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大学・研究所にある論文を検索できる 「口腔扁平上皮癌における腫瘍浸潤T細胞の免疫プロファイル解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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口腔扁平上皮癌における腫瘍浸潤T細胞の免疫プロファイル解析

梶川, ひとみ 大阪大学

2022.03.24

概要

免疫チェックポイント阻害剤(Immune checkpoint inhibitors; ICIs)による治療で臨床効果が得られた患者では、腫瘍微小環境(Tumor microenvironment; TME)における腫瘍免疫の活性化が観察される。本研究では、口腔扁平上皮癌(Oral squamous cell carcinoma; OSCC)において腫瘍進展や予後に影響を及ぼす分子をTME中より明らかにすることを目的とし、新鮮腫瘍組織より精製した腫瘍浸潤リンパ球(Tumor infiltrating lymphocytes; TILs)の免疫学的プロファイルと患者の臨床病理組織学的因子との関連を解析し、新たな予後予測因子となり得る分子を探索した。

 大阪大学歯学部附属病院第二口腔外科において、OSCC—次症例31例から外科的切除により得た新鮮腫瘍組織から精製したTILを用いて免疫チェックポイント分子を含む表面抗原をフローサイトメトリーで解析した。患者予後との関連を調べたが、いずれの抗原の発現頻度も単独では関連を示さなかった。そこで、シングルセル解析のため教師付き機械学習アルゴリズムであるCITRUS(Cluster identification, characterization and regression)解析を実施したところ、再発転移患者に高頻度に発現するclusterとしてCD45RA⁻CD4⁺CD25highICOS⁺TILを同定した。さらに、Heatmap解析により分類されたより活性化した”Hot”なTIL群に特異的な分画を探索したところ、同様のclusterが同定された。一般的に免疫抑制性細胞である制御性T細胞(regulatory T cells; Treg)はCD45RA⁻CD4⁺CD25⁺を示し、これらのclusterは0X40, 4-1BBも比較的強く発現していることから、同定されたClusterはTregの中でも特に抑制性の強いeTreg(effector Treg)であると推測された。

 次に、フローサイトメトリー解析と異なる症例を含むOSCC一次症例20例のホルマリン固定パラフィン包埋ブロックを使用し、多重蛍光免疫染色により腫瘍局所におけるICOS⁺Tregと細胞傷害性T細胞の発現を解析した。OSCCにおいても、ICOS⁺Tregと細胞傷害性T細胞が豊富に存在していることが確認された。また、ICOS⁺TregとGranzymeB⁺CD8⁺細胞傷害性T細胞の発現割合を比較すると、腫瘍中心部では相関を認めないのに対し、腫瘍浸潤先端部ではICOS⁺Tregが多いほど細胞傷害性Τ細胞が少ないという逆相関を示していた。

 これらの結果よりCD4⁺CD25high TILにおける%ICOS⁺は、TMEにおけるT細胞の活性化状態に関連している可能性が強いことが明らかとなったことから、OSCC患者の予後に対する関連を検討した。その結果、%ICOS⁺が95%以上の患者は、95%未満の患者に比べて、無病生存率が有意に低いことが明らかとなった。さらに、既知の予後に関連する臨床病理学的因子とともに多変量解析を行ったところ、%ICOS⁺はOSCCにおける独立した予後予測因子であった。

 以上の結果より、TIL中のICOS⁺eTregは、細胞傷害性T細胞を抑制し腫瘍の進展に関与する可能性がある一方、OSCC患者の外科的治療後の再発やICI治療に対する臨床効果を予測する有望なバイオマーカーとなる可能性が示唆された。

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