胎子が急成長する乾乳期、適切な採食量の確保を
概要
乳牛にとって乾乳期は、泌乳期に消耗した栄養や胎子発育に必要な栄養の補給、次の泌乳期に備えた栄養の蓄積、乳腺組織の更新という役割があり、大部分が乳生産を中心に考えられている。一方、医学分野ではDOHad (Development Origins of Health and Disease :成長過程の栄養状態や環境因子の作用に起因する疾患の発生)という考えに基づいた研究が進められている。簡単にいうと大人になった時の健康状態や特定の病気のかかりやすさは、遺伝的な要因や生活習慣だけでなく、胎児期や乳児期に受けた栄養環境に強く影響されているのである。牛に当てはめると妊娠期の母牛の栄養管理が出生後の子牛の発育や遺伝的能力を発揮できるかどうかを左右するということになる。こうしたことから、妊娠期の母牛の栄養状態を胎子の栄養環境と捉える研究が進められつつある。
本稿では、牛における母牛の栄養状態がその産子に及ぼす影響を調査した研究報告や適切な乾乳期管理について整理する。