帯で、通常の地震と比べて破壊の時定数の長いスロースリップが検出されている。また、いくつかの大地震についてはその発生に先行してスロースリップが観測されており、スロースリップにより大地震が誘発された可能性も指摘されている。スロースリップの検出方法としては、GNSS観測や歪・傾斜観測などの測地学的な手法が通常用いられている。また、スロースリップと同時に観測される低周波微動による検出や、スロースリップに伴う歪み場の変化を地震学的手法により検出する方法も近年提案されている。常時微動を用いた地震波干渉法によるスロースリップの検出では常時微動の波源の年周変化が時間変化として観測される。すなわち、スロースリップの検出において年周変化による見かけの変化も考慮した上で、その時間変化を評価しなければならない。本論文では、特に常時微動を用いた自己相関解析によるスロースリップの検出に向けて、屋内摩擦試験及び海底地震観測記録の解析を行い、自己相関解析上の時間変化とその要因について考察を行った。

断層を模したガウジ層を挟んだステンレス製ブロックセットを用いた二軸摩擦実験 (Slide-Hold-Slide)実験では、変位(Slide)と停止(Hold)に伴う反射波と透過波の走時及び振幅の変化を調べた。スロースリップの断層として想定したガウジ層を透過する波では変位時に振幅低下と伝搬速度の低下、停止中に振幅増加と伝搬速度の上昇が検出された。また、ガウジ層からの反射波について変位時に振幅増加、停止時に振幅減少が検出された。透過波の時間変化から求めたガウジ層内の伝播速度の時間変化がガウジ層内の密度の時間変化と相関することが示された。ガウジ層内の密度変化は、反射波と透過波の振幅変化としても観測された。これらの結果は、プレート境界からの反射波や透過波の調査・観測において、地震やスロースリップの断層の密度変化を振幅や走時の変化として検出できる可能性を示す。

2011年東北地方太平洋沖地震を含む5ヶ年間で本震震源域の直上に設置された海底地震計記録を解析した。ここでは常時微動記録に地震波干渉法を適用し、その自己相関関数を15日毎に求めた。さらに、それらの自己相関関数の時間変化から観測点周辺の地震波速度変化を調べた。結果、海溝に近い観測点で本震に伴う2%未満の地震波速度低下とその回復過程が検出された。さらに得られた自己相関関数の振幅や卓越周波数の時間変化から、冬季と夏季に二分される年周変化が検出された。この年周変化は、特に海面上の風により励起される海底の常時微動の時間変化に因る。さらに、年周変化を考慮することでスロースリップに伴う自己相関関数の時間変化の検出に成功した。

二軸摩擦実験における弾性波の時間変化と沈み込み帯で発生したスロースリップに伴う常時微動の自己相関関数の時間変化を先行研究の事例も含めて比較した。その結果、2011年東北地方太平洋沖地震に先行したスロースリップは、従来推定されている開始時期よりも早く、そのすべりが開始していた可能性が示された。

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