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大学・研究所にある論文を検索できる 「BEX2は肝細胞がんにおける予後不良因子でありがん幹細胞形質の維持に必要である」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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BEX2は肝細胞がんにおける予後不良因子でありがん幹細胞形質の維持に必要である

福士 大介 東北大学

2021.03.25

概要

がん幹細胞は組織の中で治療抵抗性をもつがん細胞の集団である。がん幹細胞は治療抵抗性のほかにも複数の特徴的な形質が知られており、正常幹細胞が持つ特性と共通しているものも多い。これまで、肝細胞がんにおいてがん幹細胞の存在が報告されているが、がん幹細胞の維持機構はほとんどの点で不明である。BEX2 (brain expressed X-linked 2) はマウス胎児肝の前駆細胞・幹細胞に高発現している分子であるが、その機能はほとんど解明されていない。私はこの BEX2 ががん幹細胞でも重要な機能を有しているのではないかと考え検討した。

2008 年 1 月〜2018 年 6 月までに東北医科薬科大学病院で肝細胞がんと診断され外科切除を施行した 41 症例を解析した。免疫染色を行い、がん部の BEX2 発現を発現細胞の占める面積に応じて 2 群に分けたところ(BEX2high: 陽性細胞≧50%、BEX2low: 陽性細胞<50%)、BEX2 が高発現していた肝細胞がんは 17 症例あり、隣接する正常肝組織よりもがん部で有意に BEX2 発現が高かった。また、患者背景の各項目においては明らかな有意差は認めなかったが、Kaplan-Meier 解析では BEX2high 群において無再発生存期間が有意に短かった。各項目において無再発生存期間の単変量解析を行うと BEX2、腫瘍個数、T 因子、脈管侵襲、病期で相関関係を認めた。これらの因子を Cox 回帰分析にて多変量解析すると、BEX2 と脈管侵襲が独立した予後不良因子であった。無作為に 11 症例を選択し、BEX2 に加えて増殖マーカーである Ki67 との蛍光二重染色を行うと、6 症例において Ki67+BEX2+ 2 重陽性細胞は期待値よりも有意に少なく、BEX2 と Ki67 は互いに共局在しない傾向を認めた。

続いて、HLE と Huh-7 による肝細胞がん株を用いて、BEX2 の機能解析を行った。siRNA(small interfering RNA )にて BEX2 をノックダウンすると、がん幹細胞形質として知られる造腫瘍能・ALDH ( aldehyde dehydrogenase)活性が減少した。また BEX2 はスフェア形成状態で発現が亢進し、 BEX2 発現抑制ではスフェア形成能が低下した。BEX2 発現はシスプラチン刺激によって誘導され、BEX2 ノックダウンではシスプラチンの感受性が増加し、抗がん耐性が減弱した。また、BEX2 をノックダウンすると、がん幹細胞関連の表面マーカーである CD24・CD90 の発現が減少した。血清飢餓条件下では HLE、Huh-7 細胞集団は静止期に誘導され、 BEX2 mRNA が増加したことや切除検体と細胞株の検討により BEX2 と Ki67 は共局在しない傾向にあった。

以上の結果から、BEX2 はがん幹細胞の形質維持に必要な分子であることが明らかになり、BEX2 は静止期のがん幹細胞において重要な役割を果たしていることが示唆された。

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