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書き出し

Study on the molecular basis of rabies virus P-protein targeting inhibition of the human JAK-STAT pathway [an abstract of entire text]

杉山, 葵 北海道大学

2023.09.25

概要

Title

Author(s)

Citation

Issue Date

Doc URL

Study on the molecular basis of rabies virus P-protein targeting inhibition of the human JAK-STAT pathway [an
abstract of entire text]

杉山, 葵

北海道大学. 博士(生命科学) 甲第15609号

2023-09-25

http://hdl.handle.net/2115/90794

Type

theses (doctoral - abstract of entire text)

Note

この博士論文全文の閲覧方法については、以下のサイトをご参照ください。

Note(URL)

File Information

https://www.lib.hokudai.ac.jp/dissertations/copy-guides/

Aoi_Sugiyama_summary.pdf

Instructions for use

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

学 位 論 文 の 要 約
博士の専攻分野の名称 博士(生命科学)

氏名

杉山 葵

学 位 論 文 題 名
Study on the molecular basis of rabies virus P-protein targeting inhibition of the human JAK-STAT pathway
(狂犬病ウイルス P 蛋白質がヒト JAK-STAT 経路を阻害する分子機構の解明)
新型コロナウイルス SARS-CoV-2 のように,ウイルスはゲノム変異により宿主指向性や病原性が
常に変化する可能性を孕んでいる。この変化は,宿主細胞受容体との親和性や,宿主の免疫機構を
阻害できるか否かに起因する。従って,弱毒ウイルスが強毒化する可能性を考える上で,宿主免疫
阻害機構を理解することは緊喫の課題といえる。宿主のインターフェロン (IFN) 経路において中心
的な役割を担う STAT1 は,ウイルスが宿主の免疫を阻害する機構”Counteraction”の標的の一つとし
て有名である。一方,幅広い宿主に対し致死性を示す狂犬病ウイルス(rabies virus, RABV)は,自身
のウイルス RNA にコードされた P 蛋白質を用いて STAT1 を阻害することで,RABV が増殖しやす
い環境を整えている。
先行研究により,RABV の P 蛋白質は,C 末端ドメイン (RVP CTD)を用いて STAT1 を不活化す
ることが報告されていた。不活化機構の解明のため,これまでの研究では共免疫沈降法等の細胞生
物学手法が用いられてきた。本来 STAT1 は,抗ウイルス状態の細胞内で①非リン酸化二量体 (USTAT1),②Y701 がリン酸化された四量体 (pYSTAT1) に続く核移行を経て,③抗ウイルス遺伝子の
プロモーター領域 (GAS) に結合することで,抗ウイルス活性を示す。しかしながら,細胞生物学手
法では,①から③のうち,どの状態の STAT1 をターゲットとし,どのような分子機構で RVP CTD による
不活化が行われるのか不明であった。RVP CTD は,RABV 粒子の増殖を可能にし,RABV の宿主
指向性(どの生物種に感染可能か)を決定する重要な因子であるため,RVP CTD と STAT1 の相互作
用を分子レベルで解明することは,狂犬病の病原性の発現理解に極めて重要であるにも関わらず,
両者の相互作用基盤は未だ不明である。そこで本研究では,RVP CTD と STAT1 の相互作用分子基
盤の解明を目的とし,大腸菌発現系を用いて RVP CTD 並びに STAT1 の組み換え蛋白質を高純度・
高濃度で精製し,両者の相互作用定量法の確立及び,致死性を示さない(弱毒性の) リッサウイルス
である Duvenhage ウイルス (DUVV) P 蛋白質 C 末端ドメイン (DUVVP CTD)の X 線結晶構造解析
により,致死性蛋白質との立体構造比較を行った。
STAT1 は前述の通り,細胞内で3つの状態(U-STAT1, pYSTAT1,DNA 結合体)が存在しており,
運動性の低い Core ドメインに,運動性の高いループを有する C 末端および N 末端ドメインがそれぞ
れ付加された全体構造をとる。他種ウイルスにおいても,STAT1 の N 末端ドメインのみを標的とする
例や,U-STAT1 を主な標的とする例など,STAT1 阻害領域の報告は様々なウイルス種で多岐に渡
る。また,細胞を用いた先行研究により,致死性を示す狂犬病ウイルス RVP CTD のW265 をGに変異
させると STAT1 との相互作用が低下し,致死性が無くなることが報告されていた。さらに,狂犬病ウイ
ルスと同じラブドウイルスである DUVV は,265 番目のアミノ酸残基がGである天然P蛋白質を保持し
ており,弱毒性であることが知られている。本研究では,W265 の重要性を立体構造の観点から考察
するために,弱毒性 DUVV P CTD の結晶構造を 2.2Å で決定し,265 番目付近の立体構造を,既知
の致死性リッサウイルスP蛋白質CTD4 種(RVP CTD Nishigahara 株, RVP CTD CVS 株, RVP CTD PV
株, Mokola virus)と比較した。その結果,265 番目に位置する疎水性残基の表面形状が,弱毒性
DUVV では窪んでいたのに対し,致死性ウイルス4種では嵩高かった。265 番周辺の疎水性領域を
構成する他の残基は,致死性・弱毒性でよく一致し,立体構造に大きな差がなかったことから,265 番

目の1残基のみの嵩高さが,両ウイルス間の相違点だった。さらに,各蛋白質分子における,結晶パ
ッキングを比較したところ,265 番目に嵩高い疎水性残基をもつ 4 種の致死性ウイルスは,隣の分子と
相互作用した状態でパッキングされていたのに対し,弱毒性 DUVV では,パッキング内での分子間
相互作用がみられなかった。このことから,265 番目の疎水性アミノ酸は露出しているより,何らかの相
互作用をするほうが熱力学的に安定であることが実際に結晶中で確認できた。つまり,この 265 番目
の部位は,細胞中においては,宿主の免疫分子である STAT1 との相互作用に大きく寄与し,リッサウ
イルスの強毒性の要因になる可能性が考えられる。
本研究により明らかになった,狂犬病ウイルス RVP CTD における 265 番目のアミノ酸残基の嵩高
さが,STAT1 認識に重要であるという情報は,将来的に弱毒ウイルスが強毒化する可能性を論じるこ
とや,高価な既存ワクチンの問題点を解決する,安価かつ高安全性を合わせ持つ弱毒ウイルス生ワ
クチン開発に繋がる。 ...

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