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大学・研究所にある論文を検索できる 「Comprehensive evaluation of the effects of diet interventions and gut microbiota modulations on polycystic ovary syndrome(PCOS)」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Comprehensive evaluation of the effects of diet interventions and gut microbiota modulations on polycystic ovary syndrome(PCOS)

ギーシッカー サヴィンディ ガンマッデゴタ リヤナゲー 東京大学 DOI:10.15083/0002006871

2023.03.24

概要





















Geethika S.G. LIYANAGE

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、世界全体で生殖年齢の女性の 6-18%にみられる最も一
般的な内分泌疾患である。月経不順、高アンドロゲン血症、多嚢胞性卵巣が PCOS の 3 大
症状であり、不妊の原因の 1 つである。肥満やインスリン抵抗性などの様々な代謝異常が
PCOS と関連していることが報告されており、また、腸内細菌叢の乱れと PCOS 発症の関
連も示唆されている。このことから、代謝異常の改善作用や腸内細菌叢の改善作用を有する
機能性食品が PCOS の予防・改善に寄与することが期待されているが、PCOS に対する食
による介入研究事例は少ない。本研究では、食品の機能性による PCOS の予防・改善作用
を検証し、その作用機序を解明することを目的としている。本論文は研究背景について述べ
られた第 1 章と 3 章からなる本編、総合討論と将来展望からなる。
第 1 章では、PCOS の特徴や先行研究、本研究で扱う食品成分についての研究知見の紹
介など研究背景と本研究の着想、目的について述べられている。
第 2 章では、PCOS モデル動物に対して、食による介入を行い、PCOS 症状の発症予防
効果の検証とその作用機序推定を試みている。メスラットに、21 日間の間、大豆イソフラ
ボン食、難消化性デンプン食、抗生物質カクテル、および、大豆イソフラボン+難消化性デ
ンプン食、大豆イソフラボン食+抗生物質カクテルを摂取させ、同時にアロマターゼ阻害剤
であるレトロゾールの経口投与を行い、PCOS 発症を誘導している。PCOS 症状である月
経不順、高アンドロゲン血症、多嚢胞性卵巣を解析し、その発症抑制効果を検証している。
結果として、難消化性デンプン食の摂取が PCOS 症状のうち、月経不順と多嚢胞性卵巣の
発症を抑制することを明らかにしている。また、大豆イソフラボンの代謝物が月経不順と多
嚢胞性卵巣の発症を抑制する効果を有することを示している。さらに、腸内細菌叢解析によ
り、PCOS 発症抑制の作用機序として腸内細菌叢の関与を示し、PCOS 発症抑制に寄与す
る細菌種の特定を行っている。そして、腸内細菌叢がリーキーガットの改善と短鎖脂肪酸産
生経路を介して、PCOS 発症抑制に寄与する可能性を見出している。
第 3 章では、PCOS モデル動物に対して、食事制限とともに、大豆イソフラボン、難消化
性デンプンによる介入を行い、PCOS 症状の予防改善効果の検証とその作用機序推定を試
みている。メスラットに対し、食事制限とともに 21 日間のレトロゾール経口投与を行い、

PCOS 発症を誘導している。その後、大豆イソフラボン食、難消化性デンプン食、抗生物質
カクテル、および、大豆イソフラボン+難消化性デンプン食、大豆イソフラボン食+抗生物
質カクテルを 14 日間摂取させている。第 2 章と同様に PCOS 症状である月経不順、高アン
ドロゲン血症、多嚢胞性卵巣を解析し、その発症抑制効果を検証している。結果として、食
事制限が血中テストステロン濃度上昇を抑制するという過去の発見に加え、抗生物質カク
テルの摂取が PCOS 症状のうち、月経不順と高アンドロゲン血症を改善することを示して
いる。その作用機序として、抗生物質カクテル摂取によるリーキーガット改善が PCOS 症
状の改善に寄与する可能性を見出している。
第 4 章では、肥満と PCOS 症状の関係を明らかにすることを目的に、高脂肪高フルクト
ース食負荷動物における PCOS 発症誘導の効果を検証している。メスラットに対し、28 日
間、通常食、もしくは、高脂肪高フルクトース食を摂取させ、その後、通常食、もしくは、
高脂肪高フルクトース食摂取を続けた状態で、21 日間のレトロゾール経口投与を行い、
PCOS 発症を誘導している。その結果、高脂肪高フルクトース食群では体重増加が観察され
ないなど、肥満状態が誘導されていなかった。この原因として、AIN-93G を基に設計した
飼料組成の問題が提起されている。PCOS 諸症状の解析によって、高脂肪高フルクトース食
負荷下においても肥満が誘導されない場合、PCOS 症状の悪化はみられないことが示され
ている。
総合討論・将来展望では、本研究の成果をまとめるとともに、PCOS 症状の予防・改善と
食事介入をつなぐ機構としてリーキーガット研究の重要性を議論するなど今後の研究の展
望が述べられている。
これらの研究成果は、学術上応用上寄与するところが少なくない。よって、審査委員一同
は本論文が博士(農学)の学位論文として価値あるものと認めた。

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