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大学・研究所にある論文を検索できる 「The reductive activity of human liver microsomes for vitamin K epoxides」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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The reductive activity of human liver microsomes for vitamin K epoxides

川野, 雅嗣 カワノ, マサシ Kawano, Masashi 群馬大学

2020.03.24

概要

Vitamin K (VK) は血液凝固過程における VK 依存性血液凝固因子の生成に必須の成分である。 VK は VK 依存性血液凝固因子の生成に伴って VK epoxide (VK-O) に酸化された後、VK-O reductase (VKOR) によって VK に還元されることで、再度 VK 依存性血液凝固因子の生成に利 用されることが知られている。抗血液凝固薬である warfarin (WF) は、この VKOR を阻害する ことにより生体内の VK を枯渇させ、活性型凝固因子の生成を低下させる。WF の効果は個人差 が大きく、その要因として複数の遺伝的要因が報告されている。しかし、遺伝子情報のみでは WF の薬効の個人差を十分に説明することができず、非遺伝的要因の一つである食事由来の VK 摂取状況に関する違いが大きく影響している可能性が考えられている。WF は VK の再利用阻害 により凝固因子活性を低下させるが、医薬品や食品を介してVKを摂取すると、血液凝固活性が上 昇し、すなわちWFの作用は減弱する。この相互作用は臨床的に重要であり、WF による抗血液凝 固効果を減弱させるVK 高含有食品として、ブロッコリー、クロレラ、海苔、納豆、豚の肝臓等 が知られている。

自然界に存在する VK は、その化学構造によって大きく VK1 (phylloquinone) と VK2 (menaquinone (MK)) の 2 種類に分類される。主にブロッコリーなどの植物性食品に含まれる VK1 はヒトにおける VK の主要な摂取源であり、総 VK 摂取量の 90%以上を占めるとされている。一方、VK2 は主に動物の肝臓に存在しており、プレニル側鎖が異なる 14 種類の物質で構成される (MK-1〜14)。ヒトの体内に含まれる VK2 の多くを占めるのが鶏肉や卵黄由来の MK-4 であり、納豆由来の MK-7 や、腸内細菌が合成する MK-7〜12 も存在する。VK1 と VK2 はヒトにおける腸管からの吸収率や血中消失半減期が異なることが報告されており、生体反応への寄与も大きく異なる可能性が報告されているが、WF と併用した時の相互作用のリスクの差異は明らかにされていない。

本研究では、VK 依存性血液凝固因子の生成に対する VK1 と VK2 の寄与の違いを明らかにすることを目的として、ヒト肝ミクロソーム (HLM) を用いた in vitro study により、VKOR による VK1-O および MK4-O の代謝活性の違いを評価した。

事前検討として、VK1-O と MK4-O の代謝実験における初期基質濃度および反応時間を検討した。VK1-O の代謝実験においては VK1-O の初濃度を 1 µM、HLM 濃度を 0.1 mg/mLに固定したところ、5〜15 分の範囲において VK1 生成量は反応時間の増加に伴って増加したため、VK1-O の 代謝実験における反応時間は共に 10 分とした。また、初期基質濃度を 50 µM にした場合、反 応速度は最大に達し、初期基質濃度を 1 µM にした場合、反応速度は最大速度の 1/2 以下にな ったため、VK1-O の代謝実験における初期基質濃度を 1〜100 µM に設定した。同様に、MK4-O の代謝実験において、MK4-O の初濃度を 0.1 µM、HLM 濃度を 0.01 mg/mLに固定して反応時間を 検討したところ、5〜15 分の範囲において MK4 生成量は反応時間の増加に伴って増加したため、反応時間は 10 分とした。また、MK4-O の初期基質濃度を 10 µM にした場合、反応速度は最大 に達し、0.1 µM にした場合、反応速度は最大速度の1/2まで低下したため、MK4-O の代謝実験に おける初期基質濃度は 0.1-50 µMとした。

結果、VKOR による MK4-O の代謝に関する Km 値は VK1-O の代謝に比べて約 7 倍小さく、 MK4-O の代謝に関する Vmax 値は VK1-O の代謝に比べて約 4 倍大きかった。また、Vmax 値を Km 値で除した値で示される固有クリアランスは VK1-O を基質とした場合に比べて MK4-O を基質とした場合で約 30 倍大きかった。なお、0.1 および 0.5 µM の MK4-O を基質とした場合、 10 分間の反応によって約 25%および 約 12%の MK4-O が MK4 に還元されたが、それ以外の濃度の MK4-O を基質とした実験および VK1-O を基質とした代謝実験における生成物の量は基質量の 10%未満であった。

VK1 は多くの野菜や海藻類に含まれており、VK1 含有食品と WF の相互作用は数多く報告されているが、VK1 含有食品が WF の効果に及ぼす影響は一過性であり、数日以内に消失するとされている。一方、VK2 含有食品との相互作用に関する報告は限られており、VK1 含有食品との相互作用とは対照的に、豚の肝臓を摂取したことによる WF の効果減弱は数週間続いたと報告されている。MK-4を大量に摂取した場合、VKOR による再利用が続くため、その影響が長期間にわたって現れるリスクが高いと考えられる。VK1 および MK4 の血中濃度はともに 1.0 ng/mL程度であり、今回の実験に用いた濃度よりも十分に低いことから、生体内における VKOR による VK1 および MK4 の代謝は飽和していないと考えられ、生体内での VKOR による VK1 および MK4 の代謝活性に関する違いを反映している可能性が高いと考えられる。

今回 VK1-O および MK4-O の共存下における代謝実験や WF と VK1-O もしくは MK4-O の相互作用に関する検討を行なっていないため、詳細は明らかではないが、少なくとも VKOR による還元反応においては、基質親和性、最大反応速度ともに MK4-O の方が大きく、固有クリアランスとして約 30 倍大きいことが確認された。少なくとも通常条件下においては VK 依存性血液凝固因子の生成には MK4-O が大きく影響する可能性が高く、MK4 の摂取量をコントロールすることで WF の効果に関する個人差を抑えられる可能性が示唆された。

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