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大学・研究所にある論文を検索できる 「Analysis of transcriptional regulation in Toxoplasma gondii sporozoites [an abstract of entire text]」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Analysis of transcriptional regulation in Toxoplasma gondii sporozoites [an abstract of entire text]

木髙, 大志 北海道大学

2022.09.26

概要

トキソプラズマ原虫はヒトを含めたすべての哺乳類に感染し、トキソプラズマ症を引き起こす原虫である。トキソプラズマ原虫は動物種や宿主の免疫状態により、その形態を変化させる。その中で、伝播と病原性に関わる代表的なステージとして、タキゾイト、ブラディゾイトおよびスポロゾイトが知られている。タキゾイトおよびブラディゾイトはフラスコ内での培養も容易なため、ステージ特異的な遺伝子発現制御機構において様々な実験がなされてきた。その結果ブラディゾイトステージ変換をターゲットにした抗トキソプラズマ薬やワクチン等の開発にも発展している。しかしながら、終宿主であるネコ科の動物のみから排出されるオーシスト内で形成されるスポロゾイトにおいては、invitroでの培養法が確立されておらず、倫理的な観点からサンプルの調整が困難なため、スポロゾイトステージ特異的遺伝子の制御機構について解明されている事は多くない。そこで、本研究ではスポロゾイトステージに焦点を置き、遺伝子発現制御機構を解明するために以下の研究を行った。

第1章では、RNA-seqおよびTSS-seqを組み合わせることで発現プロファイリングとプロモータープロファイリングを精緻に取得し、その結果、スポロゾイトで初めてTGTANNTACAからなるモチーフを同定した。また、当該モチーフは、各TSSより-50塩基から-75塩基の領域に分布しており、さらにスポロゾイト特異的なプロモーターに有意に濃縮していることが分かった。アピコンプレックス門原虫の転写制御では一般にcis-elementとTSSの距離が一定に保たれており、当該モチーフが転写におけるcis-elementとして機能する可能性が強く示唆された。興味深いことに、当該モチーフは一部のマラリア原虫でも報告があり、他のアピコンプレックス門原虫におけるモチーフの有無や機能するステージ、さらには配列の多様性を確認することができれば、アピコンプレックス門における遺伝子制御機構の進化的解明につながる可能性がある。

第2章では、第1章で発見したスポロゾイト特異的モチーフを、終宿主であるネコ科の動物を使わずに、機能証明することに挑戦した。そこで、タキゾイトステージの遺伝子発現制御機構を攪乱し、タキゾイトステージ以外の遺伝子を強制的に発現させるヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(HDACi)に着目し、トリコスタチンA(TSA)およびスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)により刺激された細胞外タキゾイトのRNA-seqを行った。その結果、第1章で同定された720個のスポロゾイト特異的遺伝子のうち、TSAとSAHAでそれぞれ47個と30個の遺伝子に発現上昇がみられることが確認された。これらの遺伝子の中から(i)スポロゾイト特異的遺伝子であること(ii)TSAおよびSAHAの刺激により共通して発現が上昇すること(iii)TGTANNTACAモチーフが主要TSSピークの上流-15塩基から115塩基中に存在することを指標に、TGME49_205090遺伝子を選抜した。当該遺伝子プロモーターを利用してレポーターアッセイを行った結果、コントロールと比較してTSAでは約180倍、SAHAでは約40倍の発現上昇がHDACi刺激後4時間で見られた。一方で、モチーフを変異させた株を刺激した場合、TSAおよびSAHAともに変異無し株と比べて発現の上昇は半分以下となった。この結果から、TGTANNTACAモチーフはスポロゾイト遺伝子を特異的に制御している可能性が示唆された。

以上、本研究ではプロモーターに存在するスポロゾイト特異的モチーフを初めて解析により同定した。さらにそのモチーフが機能的であることをネコ科の動物を用いずに証明することができた。今後、この方法を培養が困難もしくは現段階で確立されていないガメートサイト等のステージにも拡大、応用することで、ステージ変換における遺伝子制御機構の深層を理解し、トキソプラズマ症により効率的に対抗するための知見を得ることが可能であると考える。

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