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大学・研究所にある論文を検索できる 「食道扁平上皮癌におけるネクロトーシス関連分子の発現と腫瘍浸潤リンパ球に関する検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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食道扁平上皮癌におけるネクロトーシス関連分子の発現と腫瘍浸潤リンパ球に関する検討

山内 拓郎 東北大学

2022.03.25

概要

【研究背景・目的】食道扁平上皮癌は昨今の医療の進歩にも関わらず最も予後の悪い消化管悪性腫瘍の一つである。本邦においては標準治療として術前化学療法が行われているが、その奏効率は未だ十分でなく副作用も無視出来ない事から、化学療法導入前に効果を予測し得るバイオマーカーの発見が待たれている。ネクロトーシスは分子制御された壊死性細胞死の一つであり、癌組織微小環境に影響を与え、癌の進展や転移を促進する作用や腫瘍免疫を抑制する作用が報告されている。従ってネクロトーシスが食道扁平上皮癌患者の臨床予後や化学療法耐性に影響を与える可能性があるが、ネクロトーシス関連分子の発現と化学療法耐性との関連は不明である。また、食道扁平上皮癌におけるネクロトーシスが腫瘍免疫に与える影響も解明されていない。本研究の目的は食道扁平上皮癌組織におけるネクロトーシス関連分子の発現を免疫組織学的に解析し、臨床上の治療成績や腫瘍浸潤リンパ球との関連を明らかにすることである。

【対象と方法】東北大学病院で術前化学療法後に手術を行った食道扁平上皮癌患者 88 例を対象とした。腫瘍組織を用いて、ネクロトーシス関連分子である receptor interacting protein kinase 1 (RIP1)、RIP3、 mixed lineage kinase domain-like protein (MLKL)、phosphorylated MLKL (pMLKL)を免疫組織学的に解析した。88 例中、術前化学療法施行前の生検組織が 53 例で入手可能であり、これらについても手術検体同様の検討を行った。また、腫瘍浸潤リンパ球(Tumor-infiltrating lymphocytes: TILs)を CD3 (T 細胞のマーカー)、CD8 (細胞傷害性 T 細胞のマーカー)、 forkhead box protein 3 (FOXP3, 制御性 T 細胞のマーカー)を用いて免疫組織学的に解析し、ネクロトーシス関連分子との関連を検索した。

【結果】術前化学療法後の切除検体における pMLKL 高発現は食道扁平上皮癌患者の臨床転機悪化と有意に関連していた。多変量解析において、pMLKL 高発現は独立した予後不良因子であった(multivariate HR=2.48; 95% CI=1.11-5.57; p=0.027)。術前化学療法前の生検検体における pMLKL 高発現群は、pMLKL低発現群と比較し化学療法の治療効果が有意に低かった。術前化学療法後の切除検体における CD8+TILsは pMLKL 高発現群で有意に低値を示した。また、FOXP3+TILs は MLKL 高発現群と pMLKL 高発現群でそれぞれ有意に高値を示した。

【結論】食道扁平上皮癌組織における pMLKL 高発現が独立した予後不良因子として示された。今回の結果から癌組織のネクロトーシスが宿主の腫瘍免疫抑制状態をもたらし、化学療法の治療効果にも影響を与える可能性が示唆された。

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