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大学・研究所にある論文を検索できる 「Studies on the biosynthesis of dialkylbenzene- containing natural products produced by Streptomyces」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Studies on the biosynthesis of dialkylbenzene- containing natural products produced by Streptomyces

張, 倢 東京大学 DOI:10.15083/0002006875

2023.03.24

概要

























本論文は、放線菌 Streptomyces sp. SANK 60404 が生産する 2-amino-3-hydroxycyclopent2-enone (C5N) が 付 加 し た 2 つ の ジ ア ル キ ル ベ ン ゼ ン 含 有 天 然 化 合 物 、 CBT-1
[(2E,4E,6E,8E)-N-(2-hydroxy-5-oxocyclopent-1-en-1-yl)-9-(o-tolyl)nona-2,4,6,8-tetraenamide]
と CBT-2 [(E)-N-(2-hydroxy-5-oxocyclopent-1-en-1-yl)-5-(o-tolyl)pent-4-enamide]の生合成に
関するものであり、序論、本論(4 章からなる)
、総括から構成されている。
CBT-1 と CBT-2 は、安定同位体標識した酢酸ナトリウムを用いたトレーサー実験か
ら、ポリケタイド合成酵素によって生合成されることが証明されていた。しかしながら、
その生合成機構の詳細は解析されておらず、特に、天然には極めて稀なジアルキルベン
ゼン構造を構成する o-tolyl 基の生合成機構に関する知見は、他の天然化合物を含めて
も全く無かった。本研究は、CBT-1 と CBT-2 の生合成研究を通して、ペリ環状反応の一
つである 6π-電子環状反応を触媒する酵素を初めて同定し、その反応機構を提唱してい
る。
序論では、天然化合物に関する一般論と、ポリケタイド化合物の生合成、ペリ環状反
応について記述し、本研究の目的を述べている。続く第 1 章では、CBT-1 と CBT-2 の生
合成遺伝子群である mbg クラスターの各遺伝子破壊株の作製と、それらの解析結果に
ついて記述している。加えて、バイオインフォマティクス解析により各 mbg 遺伝子の
機能を推定している。
第 2 章では、19 個の mbg 遺伝子(mbg0–3, mbg5–10, mbg14–17, mbg21–25)と C5N 部
位の生合成を担う 3 個の生合成遺伝子を合わせた合計 22 個の遺伝子を、大腸菌または
放線菌 Streptomyces lividans TK23 株を宿主として発現させて、可溶性タンパク質として
調製することに成功している。ついで、これら 22 個の可溶性タンパク質と malonyl-CoA、
NADPH などの基質を加えてインキュベートすることで、CBT-1 が合成されることを確
認し、CBT-1 とその C5N 非付加カルボン酸である(2E,4E,6E,8E)-9-(o-tolyl)nona-2,4,6,8tetraenoic acid (6)の acyl carrier protein (ACP)体(6-ACP)を合成するための in vitro 再構成
系を確立している。
第 3 章においては、前章で確立した 6-ACP の in vitro 再構成系から、一つずつ酵素や
基質を取り除いてインキュベートし、蓄積する中間体を同定することで、各酵素の機能

を同定すると同時に、6-ACP の生合成経路を明らかにしている。また、その過程で 6ACP の中間体である(2E,4E,6E)-octa-2,4,6-trienoic acid (3)の ACP 体(3-ACP)を合成する
のに必要な酵素を同定するとともに、3-ACP から o-tolyl 基を持つ(E)-3-(o-tolyl)acrylic
acid (4)の ACP 体(4-ACP)への生合成系も決定している。
第 4 章では、前章で決定した 4-ACP 生合成系を精査することで、4-ACP の o-tolyl 基
の生合成機構を提唱している。すなわち、この生合成機構ではまず、Mbg6-Mbg5 複合
体が 3-ACP と malonyl-CoA の縮合反応を触媒し、C2 単位を一回だけ伸長して C10 の
(4E,6E,8E)-diketo-triene 中間体を生成する。次に、Mbg2 が、その活性中心ポケットに、
この diketo-triene 中間体を取り込み、6E から 6Z へのシス-トランス異性化反応とその
後の 6π-電子環状反応を触媒することで、(E)-3-(6-methylcyclohexa-2,4-dien-1-yl)acrylic
acid (11)の ACP 体(11-ACP)を生成する。最後に、Mbg17 が FAD 存在下、11-ACP の
cyclohexadine 部の隣り合う 2 つの sp3 炭素を不飽和化して 4-ACP を生成する。
総括では、CBT-1 と CBT-2 の生合成機構の全容について述べている。また、他のジア
ルキルベンゼン含有天然化合物の生合成遺伝子を精査することで、Mbg2 と Mbg17 のホ
モログが関与するジアルキルベンゼン構造の生合成機構の普遍性について考察してい
る。最後に、本研究で見出した Mbg2 は、生体反応で見出されるペリ環状反応の酵素レ
パートリーを拡大する“electrocyclase”と称すべき新しい pericyclase であると総括して
いる。
以上、本研究は、ジアルキルベンゼン含有天然化合物 CBT-1 と CBT-2 の生合成経路
の全容を明らかにするとともに、6π-電子環状反応を触媒する“electrocyclase”を世界で
初めて同定し、その反応機構を提唱している。さらには、本研究は、この“electrocyclase”
による反応が、ジアルキルベンゼン含有天然化合物に共通の生産システムであることも
洞察しており、学術上応用上寄与するところが少なくない。よって、審査委員一同は本
論文が博士(農学)の学位論文として価値あるものと認めた。

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