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The carcinoembryonic antigen ratio is a potential predictor of survival in recurrent colorectal cancer

鈴木, 優美 名古屋大学

2023.07.03

概要

主論文の要旨

The carcinoembryonic antigen ratio is a potential
predictor of survival in recurrent colorectal cancer
癌胎児性抗原比は再発大腸癌における潜在的な予後予測因子である

名古屋大学大学院医学系研究科
病態外科学講座

総合医学専攻

腫瘍外科学分野

(指導:江畑 智希
鈴木 優美

教授)

【緒言】
CEA 値の測定は低侵襲かつ低コストであることから大腸癌診療において世界で広
く用いられている腫瘍マーカーであるが、実臨床においては腫瘍の存在と無関係に高
値または低値を示し、正確な評価が出来ない場合も少なくない。
また再発大腸癌に対する治療法や効果は多岐にわたり、再発した時点で生存を予測
することは難しい。
そこで我々は根治切除後に再発した大腸癌症例を振り返り、再発前から再発した時
点までの CEA 値の変化を評価することで、腫瘍に無関係な血清 CEA 値の増減の影響
を最小限にし、再発大腸癌症例における血清 CEA 値の変化の臨床的有用性を実証す
ることを研究の目標とした。
【対象】
対象は当科において 2006 年から 2018 年の間に根治切除を受けた Stage I-III 大腸癌
患者 978 例のうち、術後に再発を来した 147 例から解析に不適当な症例を除いた 129
例とした。
【方法】
再発時の CEA 比(CEA-R)を再発時の CEA 値と再発 3 か月前に測定した値の比と定
義し、receiver operating characteristic(ROC)曲線を用いてカットオフ値を定め、CEA-R
高値群と低値群の 2 群の臨床的特徴と再発後生存期間を後方視的に比較検討した。ま
た再発後生存の予後因子についての解析も行った。
統計学的解析の手法として、カテゴリー変数に関してはカイ 2 乗検定またはフィッ
シャーの正確確率検定を、連続変数に関してはマン・ホイットニーU 検定を用いて比
較した。生存曲線は Kaplan–Meier 法とログランク検定を用いて比較し、再発後生存に
寄与しうる因子は単変量および多変量の Cox 比例ハザードモデルを使用して分析し
た。多変量解析では単変量解析で予後に影響を与える(P < 0.10)共変量を用いて P <
0.05 を有意な差であると定義した。
【結果】
再発後の追跡期間中央値は 43.7 ヶ月であり、原発巣手術から再発までの期間の中央
値は 10.2 ヶ月(1.2 - 85.2 ヶ月)、CEA-R の中央値は 1.280(0.2 - 53.5)であった。再発時
点での CEA-R と CEA 値の相関は血清 CEA ≥ 5 と血清 CEA < 5 の 2 群間で類似してい
た(Fig. 1)。
生存予測の CEA-R の ROC 曲線から求めた CEA-R のカットオフ値は 1.952 であった
ため、コホートを CEA-R 高値(CEA-R ≥ 2)群(n=42, 32.6%)および低値(CEA-R < 2)群
(n = 87, 67.4%)の 2 群に分けて以後の解析を行った。
患者と CEA-R 値による腫瘍の特徴は 2 群間でほぼ同等であったが、CEA-R 高値群
では原発巣手術前(P = 0.038)および再発時(P < 0.001)の血清 CEA 値が高い点、原発巣

-1-

切除と再発までの期間が短い点(P = 0.006)、CEA 低値群で R0/1 切除例が多い点(P =
0.051)が異なっていた(Table 1)。
CEA-R 高 値 群 で は 低 値 群 と 比 較 し て 2 年 生 存 率 が 有 意 に 不 良 で あ り (88.1% vs.
49.4%, P < 0.001)(Fig. 2a)、術前 CEA 上昇群(P = 0.001)と正常群(P = 0.006)の 2 群
(Fig. 2b)、再発巣根治切除群(P = 0.073)(Fig. 3a)と再発巣非根治切除群(P < 0.001)(Fig.
3b)の 2 群でも同様の傾向を示した。
多変量解析の結果、CEA-R は組織型(HR; 3.080, 95%CI 1.520-6.239, P = 0.002)・複数
臓器再発(HR; 2.747, 95%CI 1.141-6.616, P = 0.024)とともに、大腸癌再発の診断時にお
ける独立した予後予測因子(HR; 3.270, 95%CI 1.646-6.497, P = 0.001)であり(Table 2)、
CEA-R・組織型・複数臓器再発の 3 つのリスク因子の保有個数が増えるほど再発後生
存が段階的に不良となる傾向にあった(Fig. 4)。
【考察】
再発診断時における CEA-R 高値は再発腫瘍の病勢が高いことを示すと考えられ、
再発巣の解剖学的な分布や原発腫瘍の病期とは無関係に腫瘍再発時点での生存の高リ
スク因子であった。CEA-R が高値の場合、腫瘍の進展速度が速く、再発巣の R0/1 切
除が困難なため予後不良と考えられる。そのため CEA-R 高値例では再発巣が切除可
能な病変と思われても、まずは強力な全身薬物療法を行い、病勢制御を行った後に再
発巣根治切除の可否を慎重に判断する必要がある。このように CEA-R によって個々
の症例に対し、適切な治療を行うことでコホート全体の再発後生存の改善につながる
可能性がある。
また、CEA-R 高値群は再発巣切除群と非切除群の両群で再発後生存が不良であった
ことから、CEA-R は治癒切除を受ける患者・受けない患者いずれの予測因子としても
有用である可能性がある。さらに初回手術前に CEA 上昇を認めた患者だけでなく CEA
値が正常であった患者においても CEA-R 高値群では再発後生存が不良な傾向を認め
たことから、CEA-R はあらゆる場合において再発大腸癌患者の再発後生存を予測でき
る新しい指標である可能性が示唆された。
【結語】
CEA-R はすべての再発例に使える予後因子である可能性があり、再発大腸癌患者に
対する個別化治療の新たな指標となり得る。

-2-

Table 1 Patients’ characteristics and post-recurrence treatment

-3-

Table 2 Risk factor analyses at recurrence for survival

-4-

Fig.1 Correlation between CEA-R and CEA at recurrence according to the CEA level before initial surgery (Ten patients
with a CEA ratio≥10 or a CEA Level at recurrence≥50 were not described)

Fig.2 a Survival according to the CEA-R status
b Survival according to the CEA-R status and initial CEA status

-5-

Fig.3 a Survival according to the CEA-R status in patients who underwent curative surgery
b Survival according to the CEA-R status and initial CEA status

Fig.4 Survival stratified according to the number of risk factors

-6-

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