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大学・研究所にある論文を検索できる 「癌幹細胞関連分子BEX2を抑制する小分子化合物の同定」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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癌幹細胞関連分子BEX2を抑制する小分子化合物の同定

西條 聡 東北大学

2020.09.25

概要

【背景】
近年、癌に対してシスプラチンに代表される非特異的な化学療法に加えて、特定の細胞内経路を狙った標的治療が盛んに開発されている。肝細胞癌においては、multi-target tyrosine kinase inhibitor である sorafenib や lenvatinib が使用されている。肝内胆管癌においては、網羅的解析から FGFR2 の融合タンパクが driver gene として働くことが報告され、治療標的として期待されている。しかし、これらの治療が奏効しても、転移再発は必発であり、新たな治療戦略が望まれる。

静止期癌幹細胞は、造腫瘍能(腫瘍再構築能)が高い・細胞周期が静止期に留まる・抗癌剤感受性が低い、という特徴などから、治療抵抗性の高い細胞集団とされている。しかし、静止期癌幹細胞を維持する分子機構は未だ不明な点が多い。

私の研究室では、肝内胆管癌において、CD274 低発現細胞は静止期癌幹細胞の特性をもち、CD274 低発現細胞症例は予後不良であることを報告してきた。この CD274 低発現分画における高発現遺伝子のスクリーニングを行った結果、BEX2(Brain-Expressed X-linked 2)によって静止期癌幹細胞の表現型が維持されることを見いだした。

【目的】
本研究の目的は、小分子化合物ライブラリのスクリーニングによって BEX2 発現を抑制し癌幹細胞形質を減弱させる化合物を同定することである。

【結果】
私は BEX2 タンパクに NanoLuc を融合させたものを発現する胆管癌細胞株 HuCCT1-Nluc-BEX2 を樹立して 9600 種類 の小 分 子化合 物 か らス クリ ー ニン グ を 行っ た。 そ の結 果 、 一種 類の 化 合物 BMH (1,3-Benzenediol,4-[4-(4-methoxyphenyl)-1H-pyrazol-3-yl]-)を同定した。BMH で細胞を刺激すると、BEX2過剰発現株である HuCCT1-Nluc-BEX2・内因性に BEX2 が高発現しているHepG2・Huh7 いずれの細胞株でも、BEX2 タンパクが減少した。一方で BEX2 mRNA の量には変化がなかった。HuCCT1-Nluc-BEX2 と HepG2 では、BMH 刺激によって細胞内 ATP 量が増加した。HuCCT1-Nluc-BEX2 を BMH で刺激すると細胞の静止期が減少した。 HuCCT1-Nluc-BEX2 と HepG2 いずれでも BMH と抗癌剤で同時に刺激すると抗癌剤感受性が増加した。以上のことから、BMH は静止期癌幹細胞形質から非癌幹細胞に転換させる化合物だと考えられた。

【結語】
BMH は BEX2 を高発現する静止期癌幹細胞を標的とした治療薬につながり、また癌幹細胞がどのように維持されるのかその分子機構を探る上で有用なツールになると考えられた。

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