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大学・研究所にある論文を検索できる 「メモリー表現型CD4+ T細胞による自己免疫・炎症性疾患発症機構」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

メモリー表現型CD4+ T細胞による自己免疫・炎症性疾患発症機構

川尻, 昭寿 東北大学

2023.03.24

概要

(書式18)




位 論 文 要 約
A b s t r a c t )

博士論文題目 Title of dissertation
メモリー表現型 CD4+ T 細胞による自己免疫・炎症性疾患発症機構

東北大学大学院医学系研究科
内科病態学

講座

氏名 Name

医科学

専攻

血液内科学

分野

川尻

昭寿

T 細胞獲得免疫応答において、病原体などの外来抗原に特異的な T 細胞受容体を持つナイーブ CD4+ T
細胞は活性化し、抗原特異的エフェクターおよびメモリー細胞へと分化することにより外来抗原を生体内か
ら排除する。ナイーブ細胞とエフェクター/メモリー細胞は表面抗原によって識別できることが知られてお
り、前者は CD44lo CD62Lhi、後者は CD44hi CD62Llo の表現型を呈する。特定病原体を保有しない specific
pathogen-free 環境下で飼育された非感染健常マウスにおいても、二次リンパ組織中に CD44hi

CD62Llo

の表現型を有する CD4+リンパ球が相当数存在することが知られていたが、かつてこれらの細胞は正常細菌
叢や食餌性抗原などの何らかの外来抗原に特異的なメモリーCD4+ T 細胞であると考えられていた。近年の
研究でこれらの細胞は正常細菌叢や食餌性抗原を除かれた環境下のマウスにも等しく存在する分画である
こと、ナイーブ細胞の一部が自己抗原を認識することで定常的に産生される分画であること、獲得免疫を担
うはずの T 細胞にあって自然免疫的な様式で感染防御に寄与することが明らかとなった。現在ではこれらの
細胞は、
「古典的」な抗原特異的なエフェクター/メモリーT 細胞とは異なる細胞であると考えられ、メモリ
ー表現型(Memory-phenotype: MP)細胞(MP 細胞)と呼ばれている。MP 細胞は自己抗原に反応して生
じた細胞であることを考えると、同細胞が自己免疫・炎症性疾患惹起能を有する可能性が推測されるが、こ
れまでの研究では明らかではなかった。本研究では MP 細胞を免疫不全マウスである Rag2 遺伝子欠損マウ
スに移入し、その自然経過を観察することで、MP 細胞の自己免疫・炎症性疾患惹起能を評価することを試
みた。その結果、MP 細胞が大腸・肺・腎臓・肝臓などの全身臓器に集積し、軽度かつ持続的な炎症を引き
起こすことが明らかとなった。このうち腸炎は、MP 細胞が常在細菌叢反応性に 1 型ならびに 3 型ヘルパー
T 細胞(それぞれ Th1, Th17 細胞)に分化して惹起されたのに対し、他臓器における炎症は正常細菌叢にも
Th1・Th17 分化にも非依存的に引き起こされることが分かり、MP 細胞の炎症メカニズムは臓器によって
異なることが示唆された。また、MP 細胞はナイーブ細胞と比較して制御性 T 細胞(Treg 細胞)へより効
率的に分化し、それによって全身炎症を部分的に改善していることが明らかとなり、MP 細胞は自己抗原に
1

(書式18)
反応して自己免疫・自己炎症を惹起するだけでなく、過度な炎症を抑制する機能を内包する分画である可能
性が示された。さらに、定常状態下の MP 細胞は未分化 T-bet-ならびに成熟 T-bet+分画に分類されるが、 上
記の Th1、Th17 および Treg 細胞への分化は主に前者分画によって担われることが示された。これらの研
究結果より、自己抗原反応性を有する未分化 T-bet-

MP 細胞が、Th1、Th17 ならびに Treg 細胞に分化す

ることによって軽度かつ持続性の全身炎症を誘発することができる CD4+ T 細胞集団であることが示され
た。ヒトにおいても MP 細胞に相当する細胞が存在することが過去の文献から強く示唆されており、ヒト
MP 細胞が何らかの自己免疫・自己炎症疾患の責任細胞である可能性が考えられる。今後のさらなる研究に
より MP 細胞の分化・活性化経路を標的とした、自己免疫疾患や炎症性疾患の根治的治療戦略の創出が期待
される。 ...

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