リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「アジア人における顔面色素斑に対する治療アルゴリズム」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

アジア人における顔面色素斑に対する治療アルゴリズム

Takekawa, Chikara 神戸大学

2021.03.25

概要

(序文)
顔面の色素斑には、老人性色素斑 (以下 LS)、ほくろ、肝斑、脂漏性角化症 (以下 SK)、後天性真皮メラノサイトーシス (以下 ADM)、雀卵斑などがあり、ほとんどの患者には複数の色素斑が認められる。治療としては、Q スイッチ付きアレキサンドライトレーザーや炭酸ガスレーザーなどのレーザー療法、ビタミン C、ハイドロキノン、レチノイン酸などの局所軟膏療法、トラネキサム酸、ビタミン C、ビタミン E の経口薬などのいくつかの治療法がある。しかし、全ての種類の色素斑を同時に治療できるアルゴリズムは存在しない。

そこで我々は、Q スイッチ付きアレキサンドライトレーザーと炭酸ガスレーザーと 18 週間の ZO SKIN HEALTH®(以下 ZO®)のプログラムを組み合わせ、全ての種類の色素斑を効率的かつ同時に治療できるアルゴリズムを作成した。ZO®とは、Obagi Cosmeceuticals LLC により開発された 4%ハイドロキノンクリームとレチノイン酸を併用した 18 週間の治療プログラムである。

本研究では、その治療アルゴリズムの臨床的有効性と安全性を検討した。

(対象と研究デザイン)
2014 年 6 月から 2018 年 3 月までに、こやまクリニック形成外科美容センターにおいて、顔面の色素斑に本治療アルゴリズムを用いた 251 例を対象とした。

まず、ハイドロキノンに対しては様々な過敏症が報告されているため、全ての患者の頬に 5 日間ハイドロキノンクリーム(Milamin®,Miramix®) を塗布し、刺激、赤み、かゆみのチェックを行った。過敏症を示した患者には、ハイドロキノンの代わりにブライトニルを含むクリームを用いた。治療開始 3 週目に、ほくろおよび SK に対して炭酸ガスレーザーを照射、治療開始 6 週目に、LS、ADM、雀卵斑に対して Q スイッチ付きアレキサンドライトレーザーを照射した。(肝斑のある症例では、肝斑が改善してない部位の照射は避けた) 治療開始 12 週目から 18 週目にかけてはレチノイン酸の投与量を漸減し、肌の赤みやかゆみを軽減させた。肝斑を認める症例では、治療開始と同時にトラネキサム酸 500 ㎎×2 回/日、ビタミン C1g×2 回/日、ビタミン E50 ㎎×1 回/日の内服を併用した。

(評価方法)
治療効果は、初診時に撮影した画像と治療開始 18 週目に撮影した画像を比較し判定した。形成外科専門医 3 名が独立して画像を 12 点満点で評価した。(Excellent4 点、Good3 点、Fair2 点、Poor1 点)

疾患別の治療効果判定は t-test を用いて行った。ほくろは審美性に影響を与えないと考え除外した。LS はほぼすべての患者に認められたため、LS 単独の患者の平均スコア、LS と肝斑を認める患者の平均スコア、LS と SK を認める患者の平均スコア、LS と ADM を認める患者の平均スコア、LS と雀卵斑を認める患者の平均スコアを比較した。

年度別の治療効果と脱落率を各々、ANOVA とカイ二乗検定を用いて判定し、医師の習熟度と治療効果や脱落率の関係を調べた。

(結果)
性別は男性 3 例、女性 248 例。年齢は 20 代 1 例、30 代 37 例、40 代 91 例、50 代 63 例、60 代 46 例、70 代 11 例、80 代以上 2 例。対象疾患は LS246 例、ほくろ 186 例、肝斑 79 例、SK53 例、ADM17 例、雀卵斑 16 例。治療脱落例は 24 例であり、それ以外の 227 例が治療アルゴリズムを修了し Excellent97 例、Good113例、Fair17 例、Poor 0 例の結果であった。副作用はハイドロキノンによる接触性皮膚炎 8 例(遅発性 5 例)であった。

疾患別の治療効果の平均値は前述の通り算出し、LS9.53、肝斑10.15、SK10.10、 ADM8.60、雀卵斑11.55 であった。t-testによる判定を行い、雀卵斑は他疾患に対してより有意に治療効果があり、ADMは老人性色素斑以外の他疾患に対してより有意に治療効果がなかった。

治療効果の年次変化は ANOVAp>0.05 で有意差を認めず、脱落数の年次変化もカイ二乗検定p>0.05 で有意差を認めなかった。

(考察)
Q スイッチ付きアレキサンドライトレーザーと炭酸ガスレーザーと 18 週間の ZO®プログラムを組み合わせ、全ての種類の色素斑を効率的かつ同時に治療できるアルゴリズムを作成し、その臨床的有効性と安全性を検討した。ZO®は LS と肝斑と雀卵斑には効果があり、Q スイッチ付きアレキサンドライトレーザーは LSと雀卵斑と ADM への適応がある一方、肝斑には不適である。また、炭酸ガスレーザーはほくろと SK に適応がある。つまり、ZO®と Q スイッチ付きアレキサンドライトレーザーと炭酸ガスレーザーを組み合わせると、全ての色素斑の治療が可能である。さらに、肝斑に対しては、トラネキサム酸、ビタミン C、ビタミン E の内服を併用した。

治療アルゴリズムは、まず、治療開始 1 週目で各製品の用法用量のチェック行う。そして、治療開始 3 週目で炭酸ガスレーザーを照射する。これは、ほくろと SK を対象としており、ZO®で改善しないので早期にダウンタイムを完了させるためにこの時期に照射している。照射部位にはデュオアクティブ ET®を上皮化するまで貼付しつつ ZO®を継続する。治療開始 6 週目で Q スイッチ付きアレキサンドライトレーザーを照射する。これは、LS と ADM と雀卵斑を対象としているが、肝斑が残存する部位の照射は避ける。この時期に照射する理由は、LS と雀卵斑が ZO®により薄くなってきており、レーザーの照射数を減らすことができるためである。治療開始 12 週目からはレチノイン酸を漸減し 18 週目で治療アルゴリズムを完了する。ZO®とレーザー治療を組み合わせることで両方のダウンタイムを同時に終えることができるだけでなく、ハイドロキノンとレチノイン酸によりレーザー後の色素沈着を最小限に抑えることができる。

結果として、90%以上の患者がこの治療プログラムを達成でき 90%以上の患者の色素斑を改善させることができた。さらに、医師の習熟度と治療効果や脱落率に有意差がなかったことは、この治療アルゴリズムの汎用性の高さを明らかにした。

(結語)
我々は、18 週間の ZO®プログラムと Q スイッチ付きアレキサンドライトレーザーと炭酸ガスレーザーを組み合わせ、顔面の全ての色素斑を改善する治療アルゴリズムを作成した。251 例において 90%以上が治療アルゴリズムを達成し、その 90%以上に良好な結果を得た。さらに、統計学的検討において、医師の習熟度に関わらず一定の結果を出すことができることが明らかになった。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る