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大学・研究所にある論文を検索できる 「急性冠症候群患者における経皮的冠動脈形成術後の光干渉断層法から算出した冠血流予備量比と予後の関連についての検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

急性冠症候群患者における経皮的冠動脈形成術後の光干渉断層法から算出した冠血流予備量比と予後の関連についての検討

柿崎, 俊介 神戸大学

2023.03.25

概要

Kobe University Repository : Kernel
PDF issue: 2024-05-02

Optical Coherence Tomography Fractional Flow
Reserve and Cardiovascular Outcomes in Patients
With Acute Coronary Syndrome

柿崎, 俊介
(Degree)
博士(医学)

(Date of Degree)
2023-03-25

(Resource Type)
doctoral thesis

(Report Number)
甲第8491号

(URL)
https://hdl.handle.net/20.500.14094/0100482239
※ 当コンテンツは神戸大学の学術成果です。無断複製・不正使用等を禁じます。著作権法で認められている範囲内で、適切にご利用ください。

(課程博士関係)
学位論文の内容要旨

Optical Coherence Tomography Fractional Flow Reserve and Cardiovascular
Outcomes in Patients With Acute Coronary Syndrome

急性冠症候群患者における経皮的冠動脈形成術後の光干渉断層法から算出した
冠血流予備量比と予後の関連についての検討

神戸大学大学院医学研究科医科学専攻
循 環 器 内 科 学
(指導教員:平田 健一 教授)






1



【背景と目的】
経皮的冠動脈形成術(Percutaneous coronary intervention: PCI)は急性冠症候群(acute
coronary syndrome: ACS)患者に対する標準的治療法である。近年、血管造影や血管内画
像診断モダリティを用いた形態学的評価は、冠動脈病変の生理的重症度評価(虚血診断)に
おいて限界があることが報告されてきた。しかし、特に ACS 症例においては主にその簡便
性から、これらの画像診断モダリティを用いた PCI の成否判定が依然行われている。一方
で、血管造影上 PCI が成功した症例においてもある一定の割合で虚血が残存する症例が存
在し、そういった症例の予後は不良であることが報告されている。
光干渉断層撮影法(Optical coherence tomography: OCT)は高い解像度で血管内構造物
を評価することができる血管内画像診断モダリティの1つである。近年、OCT を用いて計
測した最小内腔面積や狭窄率などの形態的な測定値に比べ、流体力学の方程式を用いて算出
した OCT 由来の冠血流予備量比(fractional flow reserve: FFR)
(OCT-FFR)は、プレッ
シャーワイヤーを用いて測定した FFR 値とより強い相関にあると報告された。このことか
ら我々は、OCT-FFR を用いることで PCI 後の冠動脈の生理的重症度評価(虚血診断)を行
うことができるのではないかと仮説を立てた。本研究では,ACS 患者における PCI 施行直
後の OCT-FFR と予後との関連を検討した。
【方法】
研究デザインと患者群
本研究は、神戸大学医学部附属病院を含めた関連病院 4 施設において、2010 年 1 月から
2018 年 12 月の間に、ACS に対して OCT を用いて PCI が施行された患者を対象とした、
後ろ向きコホート研究である。
OCT の画像解析
PCI 後、Dragonfly™ Optis™ OCT イメージングカテーテルを用いて OCT 画像を取得し
た。標的血管を、1) ステント、2) 隣接するリファレンス(長さ 5mm 以下)、3) 非責任病
変(non-culprit lesion: NCL)に分割した。OCT 画像は、OCT で撮像した全長に渡り、0.1
または 0.2mm フレームごとに解析した。ステント内の不規則な突出、血栓、石灰化結節、
不完全圧着、ステント端の解離、脂質に富むプラーク(lipid rich plaque: LRP)、薄い線維
性被膜を持つ破れやすいプラーク(thin-cap fibroatheroma: TCFA)の定性評価も行った。
OCT-FFR の計算方法
マイクロソフト・エクセル上で、流体力学を用いた式(ΔP = FV + SV2, V 流速, F 粘性
摩擦による圧力損失係数[ポアズイユ抵抗], S 急激な増圧による局所的な圧力損失係数[流
動分離])に基づき、OCT 断面積から、OCT-FFR を算出した。
主要アウトカム
心臓死、標的血管関連心筋梗塞、標的血管再血行再建術の複合である標的血管不全(target
1

vessel failure: TVF)とした。
統計
PCI 後の OCT 所見と OCT-FFR の、TVF 患者予測に対する付加価値を評価するため、こ
れらを用いた予測モデルの識別及び再分類能力を、患者背景のみを用いた予測モデルと比較
検討した。
【結果】
対象期間に 511 例の PCI が施行された。除外基準を満たす症例を除いた結果、最終的に
364 例が登録された。OCT-FFR の中央値は 0.93(0.90-0.96)であった。中央値 36 ヶ月(2648)の追跡期間中に、TVF は 54 例(14.8%)発生した。
TVF 群と非 TVF 群の比較
TVF 群は非 TVF 群に比べ、有意に左室駆出率、退院時のスタチン内服率が低く、多枝病
変が多く、OCT-FFR が低かった(0.87[0.83-0.92] vs. 0.94[0.92-0.96], P<0.001)

OCT 所見に関しては、TVF 群は非 TVF 群に比べて有意に、標的血管の平均や最小内腔
面積、ステント内の最小内腔面積、平均と最小ステント面積、リファレンスの平均内腔面積、
NCL の最小内腔面積が小さく、NCL の病変長が長かった。また、ステント内の不規則な突
出や血栓、ステント端の解離や LRP、NCL の LRP や TCFA の頻度が高かった。
TVF に関連する因子
多変量回帰分析では、低心機能、退院時のスタチン未内服、OCT-FFR 低値、ステント内
血栓、近位リファレンスの LRP、リファレンスの平均内腔面積低値、NCL の TCFA が、
TVF に関連する独立因子であった。OCT-FFR のカットオフ値は 0.90(感度 70.4%, 特異
度 84.5%, 曲線下面積 0.83, P<0.001)であった。TVF の発生率は、OCT-FFR 低値(<0.90)
の血管では、高値(≥0.90)の血管の 9.9 倍であった。TVF に関連する独立因子のうち、OCTFFR 低値(<0.90)と NCL の TCFA は、TVF と強く関連する因子であった。この 2 つの因
子を有する血管の TVF 発生率は、他の全ての血管の 8.1 倍であった。
TVF 患者の同定における、OCT-FFR 測定の付加価値
モデル 1(患者背景因子を用いた予測モデル: 心血管危険因子, 左室駆出率, 退院時のス
タチン内服)と比べ、モデル 2(モデル 1 に PCI 後 OCT 所見を加えた予測モデル)は、
TVF 患者の同定に関して、有意に高い識別能力(c-index: 0.82 vs. 0.69; P=0.006)と再分
類 能 力 ( net reclassification index: 0.87; P<0.001, relative integrated discrimination
improvement: 0.13; P<0.001)を示した。モデル 2 と比べ、モデル 3(モデル 2 に OCT-FFR
を加えた予測モデル)は、さらに高い識別能力(c-index: 0.92 vs. 0.82; P=0.005)と再分類
能 力 ( net reclassification index: 1.07, P<0.001, relative integrated discrimination
improvement: 0.24; P<0.001)を示した。
2

【論考】
本研究では、以下のことが示された。1)TVF 群では非 TVF 群に比べて、OCT-FFR が有
意に低値であった 2)患者背景や PCI 後の OCT 所見に加えて OCT-FFR 低値は、ACS 患
者における PCI 後の TVF 発生と独立して関連していた 3)OCT-FFR 低値と NCL の TCFA
の両方を有する血管の TVF 発生率は、他の全ての血管の 8.1 倍であった 4)TVF 患者の同
定において、PCI 後の OCT 所見(形態学的評価)に加えて、OCT-FFR 測定の付加価値を
示した。
本研究は、PCI を受けた ACS 患者において、その後の TVF 発症予測における OCT-FFR
の臨床的有用性を明らかにした、初のコホート研究である。
ACS 患者における PCI 後の OCT-FFR 測定の有用性
ACS に対する PCI 後のプレッシャーワイヤーを用いた FFR 測定は、心筋壊死や末梢塞
栓の影響により、狭窄病変の生理学的影響を過小評価する可能性が指摘されている。一方
OCT-FFR は、OCT 画像の血管内腔情報のみを用いて算出されるため、ACS 後の生理学的
評価において大きな利点がある。また、血行動態が不安定な ACS において、FFR に必要な
冠充血の誘発を避けられることも利点である。更に、OCT は ACS を発症しやすい脆弱性プ
ラークに関する詳細な情報を得ることが可能である。近年、LRP や TCFA といった脆弱性
プラークの存在は、NCL に関連した心血管イベントに対する有意な予測因子であることが
報告されている。本研究でも、近位リファレンスの LRP と NCL の TCFA の存在は、OCTFFR 低値とは独立して TVF と関連していた。また、OCT-FFR と PCI 後の OCT 所見を組
み合わせることで、TVF 発生の識別及び再分類能力を有意に向上させることが分かった。
ACS 患者は再発率が高いことが臨床上の大きな問題点であるが、今回の形態学的評価と生
理学的評価を組み合わせたアプローチは、ACS 患者に対する PCI 後の患者管理に適してい
ると考えられた。
OCT-FFR と予後の関連
これまで多くの研究で、PCI 後の FFR 低値はその後の心血管イベント発生と有意に関係
することが示されている。そのカットオフ値は各研究により異なるが、多くの研究は PCI 後
の FFR>0.9 を最適な機能的エンドポイントと報告している。本研究の OCT-FFR のカット
オフ値も 0.90 で、過去の報告と類似しており、本研究の OCT-FFR の正確性を間接的に支
持するものと思われる。
近年、血管造影のみを用いた PCI に比べ、血管内画像診断モダリティを併用した PCI は、
心血管イベントの有意な低下をもたらすことが示された。しかし、ステント留置による PCI
は局所治療であるため、血管内画像評価は通常、ステント留置区間のみに焦点が当てられ、
標的血管全体の評価は往々にして見落とされる。一方 OCT-FFR は、標的血管全体の血管内
腔情報から算出される値であり、予後に影響を与えうるステントの最適化と NCL の両方を
評価できる。さらに本研究では、標的血管全体の OCT-FFR 低値は TVF と関連する独立因
3

子であった。従って我々は、血管内画像ガイドによるステント最適化に加えて、OCT-FFR
を測定し低値であれば、追加 PCI を施行することで、PCI 後の臨床転帰を改善する可能性
があると考えている。
ステント留置後の OCT-FFR 測定には2つのメリットがある。第1に、認識されていない
不適切なステント留置を検出し得る可能性がある。本研究では、OCT-FFR 低値(<0.90)
は、小さいステント内最小内腔面積、ステント内血栓、近位リファレンスのステント端の解
離といった、ステント関連の不適切な OCT 所見と関連があった。従って我々は、これらの
不適切な OCT 所見が存在すれば、バルーンによる後拡張、血栓吸引や、ステント追加を検
討すべきと考えている。特にこれらの OCT 所見は、ACS に対する緊急 PCI 時には見逃さ
れる可能性があるため、OCT-FFR を測定することで、形態的所見を検出し、臨床転帰を改
善できる可能性がある。第2に、OCT-FFR を測定することによって、気付かれなかった残
存病変を検出し得る可能性がある。本研究では、NCL の長い病変長と小さな最小内腔面積
が、OCT-FFR 低値と独立して関連していた。従って、これらを有する症例では、ステント
追加や、バルーン拡張+薬剤コーティングバルーンによる追加 PCI が推奨されるかもしれ
ない。さらに、NCL の LRP と TCFA は、OCT-FFR とは独立して TVF と関連したため、
このような脆弱プラークを有する患者には、より集中的な内科治療(例;スタチンなど)も
推奨されると考える。
【Limitation】
1)後ろ向き研究のため、選択バイアスが存在する 2)OCT の測定範囲は症例によって
様々なため、測定範囲外に残存狭窄を有する症例がある 3)TVF は複合アウトカムであり、
その関連因子は各アウトカムで異なる可能性がある4)過去に ACS 患者の OCT-FFR の検
証はされていないが、ACS 後の FFR は生理的影響を過小評価する可能性があるため、FFR
を用いた OCT-FFR の精度評価は困難である 5)過去にステント留置後の OCT-FFR の検
証はされていないが、全ての PCI は、現世代の薄いストラット(90μm 未満)の薬剤溶出
性ステントを用いたため、ステントストラットが OCT-FFR 計算に与える影響は最小である
と考える 6)OCT-FFR といくつかの OCT 所見は予後不良と関連していたが、OCT に基
づく形態+生理学的アプローチが臨床結果を改善するかどうかを検討するためには、さらな
る前向き研究が必要である。
【結論】
OCT-FFR は ACS 患者における PCI 後の TVF に関連する独立因子であった。PCI 後の
OCT 所見に OCT-FFR 測定を加えることで、ACS に対する PCI 後に TVF を起こす患者を
より正確に識別することができ、ひいては ACS 患者の臨床転帰を改善する可能性があるこ
とが示された。

4

神戸大学大学院医学(系)研究科(博士課程)
言合瓦文こ季肝予距クつ糸吉長艮ク>彦廷旨示
受付番号

論文題目

甲第

3235 号

氏 名

柿崎俊介

O
p
t
i
c
a
lCoherenceTomographyF
r
a
c
t
i
o
n
a
lFlowRe
s
e
r
veand
Card
i
o
v
a
s
c
u
l
a
rOutcomesi
nP
a
t
i
e
n
t
sWithAcuteCoronary
Syndrome

T
i
t
l
eo
f
急性冠症候群患者における経皮的冠動脈形成術後の光干渉断層法か
D
i
s
s
e
r
t
a
t
i
o
n
ら算 出した冠血流予備量比と予後の関連についての検言寸

主 査
審査委員

Examin
e
r

C
h
i
e
fExaminer
副 査

V
i
1
c
e・
exammer
副 査

V
i
1
c
e・
exam1ner



J
:
.
-

卓遵

J
バ l砂



亨輯一

(要旨は 1, 0 0 0字 ∼ 2, 0 0 0字程度)


背景と目的 】
経皮的冠動脈 形成術 (
Percutaneouscoronary i
ntervent
i
o
n:PCI) は急性冠症候群 (
a
cut
e

C
Iが成功し
coronary s
y
nd
ro
me:A
C
S
) 患者に対する標準的冶療法である 。 しかし、血管造影上 P
た症例 においてもある 一定の割合で虚血が残存する症例が存在し、そういった症例の予後は不良
であることが報告されている 。
光干渉断層撮影法 (
O
p
ti
c
a
lcohe
re
nc
etomograp
hy:OCT) は高い解像度で血管内構造物を評価
することができる血管内画像診断モダリティの 1つである 。近年、OC
T を用いて計測した最小内
腔 面積や狭窄率などの形態的 な測定値 に比べ、流体力学の方程式を用いて算出した O
CT由来の冠
血流予備 量比 (
f
r
a
c
t
i
o
n
a
lflo
w reserve:FFR) (
OC
T
FFR
) は、プレッシャーワイヤーを用いて
測定した FF
R値とより強い相関にあると報告された。本研究では,ACS患者における PCI施行直
後の OC
TFFRと予後との関連を検討した。

方 法】
本研 究は、神戸大学医学部附属病院を含めた関連病院 4施設において、 2
010年 1月から 2
01
8
年1
2月の間に、 ACSに対して OC
Tを用いて P
CIが施行された患者を対象とした、後ろ向きコホー
ト研究である 。

OCTの画像解析
PCI後
、D
ragonflymO
ptismOCTイメージングカテーテルを用いて OCT画像を取得した。標的血
管を、 1
) ステント、 2
) 隣接するリファレンス(長さ 5
mm 以下)、 3
) 非責任病変 (
n
on-culprit

CT画像は、OC
Tで撮像した全長に渡り、 0.1または 0.2
mmフレーム
lesion:N
CL) に分割した。 O
ごとに解析した。ステ ン ト内 の不規則 な突出、血栓、石灰化結節、不完全圧着、ステ ント端の解
離、脂質に富むプラーク (
l
ipi
drichplaque:L
R
P
)、薄い線維性被膜を持つ破れやすいプラーク

(
t
h
i
n-c
a
pfi
broathero
ma:TC
FA) の定性評価も行った。
OCT-F
FRの計算方法
マイクロソ フ ト・エクセル上で、流体力学 を用いた式( △P= F
V +S
V
2
, V 流速, F 粘性摩擦
による圧力損失係数[ポアズイユ抵抗], S 急激な増圧による局所的な圧力損失係数 [
流動分離])
に基づ き
、 OCT断面積か ら、OC
T
-F
FRを算 出 した。
主要アウトカム
心臓死、標的血管関連心筋梗塞、標的血管再血行再建術の複合である標的血管不全 (
t
a
rget

ve
ss
elfailure:TV
F
) とした。

結果】
対象期間に 5
1
1例の P
C
Iが施行された。除外基準を満たす症例を除いた結果、最終的に 364例が
登録された。OCT
FFRの中央値は 0.
93 (
0.
90
-0.
9
6
) であ った。中央値 3
6ヶ月 (
26
-4
8
) の追跡期
間中に、 TVFは 54例 (
1
4.
8%
)発生し た


TVF群は非 TVF群に比べ、有意に左室駆出率、退院時のスタチン内服率が低く、多枝病変が多
C
T-FFRが低かった (
0
.8
7[
O
.8
3
0
.9
2
] v
s
.0
.94 [
O
.9
20.
96], P<0.
0
0
1
)。

、 O
OCT所見に関しては、 TVF群は非 TVF群に比べて有意に、標的血管の平均や最小内腔面積、ス
テント内の最小内腔面積、平均と最小ステント面積、リファレンスの平均内腔面積、 NCLの最小
内腔面積が小さく、 NCLの病変長が長かった。また 、ステント内の不規則な突出や血栓、ステン
ト端の解離や LRP、NCLの L
RPや T
CFAの頻度が高かった。
多変量回帰分析では、低心機能、退院時のスタチン末内服、 O
CT-FFR低値、ステント内血栓、
近位リファレンスの LR
P、リファレンスの平均内腔面積低値、 NCLの TCFAが
、 TVFに関連する独
立因子であった。 OC
T
-FFRのカットオフ値は 0
.
9
0(感度 70.
4%,特異度 84.5%,曲線下面積 0.
8
3
,

P 001) であった 。 TVF の発生率は 、 OCT-FFR 低値 (<0.90) の血管では、高値 (~O. 9
0
) の血
9倍であった。TVFに関連する独立因子のうち、 OCT-FFR低値 (
<
O
.
9
0
) と NCLの TCFAは

管の 9.
TVFと強く関連する因子であった。この 2つの因子を有する血管の T
VF発生率は、他の全ての血
管の 8.1倍であった。

TVF患者の同定における、 OCT
FFR測定の付加価値
モデル 1 (患者背景因子を用いた予測モデル:心血管危険因子,左室駆出率,退院時のスタチ
ン内服)と比べ、モデル 2 (モデル 1に P
CI後 OCT所見を加えた予測モデル)は、 TVF患者の同
定に関して、有意に高い識別能力 (
c
i
nde
x
:0
.
8
2v
s.0.
6
9
; P=
0.
0
0
6
) と再分類能力 (
n
e
t

reclassification i
n
d
e
x
: 0.
8
7
;P
<
0
.
0
0
1
,r
e
l
a
t
i
v
ei
n
t
e
g
r
a
te
dd
i
sc
rimination i
m
p
r
o
v
e
m
e
n
t
:
0
.1
3
;P<
O
.0
0
1
) を示した。モデル 2と比べ、モデル 3(モデル 2に OCT-FFRを加えた予測モデル)
は、さらに高い識別能力 (
c
i
n
d
e
x:0.
92v
s
.0
.8
2
;P
=
O
.0
0
5
)と再分類能力 (
ne
treclassification

i
ndex:l
.0
7
, P<
O
.0
01
, relative i
n
t
e
g
r
a
t
e
ddiscrimi
nation i
m
p
r
o
v
e
m
e
n
t
: 0.
2
4
; P<
O.
0
0
1
)を
示した。

論考】

1
)TVF群では非 TVF群に比べて、 OCT-FF
Rが有意に低値であった 2
) 患者背景や P
C
I後の OCT
所見に加えて O
CT-FFR低値は、 ACS患者における P
C
I後の TVF発生と独立して関連していた 3
)

OCT-FFR低値と NCLの TCFAの両方を有する血管の TVF発生率は、他の全ての血管の 8
.1倍であ っ
た 4
) TVF患者の同定において、 PCI後の OCT所見(形態学的評価)に加えて、 OC
T-FFR測定の付
加価値を示した。

C
Iを受けた ACS患者において、その後の TVF発症予測における OC
T
-FFRの臨床的
本研究は、 P
有用性を明らかにした、初のコホート研究である。

ACS患者における PCI後の OCT-FFR測定の有用性
OCT
-FFRは
、 O
CT画像の血管内腔情報のみを用いて算出されるため、 ACS後の生理学的評価にお
CSを発症しやすい脆弱f
生プラ ー クに関する詳細な情報を
いて大きな利点がある。更に、 OCTは A
得ることが可能である。ACS患者は再発率が高いことが臨床上の大きな問題点であるが、今回の
形態学的評価と生理学的評価を組み合わせたアプロ ーチは、A
CS患者に対す る P
C
I後の患者管理
に適して いる と考えられた。

OCT-FFRと予後の関連
OCT-FFR は、標的血管全体の血管内腔情報から算出される値であり、予後に影響を与えうるス
テントの最適化と NCLの両方を評価できる。 さらに本研究では、標的血管全体の O
CT-FFR低値は

TVF と関連する独立因子であった。従って血管内画像ガイドによるステント最適化に加えて、
OCT-FF
Rを測定し低値であれば、追加 PCIを施行することで、 PCI後の臨床転帰を改善する可能性
がある 。


Limi
tation】
1)後ろ向き研究のため、選択バイアスが存在する 2)OCTの測定範囲は症例によって様々な
ため、測定範囲外に残存狭窄を有する症例がある 3) T
VFは複合アウトカムであり、その関連因
子は各アウトカムで異なる可能性がある 4)過去に A
CS患者の OCT-FFRの検証はされていないが、

ACS後の FFRは生理的影饗を過小評価する可能性があるため、 FFRを用いた OCT-FFRの精度評価は
CT-FFRの検証はされていないが、全ての P
C
Iは、現世
困難である 5)過去にステント留置後の O
9
0
μ m 未満)の薬剤溶出性ステントを用いたため、ステントストラ ッ トが
代の薄いストラット (

OCT
FFR計算に与える影響は最小であると考える 6) OCTFFRといくつかの OCT所見は予後不良
と関連していたが、 O
CT に基づく形態+生理学的ア プ ローチが臨床結果を改善するかど うかを検
討するためには、さ らなる前向き研究が必要である 。

結論】

OCTFFRは ACS患者における P
C
I後の TVFに関連する独立因子であ った。 P
C
I後の OCT所見に
OCT-FFR測定を加えることで、 ACSに対する P
C
I後に TVFを起 こす患者をより正確に識別する こと
ができ、ひいては ACS患者の臨床転帰を改善する可能性があることが示された。
本研究は,

P
C
I施行直後の OCT-FFRの意義を検討した ものであり、従来行われなかった ACS患

者における PC
I施行直後の OCT
-FF
Rと予後との関連に関して重要な知見を得たものとして価値あ
る集積であると認める。 よって、本研究者は、博士(医学)の学位 を得る資格があ ると認める。

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