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大学・研究所にある論文を検索できる 「再発難治性白血病に対する個別化医療を目指した患者特異的治療標的の同定」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

再発難治性白血病に対する個別化医療を目指した患者特異的治療標的の同定

中川, 諒 東北大学

2023.03.24

概要

(書式18)




位 論 文 要 約
A b s t r a c t )

博士論文題目 Title of dissertation
再発難治性白血病に対する個別化医療を目指した患者特異的治療標的の同定

東北大学大学院医学系研究科
内科病態学講座
氏名 Name

中川

医科学 専攻

血液内科学分野


造血器腫瘍における新規治療薬の開発や造血幹細胞移植技術の進歩にも関わらず、再発・治療抵抗性白血病
は依然として予後不良である。本研究では、予後不良のリンパ球系白血病および骨髄球系白血病に対して、マ
ルチオミクス解析、in vitro での薬剤感受性の評価、patient-derived xenograft (PDX) モデルマウスを用いた
in vivo での治療を通して、再発難治性白血病に対する患者特異的な新規治療標的の同定を目的とした。
再発難治性の急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia: ALL)
、混合表現型急性白血病(mixed
phenotype acute leukemia: MPAL)および慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia: CML)の患者検
体を用いて、RNA シークエンスによる遺伝子発現解析を行うと、正常の造血幹細胞・前駆細胞、成熟血液細
胞と比較して、白血病細胞の生存はアポトーシス経路や細胞分裂、細胞周期に関わる分子に強く依存している
ことが分かった。
遺伝子発現解析の結果から、アポトーシス経路(BIRC、BCL-2、MCL-1)と細胞分裂(AURKB)に関与する分
子の阻害剤について、in vitro での白血病細胞に対する効果を検討した。各薬剤の感受性は患者検体毎に様々
であり、白血病細胞の生存・維持に依存する分子の多様性を見出した。In vitro の薬剤感受性を規定するもの
は体細胞変異や染色体異常よりも、B 細胞性、T 細胞性、骨髄球性といった白血病の系統であることが分かっ
た。B 細胞性白血病においては BCL-2 阻害剤と BIRC 阻害剤の両方が高い治療効果を認める一方で、T 細胞
性白血病では BCL-2 阻害剤に、CML では BIRC 阻害剤に高い感受性を示すことが明らかになった。
次に in vitro での薬剤感受性に基づいて、予後不良の ALL、MPAL、CML の PDX モデルマウスを用いた
in vivo での治療評価を行なった。既存治療のみでは抵抗性を示す症例においても、患者特異的な治療標的分
子の阻害剤を既存治療と併用することで、多様な ALL 、MPAL、CML の PDX モデルにおいて末梢血、骨髄、
脾臓で白血病細胞を根絶させることが出来た(17 症例中 11 例)。
多くの症例では in vivo における分子標的薬治療が奏功したが、一部の症例では抵抗性を示した。治療抵抗
性のメカニズムの解明のため、
ターゲット DNA シークエンス解析を行うと、
抵抗性の症例ではいずれも KRAS
もしくは TP53 変異を有することが判明した。これら治療抵抗性白血病の根治を目指して、マスサイトメトリ
ーによるタンパク発現解析にて、さらなる治療標的の探索を行なった。感受性症例と抵抗性症例のタンパク発
現の違いを見ると、治療抵抗性白血病細胞ではケモカインの一種である CXCL12 が高発現していることがわ
かった。この治療抵抗性白血病細胞の特性に着目し、白血病細胞へのホーミング機能向上を狙い、CXCL12
の受容体 CXCR4 を発現したキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor; CAR)T 細胞の開発を行った。
分子標的薬による治療に次いで、B-ALL/MPAL に対して CD19、T-ALL/MPAL と CML に対して CD7 を
標的抗原とした、CXCR4 発現 CAR-T 細胞による治療を行うことで、KRAS 変異や TP53 変異を有する治療
抵抗性白血病細胞を PDX モデルの骨髄、脾臓、肝臓、末梢血で駆逐することが出来た。
以上より、再発難治性 ALL、MPAL、CML に対して患者特異的な治療標的を同定し、標的分子に対する
1

(書式18)
阻害剤と CXCR4 発現 CAR-T 細胞治療を組み合わせることで、in vivo において多くの治療抵抗性白血病細胞
を根絶させることができた。本研究における治療戦略は、予後不良白血病に対する個別最適化医療に寄与する
と考えられる。 ...

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