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大学・研究所にある論文を検索できる 「Factors of Having Difficulties Raising 3-Year-Old Children in Japan: Usefulness of Maternal and Child Health Information Accumulated by the Local Government」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Factors of Having Difficulties Raising 3-Year-Old Children in Japan: Usefulness of Maternal and Child Health Information Accumulated by the Local Government

田川 紀美子 広島大学

2022.03.23

概要

【背景】
日本では少子化対策として,“育てにくさ”を感じる親へ寄り添う支援を重点課題として取り組んでいる。“育てにくさ”は育児上の困難感を指し,虐待につながるとも考えられており,少子化だけでなく虐待を予防する観点からも“育てにくさ”への支援の必要性が窺える。
現在日本の母子への支援は主に市区町村が担い,法律で定められた健康診査等を行っている。各自治体は健康診査等で得られた母子保健情報を集積しているが,有効な活用ができている状況とは言い難い。そこで本研究では,地方自治体に集積された母子保健情報を用い,3歳児健康診査時点で親が感じる子どもの育てにくさの要因を明らかにすることを目的とした。また母子保健情報の有用性についても検討をした。

【方法】
2013年9月から2017年10月の期間に出生し,日本の広島県A町で住民登録されかつ期間中に3歳児健康診査の対象年齢に達した子どもの保護者のうち507名を対象とした。分析に用いた母子保健情報は,妊娠届出時から3歳児健康診査時までの情報であり,すでにA町によって収集された情報であった。3歳時点で親が感じる“育てにくさ”の要因を分析するために,ロジスティック回帰分析を行った。変数間の欠損値が異なるため,p<0.05かつNagelkerkeのR²値が増加することを条件とした変数増加法を用いた。独立変数の選択では,3歳時点の“育てにくさ”の有無を従属変数とした単変量ロジスティック回帰分析を行いp<0.1を満たす変数を採用した。最後にロジスティック回帰モデルの有用性を確認するためにROC分析を行った。分析にはRversion4.1.0(パッケージEpi,car,psych,pROC,rcompanion,ResourceSelection)を使用し,有意水準は5%未満とした。

【結果】
出産時の母親の年齢は31.1歳,男児が56.6%であった。3歳時点の“育てにくさ”には11の要因が明らかとなった。子どもの背景としては“姉がいる(調整オッズ比(adOR),0.3;95%CI,0.1–0.7)”,新生児訪問時の要因は“妊娠中に問題があった(adOR,3.4;95%CI,1.1–10.6)”,“復職の予定がある(adOR,0.4;95%CI,0.2–0.8)”,“母親に「経過観察」が必要(adOR,3.7;95%CI,1.2–13.0)”,“エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)2点以上(adOR,3.4;95%CI,1.5–8.1)”の4項目だった。4か月健康相談時の要因は“イライラするかの回答が「どちらともいえない」(adOR,2.3;95%CI,1.2–4.5)”,“生まれてから病気になったことがある”の2項目であった。1歳6か月健康診査時点での要因は“育てにくい(adOR,6.3;95%CI,3.0–13.9)”,“下痢しやすい(adOR,5.5;95%CI,2.2–15.0)”,“転倒して受診した経験がある(adOR,4.6;95%CI,1.6–14.5)”,“行動がマイペースで大人の指示が通りにくい(adOR,5.0;95%CI,1.3–25.4)”の4項目であった。ROC分析の結果,AUCは0.86でありカットオフ値を0.387に設定した場合,感度79.7,特異度77.6,陽性的中率71.2,陰性的中率84.6であった。

【考察】
4か月健康相談時点の“生まれてから病気になったことがある”,1歳6か月時点の“下痢しやすい”は子どもの健康状態に関する要因であった。子どもの健康状態は,子育ての自信や不安に関連しており,育てにくさの要因となったと考えられる。子どもの4か月健康相談時の“イライラするかの回答が「どちらともいえない」”,1歳6か月時点の“育てにくさ”は親自身が自分の気持ちについて答えた変数である。母親についての要因は,新生児訪問時の“母親に「経過観察」が必要”,“復職の予定がある”であった。産後早期の母親の状態がその後の子育てに影響を及ぼしており,早期からの支援の必要性が示唆された。1歳6か月時点の“行動がマイペースで大人の指示が通りにくい”,“転倒して受診した経験がある”は子どもの特性と関連している要因である。EPDSは産後うつ病をスクリーニングする質問票だが,“EPDS2点以上”が3歳時点の“育てにくさ”の要因になっており,産後うつ病のリスクが低い母親に対しても,EPDSの実施を検討する必要性がある。本研究の結果から自治体に集積されている母子保健情報を活用することで,支援が必要となる親子をスクリーニングすることが可能であった。

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