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大学・研究所にある論文を検索できる 「心停止後の低酸素脳症による認知機能障害の長期経過」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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心停止後の低酸素脳症による認知機能障害の長期経過

宇野 友貴 山形大学

2020.03.31

概要

【背景】心停止後低酸素脳症では、蘇生後の認知機能障害が社会復帰への大きな妨げとなる。先行研究では症例の選出基準、評価時期や方法等が統一されておらず、認知機能障害の出現率や転帰などの結果にばらつきがある。また、複数症例を対象に認知機能の長期経過を年単位で検討した研究はない。さらに、放射線学的検査と認知機能障害の関連についての検討も不十分である。

【目的】心停止後の低酸素脳症において、1)神経心理学的、神経放射線学的所見の長期経過を明らかにする。2)初診時の神経心理学的/神経放射線学的所見と最終的な機能転帰との関係を明らかに、初診時所見から転帰を予測できるかどうかを検討する。

【方法】心停止後低酸素脳症により高次脳機能科で診察・評価した15例の連続症例を対象に診療録の情報から後方視的検討を行った。症例をCerebral Performance Categoryを用いて転帰良好群と転帰不良群に分類し、両群間で基本属性、初診時および最終時の神経心理学的所見を比較した。1年以上の長期経過を観察した6症例について、詳細な認知機能・放射線学的所見の変化を検討した。症例群の比較にはMann-WhitneyU検定とχ二乗検定、検査結果間の相関はSpearmanの順位相関係数を用いた。

【結果】転帰良好群9例、転帰不良群6例に分類された。転帰良好群は不良群に比べ、初回認知機能検査実施までの日数が短く、初回検査でのMMSEの総得点、見当識、計算、語流暢性検査の成績が有意に良好であった。転帰良好群は初診時に情動症状を呈する症例が有意に少なかった。個々の症例でみると、初回MMSE20点以上の症例は、情動症状のあった1例を除いて転帰良好だった。長期経過を検討した6症例のうち5例で、発症から1~3年の間に認知機能が改善するも、その後緩やかに低下傾向を認めた。放射線学的検査では、MRIでは低酸素脳症の所見を3例で認めた。脳血流SPECTを実施した4例全例で血流低下を認め、経時的な脳血流量と認知機能の変化に関連を認めた。

【考察】心停止後低酸素脳症では、認知機能について診察できるようになる時期が早く、その時点での認知機能が良好な症例は最終的な機能転帰が良好であると考えられた。しかし、1-3年の経過で認知機能が改善した後に再度認知機能が低下してくる経過をとることが本研究で初めて明らかになったことから、注意深い経過観察が必要である。また、放射線学的検査としてMRIでは変化が認められることはあるものの機能との関連ははっきりせず、脳血流SPECTは認知機能を反映することが示唆されたことから、脳血流SPECTは機能変化を客観的に知る検査として有用と考えられた。

【結語】心停止後の低酸素脳症は、初期の認知機能所見から機能転帰がある程度予測できる。本研究で低酸素脳症における年単位の遅発性脳機能低下をはじめて明らかにした。

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