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大学・研究所にある論文を検索できる 「70歳以上の子宮体がん症例の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

70歳以上の子宮体がん症例の検討

信田 侑里 60823896 天野 創 20613467 0000-0003-2919-6337 笠原 恭子 00781501 西村 宙起 樋口 明日香 90613480 出口 真理 80866674 中村 暁子 70839430 村頭 温 木村 文則 90322148 0000-0002-9840-4227 村上 節 20240666 0000-0002-0250-0856 滋賀医科大学

2021.10

概要

緒言
 高齢の悪性腫蕩患者では身体機能の低下や併存症などによりリンパ節郭清や術後補助療法等の治療を省略することがある.このような縮小治療が予後にどのような影響を与えるかについては明らかではない.高齢子宮体がん患者に縮小治療を行った場合,どのような患者群の予後に影響が大きいか考察することを目的として本検討を行った.

方法
 2000年1月から2020年12月までに当院で病理学的に子宮体がんと診断された症例のうち初回治療時70歳以上のものを対象とした.術前進行期I・II期(早期がん),III・IV期(進行がん)それぞれについて標準治療群と縮小治療群に分け,臨床経過を後方視的に検討したTypeI(類内膜癌Gl・G2)かつIA期では手術(単純子宮全摘術,両側付属器切除術,骨盤リンパ節郭清術)が,Typell(類内膜癌Gl・G2以外)あるいは組織型によらずIB~III期の癌症例では手術(単純子宮全摘術,両側付属器切除術,後腹膜リンパ節郭清術)と化学療法が,癌IV期・肉腫では手術と化学療法が行われているものを標準治療群とした.

結果
 対象症例は55例で早期がんは43例(I期37例,II期6例),進行がんは12例(III期9例,IV期3例)であった(表1).術前診断が早期がんで術後にリンパ節転移陽d性のために進行がんと診断された症例はなかった.
 早期がんでは標準治療群21例中再発はO例であったが,縮小治療群22例中4例(18%)が再発・原病死していた(表2).進行がんでは標準治療群7例中6例(85%に縮小治療群5例中2例が再発・原病死した.
 早期がんにおいて,年齢は縮小治療群で有意に高く(中央値71歳vs78歳,p<0.05),追跡期間は標準治療群で長かった(中央値60カ月vs25カ月,p<0.05)表(3).また,心不全,腎不全,脳血管疾患などの重篤な併存症は縮小治療群で、有意に多かったが,Typel内膜癌の割合や,I期の割合に差は認めなかった.
 早期がんの縮小治療群で再発・原病死した4例の臨床進行期はIB~II期であった4例のうち3例はTypell内膜癌で、あったが,類内膜癌G2の症例も1例含まれていた表(4).治療を縮小した理由は高齢,耐糖能異常,統合失調症,心不全,糖尿病輸血拒否であった4例のrecurrentfreesurvival(RFS)は3~31カ月,overallsurvival(OS)は14~57カ月であった図(1,2).IB~II期の症例は標準治療群5例,縮小治療群16例であり,そのうちTypel内膜癌は標準治療群1例,縮小治療群6例であった(表5).

考察
 高齢の早期がんでは標準治療群が全例無病生存していた一方で,縮小治療群で再発・原病死を認めており,これらはすべて臨床進行期IB~II期の症例であったことから,IB~II期についてはできる限り標準治療を行うことで予後が改善される可能性があると考える.一方,IA期は縮小治療群でも1例も再発を認めず,また進行がんで、は標準治療を行っても原病死に至る症例が多かったことからこれらの症例では標準治療が予後に与える影響は小さいと考えられた.

結論
 本検討からはIB~II期の症例が最も標準治療を行う意義が大きいと推察された.

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