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Pattern of THK 5351 retention in normal aging involves core regions of resting state networks associated with higher cognitive function

吉田, 有佑 名古屋大学

2023.07.28

概要

主論文の要旨

Pattern of THK 5351 retention in normal aging
involves core regions of resting state networks
associated with higher cognitive function
正常老化におけるTHK5351分布様式は高度な認知機能に
関連した安静時機能的ネットワークのコア領域に関与

名古屋大学大学院医学系研究科
脳神経病態制御学講座

総合医学専攻

神経内科学分野

(指導:勝野 雅央
吉田 有佑

教授)

【緒言】
近年、PET や MRI といった画像の進歩により、アルツハイマー病と関連のあるアミ
ロイドβとタウ蛋白の蓄積のみならず、アストログリオーシス(神経炎症)や解剖学的・
機能的な脳ネットワークを視覚化できるようになった。
[18F]THK5351 は当初はタウを標的とする PET トレーサーとして開発されたが、今
では主にアストログリオーシスの生ずる部位で発現する MAO-B のトレーサーとして
認識されるようになった。また、安静時機能的 MRI により、脳内のネットワークを評
価することができるようになった。
主成分分析(principal component analysis, PCA)は、多数の成分から構成される観測信
号を互いに直交する成分へと絞り込むデータ駆動型多変量解析手法である。近年幅広
く 用 い ら れ て い る Scaled Subprofile Modeling(SSM)/PCA は PCA を ベ ー ス と し 、
SPECT や PET で得られた数十万個を超えるボクセル内の糖代謝、脳血流、高感度タ
ンパク質などのデータを、疾患と健常者を最も効率的に分類する空間共分散パターン
に絞り込むことを可能とする。糖代謝 PET における SSM/PCA の有用性は、パーキ
ンソン病、アルツハイマー病、大脳皮質基底核変性症などで報告されている。
しかしながら、健常者における[18F]THK5351 の空間的集積は未だ明らかではなく、
安静時ネットワークとの関連性の知見も乏しい。そこで今回、SSM/PCA を用いて健常
者における[18F]THK5351 の分布パターンを解明し、安静時ネットワークとの関係も
検討した。
【対象および方法】
68 名の対象者に対して Pittsburgh Compound-B(PiB)PET、[18F]THK5351 PET、安静
時 機 能 的 MRI、 お よ び 認 知 機 能 評 価 と し て ミ ニ メ ン タ ル ス テ ー ト 検 査 (MMSE)、
Addenbrooke’s Cognitive Examination Revised(ACE-R)、アルツハイマー病評価尺度日本
版(ADAS-cog-j)、論理的記憶 II、臨床的認知症重症度判定尺度(CDR)を施行した。PiB
PET にてアミロイドβが蓄積していないことが示され、認知機能評価にて正常だった
62 例を健常者として解析の対象とした(表1)。
健常者の[18F]THK5351 の PET で集積様式を全脳的に同定するため、SSM/PCA を施
行した。最も集積が高いピークを同定した上でその部位を関心領域として設定し全脳
へ の ネ ッ ト ワ ー ク の 結 合 性 に つ い て 調 べ る た め 、 Seed Based Connectivity
Analysis(SCA)を施行した。また、functional connectivity overlap ratio(FCOR)を用いて、
安静時ネットワークとの関連性を解析した。
【結果】
SSM/PCA 解析により[18F]THK5351 の分布には主に両側内側側頭葉、海馬、被殻、
尾状核、視床、内側前頭前野、前帯状皮質、眼窩前頭皮質が含まれていた(図1)。
THK5351 の分布のピークは内側前頭前野と両側被殻に認められた。
内側前頭前野を関心領域とした SCA 解析では、内側前頭葉皮質、後帯状皮質、楔前

-1-

部、海馬、下側頭回などデフォルトモードネットワークに良く一致した領域に正の相
関が認められた。逆に頭頂間溝、後頭葉など背側注意ネットワークに一致した領域と
は負の相関が認められた(図2)。
一方、被殻を関心領域とした SCA では基底核、島、背側前帯状皮質など後方セイリ
アンスネットワークと基底核ネットワークに良く一致した領域に正の相関が認められ
た。内側前頭前野の時と同様、頭頂間溝、後頭葉など背側注意ネットワークに一致し
た領域とは負の相関が認められた(図3)。
FCOR 解析では、内側前頭前野の関心領域と正の相関のある領域は背側デフォルト
モードネットワークと 90%以上の一致を認め、さらに、左実行制御ネットワーク、言
語ネットワーク、基底核ネットワーク、前方セイリアンスネットワーク、楔前部ネッ
トワークとの一致に有意差を認めた(図4)。逆に内側前頭前野の関心領域と負の相関
のある領域は、視空間ネットワークと 80%以上、一次・高次視覚ネットワークと 60%
以上、後方セイリアンスネットワークと 30%以上の一致を認めた。
被殻の関心領域と正の相関のある領域は、基底核ネットワークと 90%以上の、前方
セイリアンスネットワークと 60%以上の一致を認めた。被殻の関心領域と負の相関の
ある領域は、一次視覚ネットワークと 90%以上の一致を認めた。腹側デフォルトモー
ドネットワーク、高次視覚ネットワーク、感覚運動ネットワーク、楔前部ネットワー
ク、視空間ネットワーク、背側デフォルトモードネットワークとも有意差のある一致
を認めたがわずかなものであった。
【考察】
正常な老化において、内側前頭前野と基底核に加齢と関連した[18F]THK5351 の空
間的な分布があることが明らかとなった。興味深いことに分布のピークは、高度な認
知機能に関連した様々な安静時ネットワークとの相関が認められた。このことから、
[18F]THK5351 のピーク位置は安静時ネットワークのハブ領域に存在していることが
示唆される。ハブ領域は持続的な高基準の活動性を持つため早期に神経変性するとい
う報告もあるため、健常者においても早期からハブ領域に MAO-B が蓄積しやすいこ
とが想定される。しかしながら、[18F]THK5351 が内側前頭前野と基底核には集積する
が、なぜ他のハブ領域には集積しないのかは不明である。さらなる病理学的検討や次
世代のトレーサー等による PET の研究が望まれる。
【結語】
健常者に[18F]THK5351 PET、安静時機能的 MRI を施行した。内側前頭前野と基底
核に加齢と関連した[18F]THK5351 の空間的な分布があることが明らかとなった。興
味深いことに分布のピークは、高度な認知機能に関連した大規模な安静時ネットワー
クのハブ領域に存在していた。

-2-

Table 1: Clinical characteristics
Mean(SD)
Age

66.6 (8.8)

Male : Female

23 : 39

MMSE

29.4 (1.2)

ACE-R

97.7 (2.4)

attention

17.8 (0.5)

memory

25.0 (1.4)

fluency

13.7 (1.0)

language

25.5 (0.7)

visuospatial

15.8 (0.6)

Education

14.0 (2.5)

Logical memory Ⅱ

19.8 (5.9)

ADAS-cog-j

3.3 (1.7)

CDR

0 (0)

Figure 1. THK distribution pattern from SSM/PCA

Figure 2. Relationship between THK 5351 retention and RSNs from mPFC

-3-

Figure 3. Relationship between THK 5351 retention and RSNs from putamen

Figure 4. FCOR spider plots for the three seed ROIs

-4-

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