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大学・研究所にある論文を検索できる 「Increased vascular permeability and severe renal tubular damage after ischemia-reperfusion injury in mice lacking adiponectin or T-cadherin」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Increased vascular permeability and severe renal tubular damage after ischemia-reperfusion injury in mice lacking adiponectin or T-cadherin

清水, 有理 大阪大学

2021.03.24

概要

〔目 的(Purpose)〕 Adiponectin (APN)は、脂肪細胞から特異的かつ多傲に分泌される蛋白であり、3量体、6量体、及び18量体以上の多量体を形成する。我々は6量体以上の多量体APNがGPIアンカー型膜蛋白T-cadherin (T- cad)と高親和性に相互作用することで、血管内皮細胞や心筋・骨格筋細胞及び間葉系幹細胞からのエクソソーム産生を促進し、臓器保護作用を発揮することを報告してきた。そこで我々は、AΡΝおよびT-cadの腎臟における局在と、その腎保護作用への関与について検討した。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕腎臓のwhole lysateのWestern blottingでは、心血管組織と比較すると相対的に少ないものの、APNおよOT-cad蛋白の存在を認めた。次に、蛍光免疫染色により野生型(WT)マウスの腎臓におけるAPNの局在を評価したところ、細動脈の血管内皮と尿細管周囲の毛細血管でAPNが検出された。このような APNのシグナルは、T-cad欠損(T-cad-KO)マウスの腎臓では完全に消失していたことから、T-cad依存的なAPNの組織集積であることが示唆された。一方、糸球体にはAPNシグナルは検出されず、単離糸球体でのT-cadのmRNAおよび蛋白発現は著しく低かったことから、少なくとも糸球体の毛細血管にはT-cadを介したAPNの集積はほとんどみられないと考えられた。続いて、尿細管周囲の毛細血管におけるT-cadとAPNの詳細な局在について検討した。血管内皮細胞マーカーであるCD31と、血管周皮細胞(pericyte)マーカーであるPDGFR βとの共染色を行ったところ、T-cadおよびAPNはCD31よりむしろ、PDGFR βと共染された。この結果から、腎尿細管の毛細血管においては、AΡΝは主に PDGFR β陽性のpericyteにT- cadを介して集積していると考えられた。

pericyteは内皮細胞の支持細胞であり、血管構造の維持や微小循羰の調節に重要な役割を果たすだけでなく、組織常在性の問葉系幹細胞としての側面も有していることも近年報告されている。そこで、腎臟におけるAPN / T- cadの作用を評価するために、WT及びAPN-KO、T-cad-KOマウスに対して、腎虛血再灌流(IRI)による急性腎不全モデル(左腎動静脈をクランプし、30分後にクランプを解放)を作製し、24時間後に解析した。ΑΡΝ-KO及びTcad-KOマウスの腎髄質では、WTマウスに比して、より高度な尿細管壊死を呈しており、尿細管細胞間隙に多数の好中球浸潤が認められた。このような所見を反映して、ΑΡΝ-KO及びTcad-ΚΟマウスでは、活性化好中球と遠位尿細障害マーカーであるNGAL陽性面積が有意に高値であった。また、AΡΝ-KO及びTcad-KOマウスのIRI腎では、Evans blue dye (EBD)静脈注射後の血管外漏出が有意に高値であり、著しい血管透過性亢進がみられた。pericyteは微小血管のバリア機能を維持するために不可欠であり、血管障害に伴うその喪失(pericyte loss)は、血管透過性の亢進とその後の組織障害に寄与することが知られている。続いて、IRI後の腎微小血管構造の変化を比較するために、Isolectin B4 (内皮細胞)とPDGFRβ (pericyte)との免疫染色を行い、各陽性細胞エリアの定量評価を行った。その結果、Isolectin B4陽性面積は、IRI腎で減少する傾向がみられたが、各マウス間で差はみられなかった。一方、PDGFR β陽性面積に関しては、WTマウスのIRI腎では健常側腎と比較して有意に増加していたのに対して、ΑΡΝ-ΚO及びTcad-ΚΟマウスのIRI腎ではむしろ顕著に減少しており、重篤なpericyte lossが示唆された。

さらに、マウスのprimary pericyteを用いたin vitroの実験を行った。pericyteにはT-cad蛋白発現が豊富に認められ、精製高分子多量体APNの集積が確認された。このAPNの集積は、siRNAによるT-cadのノックダウンによって消失した。また、超遠心法により培養上清中のエクソソーム(Exo)を評価した結果、高分子多量体APN添加により、代表的なExoマーカー蛋白であるsynteninやTsgl01が有意に増加し、pericyteからのExo分泌の亢進を認めた。しかし、このようなAPNによるExo産生促進作用は、T-cadのノックダウンによりキャンセルされた。

〔総 括(Conclusion)〕腎臓においてAPNは、T-cadを介して尿細管周囲毛細血管のpericyteに存在しており、急性腎障害モデルにおける血管透過性亢進を抑制することで、腎保護効果を発揮することが初めて示された。また、 pericyte由来のExoが組織修復に関わることも近年明らかとされており、APNによるT-cad依存的なExo産生促進が、 APNの腎保護作用の一端を担っている可能性がある。

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