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書き出し

単球/マクロファージ特異的Mafb欠損マウスは皮膚創傷治癒が遅延する

井上, 由理 筑波大学 DOI:10.15068/0002008053

2023.09.04

概要

筑 波 大 学
博士(医学)学位論文

単球/マクロファージ特異的 Mafb ⽋損
マウスは⽪膚創傷治癒が遅延する

2022
筑波⼤学⼤学院博⼠課程⼈間総合科学研究科

井上 由理

原典論⽂

この学位論⽂は以下の論⽂を原典とする。
Inoue Y, Liao C-W, Tsunakawa Y, Tsai I-L, Takahashi S and Hamada M.
Macrophage-Specific, Mafb-Deficient Mice Showed Delayed Skin Wound
Healing. International Journal of Molecular Science. 2022. 23(16), 9346.
https://doi.org/ 10.3390/ijms23169346

再利⽤に関する許諾、出版社のポリシー
No special permission is required to reuse all or part of article published by MDPI,
including figures and tables. For articles published under an open access Creative
Common CC BY license, any part of the article may be reused without permission
provided that the original article is clearly cited. Reuse of an article does not imply
endorsement by the authors or MDPI.
(https://www.mdpi.com/openaccess より抜粋)

2

原典論⽂の再利⽤(Re-use)について

この学位論⽂は (Macrophage-Specific, Mafb-Deficient Mice Showed Delayed
Skin Wound Healing, Yuri Inoue, Ching-Wei Liao, Yuki Tsunakawa, I-Lin Tsai,
Satoru Takahashi, Michito Hamada, International Journal of Molecular Sciences,
23(16), 9346, 2022, 10.3390/ijms23169346) の内容を MDPI 社の規定に従って
再利⽤している。

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⽬次
1. 略語⼀覧 ------------------------------------------------------------------------ 6
2. 背景 ----------------------------------------------------------------------------- 8

2-1 . 転写因⼦ MAFB
2-2 . マクロファージにおける MAFB の機能
2-3 . 創傷治癒におけるマクロファージ
3. ⽬的 ---------------------------------------------------------------------------- 13
4. ⽅法 ---------------------------------------------------------------------------- 14

4-1 . マウス
4-2 . 遺伝⼦型判定
4-3 . 創傷モデルの作製と創傷部位の採取
4-4 . 創傷⾯積の測定
4-5 . 組織学的解析
4-6 . フローサイトメトリー解析
4-7 . プロテオーム解析
4-8 . RNA 抽出および定量的 RT-PCR 解析
4-9 . ⾻髄細胞からのマクロファージ培養
4-10. シングルセル RNA シークエンスのデータ解析
4-11. 統計学的解析
5. 結果 ---------------------------------------------------------------------------- 20

5-1 . 単球/マクロファージ特異的 Mafb ⽋損マウスでは創傷治癒が遅延する
5-2 . MAFB は⾁芽組織の単球/マクロファージに発現する
5-3 . 単球/マクロファージ特異的 Mafb ⽋損マウスでは創傷における単球/
マクロファージ数が⼀時的に減少した

4

5-4 . 単球/マクロファージ特異的 Mafb ⽋損マウスの創傷では CCL12, Arg1
の発現が減少した
5-5 . 創傷における Mafb 陽性細胞は不均⼀な細胞集団である
6. 考察 ---------------------------------------------------------------------------- 27

6-1 . ⽪膚創傷での MAFB の発現
6-2 . MAFB の標的となる可能性のある遺伝⼦とその機能
6-3 . 創傷マクロファージにおける Mafb とその他の遺伝⼦の発現分布
6-4 . 傷の修復と MAFB
7. 結語 ---------------------------------------------------------------------------- 35
8. 要約図 -------------------------------------------------------------------------- 36
9. 参考⽂献 ----------------------------------------------------------------------- 37
10. 謝辞 --------------------------------------------------------------------------- 48
11. 図表 --------------------------------------------------------------------------- 49

5

1. 略語⼀覧

AIM:apoptosis inhibitor of macrophage
AMP:アデノシン⼀リン酸
AMPK:AMP-activated protein kinase
Arg1:arginase 1
ARK5:AMPK-related protein kinase 5
bFGF:basic fibroblast growth factor
bZip:basic leucine zipper
BSA:bovine serum albumin
CCL:C-C motif chemokine ligand
CCR:C-C motif chemokine receptor
CXCL:C-X-C motif chemokine ligand
DAMPs:damage-associated molecular patterns
DAPI:4',6-Diamidino-2-phenylindole
DDR2:discoidin domain receptor 2
DEJ:dermal-epidermal junction
DEPTOR:DEP domain-containing mTOR-interacting protein
EGF:epidermal growth factor
FBS:fetal bovine serum
FCM:flow cytometry
FGF-2:fibroblast growth factor-2
FSGS:focal segmental glomerulosclerosis;巣状分節性⽷球体硬化症
GEO:Gene Expression Omnibus
GR:glucocorticoid receptor

6

HIF-1:hypoxia inducible factor-1
IL:interleukin
LXR:liver X receptor
MARCO:macrophage receptor with collagenous structure
MARE:Maf recognition element;Maf 認識配列
M-CSF:macrophage-colony-stimulating factor
MCTO:multicentric carpotarsal osteolysis;多中⼼性⼿根⾜根⾻溶解症
MMP:matrix metalloproteinase
MSR1:mouse scavenger receptor1
mTOR:mechanistic target of rapamycin
Nos2:nitric oxide synthase 2
PBS:phosphate-buffered saline
PPAR:peroxisome proliferator-activated receptor
RAR:retinoic acid receptor
TGFb:transforming growth factor
TNF-a:tumor necrosis factor-a
VEGF:vascular endothelial growth factor

7

2. 背景
2-1. 転写因⼦ MAFB

MAFB は Maf 転写因⼦群に属する転写因⼦である。Maf 転写因⼦群は、ニワ
トリの筋腱膜線維⾁腫を引き起こすレトロウイルス AS42 から単離された vMAF のホモログとして発⾒された転写因⼦群である[1]。これらの転写因⼦は
DNA の認識に関与する塩基性領域とロイシンジッパー構造からなる basic
leucine zipper (bZip) 構造を持つ (図 1) [2]。bZip 構造を介してホモ⼆量体あ
るいは他の転写因⼦とヘテロ⼆量体を形成し、遺伝⼦のプロモーター領域に存
在する Maf 認識配列(MARE)に結合することで、標的遺伝⼦の転写を正また
は負に制御する[3]。Maf 転写因⼦群は、bZip 構造と転写活性化領域を持つ Large
Maf と bZip 構造のみを持つ Small Maf の 2 つに分けられ、Large Maf には cMAF、MAFB、MAFA、NRL が同定されており、Small Maf には MAFK、MAFF、
MAFG がある[4]。
MAFB は、膵臓a、b細胞、腎⽷球体の⾜細胞、胎仔の菱脳、胸腺、副甲状腺、
⽑包、ケラチノサイト、男性の外⽣殖器など様々な組織で発現しており、⾎液系
細胞の中では主に単球やマクファージで発現が⾒られる[5‒11]。全⾝で Mafb が
⽋損したマウスは⽣後間もなく呼吸不全によって死亡することが明らかとなっ
ている。これは MAFB が脳幹にある呼吸リズムの⽣成に重要なプレベッツィン
ガー複合体の発⽣に寄与することに起因している[12]。Mafb ⽋損マウスの胎仔
の解析では、MAFB が腎⽷球体の⾜細胞や尿細管の発⽣、ケラチノサイトの分
化に重要であることが明らかとなった[9,10]。また、MAFB は膵臓a細胞のグル
カゴン遺伝⼦、副甲状腺の PTH 遺伝⼦などの発現を制御することが報告されて
いる[7,13]。ヒトでは、多中⼼性⼿根⾻⾜根⾻溶解症 (MCTO) やデュアン症候
群の原因が Mafb 遺伝⼦の変異にあることが明らかとなっており[14,15]、MAFB

8

は⽣体の発⽣やそれぞれの細胞を特徴づける遺伝⼦発現の制御に寄与している
ことが⽰唆される。しかし、c-MAF や MAFB は多発性⾻髄腫において mTOR
(mechanistic target of rapamycin) 結合蛋⽩である DEPTOR (DEP domaincontaining mTOR-interacting protein) や腫瘍の進⾏に関わる ARK5 (AMPKrelated protein kinase 5) (AMPK; AMP-activated protein kinase) (AMP; アデノ
シン⼀リン酸)の発現を促すことが⽰唆されており[16,17]、多発性⾻髄腫では
Maf の異所性発現が多く⾒られている[18,19]。したがって、MAFB は⽣体の発
⽣に重要であるが細胞の増殖にも関与し、その異所的な発現は細胞のがん化を
引き起こす可能性がある。このように、MAFB は細胞や組織ごとに制御する遺
伝⼦が異なっているため、成体における MAFB の機能の全貌は未だ解明されて
いない。

2-2. マクロファージにおける MAFB の機能

全⾝で Mafb が⽋損したマウスのマクロファージでは、マクロファージマー
カーである F4/80 の発現が著しく低下するがマクロファージの数⾃体には影響
がなかったことが明らかとなっている[10]。このことから MAFB は胎仔におけ
るマクロファージの発⽣には関与しないと考えられている。成体でのマクロフ
ァージにおける MAFB の機能の解析には、Mafb ⽋損マウスの胎仔肝臓を移植
したマウスや Cre-loxp システムを⽤いたマウスが使⽤されてきた。マクロファ
ージには様々なサブタイプがあることが明らかとなっているが、炎症促進型で
ある M1 と炎症抑制型である M2 に⼤別されている[20]。先⾏研究では in vitro
において、Mafb は M1 よりも IL-4 や IL-10 によって誘導される M2 で⾼発現
することが明らかになっている[21]。また、MAFB はマクロファージ特異的に
発現する遺伝⼦のエンハンサー領域の MARE に結合することが⽰唆されており

9

[22]、in vitro ではヒト単球がマクロファージへと分化する際に必須な因⼦であ
ることが報告されている[23]。さらに、Mafb と c-Maf が⽋損した成熟マクロフ
ァージでは Klf4 と c-Myc の発現が誘導され、最終分化においても M-CSF に応
じて増殖できることが明らかとなった[24]。これらの報告から MAFB はヒトと
マウスの両⽅においてマクロファージの分化の制御に重要であることが⽰唆さ
れる。
MAFB は後肢虚⾎モデルやブレオマイシンで誘導した肺線維症モデルなど
様々な病態下のマクロファージで発現が確認されており[25,26]、病態下におけ
るマクロファージの機能に寄与する可能性が⽰唆されている。アテローム性動
脈硬化では、MAFB は病変部に存在する泡沫細胞において Apoptosis inhibitor
of macrophage (AIM) の発現を促し、泡沫細胞のアポトーシスを抑制すること
で動脈硬化を促進させることが判明した[27]。また、虚⾎性脳卒中ではマクロフ
ァージに発現する MAFB が mouse scavenger receptor1 (MSR1) や macrophage
receptor with collagenous structure (MARCO) の発現を促すことで damageassociated molecular patterns (DAMPs) の除去に寄与し、炎症を抑制すること
が報告されている[28]。さらに、MAFB はマクロファージで補体 C1q 遺伝⼦群
の発現を直接制御することが明らかとなっており、マクロファージのエフェロ
サイトーシスに寄与することが⽰唆された[29]。このように MAFB は病態下に
おけるマクロファージの様々な機能に関与し、病態や⾮常時に対する⽣体反応
に重要であると考えられる。

2-3. 創傷治癒におけるマクロファージ

⽪膚は、物理的な損傷や病原体などの外的要因から⽣体を保護し体液の喪失
防ぐバリアである[30,31]。負傷した際の⽪膚の修復や恒常性の維持は⽣体にと

10

って不可⽋なプロセスであり、重篤な外傷を負った場合はより早く修復するこ
とが⽣命維持に重要である。成体哺乳類の創傷治癒は、⽌⾎、炎症、ケラチノサ
イトの遊⾛と増殖による再上⽪化、⾁芽組織形成、⾎管新⽣、創収縮などの多く
プロセスが並⾏して⾏われる複雑な機構である[30,32]。創傷治癒は炎症期、増
殖期、成熟期と呼ばれる 3 つの段階に⼤きく分けられ、これらが琢次的に⾏わ
れるためには⽪膚における様々な細胞が複雑に相互作⽤する必要がある[33]。
炎症期は、⽌⾎と炎症反応による病原体の除去が⾏われる段階である。⾎⼩
板による⽌⾎に始まり、⾎⼩板から放出される成⻑因⼦やケモカイン、損傷した
細胞から放出される DAMPs などによって好中球やマクロファージが創傷に浸
潤する[34‒36]。それらは相互作⽤しながら創傷における病原体や死細胞の除去
に当たる[37‒39]。異物の除去が終わると、好中球はアポトーシスを起こし、炎
症性マクロファージによって貪⾷される[40,41]。この貪⾷によってマクロファ
ージの表現型が炎症性から炎症抑制性へと変化し、炎症の解消につながる[42]。
増殖期では、コラーゲン⽣成や⾎管新⽣、再上⽪化が進み、⾁芽組織の発⽣
を特徴とした組織形成が起こる[30]。⾁芽組織には⾎管新⽣を⽣じる内⽪細胞
の浸潤や線維芽細胞の流⼊などが⾒られ、⽪膚の創傷空間を埋める役割がある。
⾎管新⽣は、損傷後に⾎⼩板やマクロファージから産⽣される⾎管内⽪増殖因
⼦ (VFGF) や塩基性線維芽細胞増殖因⼦ (bFGF) などによって炎症期の初期
から促されているが[43]、増殖期に⼊るとさらに促進されることが知られてい
る。増殖期では組織修復に働く細胞の代謝の促進により創傷部位が低酸素状態
となり、マクロファージや線維芽細胞、⾎管内⽪細胞など様々な細胞で低酸素誘
導性因⼦-1 (HIF-1) が発現される[30]。HIF-1 は各細胞での VEGF の産⽣を促
し、それによって内⽪の増殖や移動、チューブ形成が促進されて⾎管新⽣に寄与
する[30,43]。コラーゲン合成は、マクロファージやケラチノサイト、内⽪細胞

11

などから産⽣されるトランスフォーミング増殖因⼦b (TGFb) や上⽪増殖因⼦
(EGF)、FGF-2 などの成⻑因⼦によって線維芽細胞が活性化されることで開始
される[30]。さらに線維芽細胞は筋線維芽細胞へと分化することで創収縮を促
し、傷を⼩さくする働きがある[44]。
成熟期は、筋線維芽細胞や線維芽細胞、⾎管などが減少し、⾁芽組織が徐々
に減少していく過程である[33]。組織修復のために形成された III 型コラーゲン
は線維芽細胞とマクロファージが放出するコラーゲン・メタロプロテアーゼに
よって I 型コラーゲンに置き換えられ、正常なコラーゲン⽐率に近づけられる
[45]。
このように、創傷治癒では様々な細胞が複数の成⻑因⼦やサイトカインを産
⽣し、複雑に相互作⽤しながら組織修復が⾏われる。特にマクロファージは表現
型を変化させながら炎症期から成熟期のすべての過程に関与することが⽰唆さ
れている[46,47]。先⾏研究では、創傷治癒の途中でマクロファージを除去する
実験が⾏われており、再上⽪化の遅れやコラーゲン沈着の減少、⾎管新⽣の障害、
細胞増殖の減少が報告されている[48,49]。また、炎症期でマクロファージを除
去すると⾎管新⽣の減少や⾁芽組織形成の遅延がみられ、増殖期でマクロファ
ージを除去すると創傷組織に重度の出⾎が起こることが明らかとなった[50]。
これらの知⾒は、マクロファージが組織修復の各段階で異なる細胞を制御し、ど
の段階のマクロファージ機能が⽋落しても修復の遅延や慢性創傷に⾄る可能性
を⽰唆している。したがって、マクロファージの機能は厳密に制御される必要が
あるが、創傷治癒のどの過程でどのような表現型のマクロファージが機能的に
働くのかを決定づけるメカニズムはまだ解明されていない。

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3. ⽬的

本研究は、⽪膚創傷治癒において単球/マクロファージに発現する MAFB の機
能を解明することを⽬的として、単球/マクロファージ特異的 Mafb ⽋損マウス
(Mafbf/f::LysM-Cre) (CKO) と Mafbf/f (Control) に創傷を作製し、その治癒過程
を解析した。

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4. 材料・⽅法
4-1. マウス

本研究で使⽤したすべてのマウスは、筑波⼤学⽣命科学動物資源センターに
おいて specific pathogen-free の環境下で、飼育室の温度は 23.5±2.5℃、湿度
52.5±12.5%、明期 14 時間、暗期 10 時間、⾃由給餌、⾃由給⽔にて飼育され
た。本研究の動物実験計画は筑波⼤学動物実験委員会にて承認されたものであ
り、すべての実験において 8〜12 週齢のオスを使⽤した。

Mafb-floxed マウスは筑波⼤学⽣命科学動物資源センターにおいて作製され、
Lysozyme 2 Cre アレルを持つマウスと交配させることでマクロファージ特異的な
Mafb コンディショナルノックアウトマウスが作製された[29]。⽐較対照マウス
としては C57BL/6J 遺伝的背景の Mafbf/f マウスを⽤いた。以後、Mafbf/f::LysMCre マウスを CKO、Mafbf/f マウスを Control と表記する。
また、MAFB の発現解析には C57BL/6J 遺伝的背景の Mafb-GFP ノックイン
マウスを⽤いた。相同組み換えによって Mafb 遺伝⼦座に GFP が挿⼊されたマ
ウスである[10]。以下このマウスを Mafb+/GFP と表記する。

4-2. 遺伝⼦型判定

マウスの尾 1~2 mm を 50 mM NaOH ⽔溶液 600 µL 中で 95℃、30〜40 分間
処理した後、1 M Tris HCl (pH 8.0) を添加して中和した。4℃、15000 rpm で 5
分間遠⼼処理した後、上清をゲノム DNA として⽤いた。PCR 反応は 1 µL の鋳
型 DNA と BIOTAQTM DNA Polymerase (Bioline) を⽤いて、最終容量を 10 µL
の反応系とした。94℃ 30 秒、58℃ 30 秒、72℃ 60 秒を 1 サイクルとし、30 サ
イクルの反応条件で LysM アレルと Cre をサーマルサイクラー T100TM (Bio
Rad Laboratories) によって判別した。遺伝⼦型判定に⽤いたプライマーは以下

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の通りである。
・LysM-F; 5'-CCATTATTTCACAGCAGCATTGC-3'
・LysM-R; 5'-GCTGACTCCATAGTAGCCAG-3'
・NLS-Cre; 5'-CCCAAGAAGAAGAGGAAGGTGTCC-3'
・Cre8; 5'-CCCAGAAATGCCAGATTACG-3'

4-3. 創傷モデルの作製と創傷部位の採取

イソフルラン⿇酔 (和光純薬) 下において、直径 5 mm の丸型ナイフである
バイオプシーパンチ (カイ インダストリーズ) を⽤いてマウスの背部に⽪膚の
全層を切り取る創傷を 5 mm 以上間隔を空けて 2 ヶ所作製した。解析する際は、
CO2 にてマウスを安楽死させた後、直径 8 mm の丸形のバイオプシーパンチ (カ
イ インダストリーズ) を⽤いて創傷部位の⽪膚を採取した。

4-4. ...

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