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大学・研究所にある論文を検索できる 「自然岩石試料の電気トモグラフィーに向けた電流印加表面電位分布の計測手法」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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自然岩石試料の電気トモグラフィーに向けた電流印加表面電位分布の計測手法

鈴木, 健士 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23710

2022.03.23

概要

地震発生場や火山活動のプロセスなどの理解を目的として広く実施されている地下比抵抗構造探査の結果の解釈には、室内実験で得られた岩石物性が参照されることが多い。このような室内での電気測定において、試料の平均的な比抵抗計測ではなく内部比抵抗構造をとらえる計測手法を構築できれば、X線CTなどによる可観測な物理量との対比により推定可能な構造がそれ以下の詳細構造をどう反映するかの検証が可能になる。しかし、内部構造推定に使用可能な大きさの岩石試料に対する電気計測は、技術的制約から計測条件や対象が限られていた。本論文では、自然岩石試料内部の比抵抗構造を推定する上で特に大きな障害であった高比抵抗・高接触抵抗試料に対する多点電気計測の手法を構築することを目的として、計測上の問題を克服する方法を提案して有効性を検証するとともに、試験測定の過程で得られた結果を考察し、あわせて試料内部の不均質構造の検出性能を評価した。これらを6章構成でまとめている。

まず第1章で、開発研究を進める上での問題意識や科学的意義を記述し、岩石試料に対する電気測定の課題を整理した上で、研究の目的を述べている。続く第2章では、実際の計測データの解析やケーススタディに用いるために開発した有限差分法の数値計算コードを説明している。これは、先行研究においてデカルト座標系で定式化されたものを円筒座標系に拡張したもので、その精度を解析解との比較で評価した。

第3章では、まず、高比抵抗・高接触抵抗試料の電気計測における様々な課題について整理し、解決策を提示した。構築した計測手法の要点は、接着性や設定自由度の高い電極の選定、安定制御可能な直流定電流源の導入、高入力インピーダンスの電圧計の選定、電流漏洩を防ぐための回路構成、種々のノイズ低減策であり、具体的な機器を例示しつつ詳述した。構築した手法を自然乾燥状態の花崗岩試料に適用することで、実測値が期待通りに高い安定性を持つことを確認した。また、推定される試料比抵抗の確度の評価として、岩石より物性値のばらつきが少ないと考えられる人工試料に対して本手法および従来のバルク比抵抗測定法を適用して、得られた推定値を比較した。第4章では、構築した電気計測手法で多電極アレイ測定を行った。無垢な試料と切れ込みを加工した試料のそれぞれで、電流印加時の試料表面の電位分布を測定し、数値計算から期待される分布とよく一致する測定値が得られることを確かめた。第5章では、まず、試験測定の過程で明らかになった試料抵抗と接触抵抗の高い湿度依存性の原因を議論した。比抵抗変化が試料表層だけでなく試料内部でも起きている可能性が高いことを数値実験で推論し、測定結果の精査や空隙内の水分子の移動速度の見積もりに基づき、湿度・温度変化にともなう空隙内への空気の流入・流出が湿度依存性の主要因である可能性が高いと結論付けた。また、フラクチャーを不均質構造としてモデル化したケーススタディを実施し、電位分布測定の計測精度と比較することで不均質構造の検出限界を評価し、形状・大きさごとに検出可能な母岩と不均質構造の比抵抗コントラストの下限を見積もった。最後に第6章にて、本研究の成果をまとめ、開発した計測手法を用いた今後の研究について展望した。

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