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大学・研究所にある論文を検索できる 「パーキンソン病患者のすくみ足と脳画像指標との関連性の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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パーキンソン病患者のすくみ足と脳画像指標との関連性の検討

東口, 大樹 東京大学 DOI:10.15083/0002006525

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名東口 大樹
本研究では、安静時 fMRI による機能的結合ネットワークがパーキンソン病に特徴的な歩
行障害であるすくみ足の病態鑑別のための有用な脳イメージング指標となる可能性を検討
するために、すくみ足と安静時 fMRI による機能的結合ネットワークの関連性に着目し、下
記の結果を得た。
1. 基礎的研究として安静時 fMRI の撮像時に問題となる機能画像の歪みが、機能的結合
の検出へどの程度影響するかを検討した結果、前方デフォルトモードネットワーク
(DMN)では DMN と関連のある前部帯状皮質(ACC)や後部帯状皮質(PCC)

小脳ネットワーク(CBLN)ではネットワーク内部において、歪み補正前データセッ
トに比べて、歪み補正後において有意に機能的結合の増加がみられており、歪み補正
が機能的結合の検出のための統計力を向上させた。一方で、大脳基底核ネットワーク
(BGN)では、一見すると、画像補正の結果、BGN 前方において有意に機能的結合
の減少がみられていたが、その殆どのボクセルは、大脳白質ならびにその延長線上に
ある大脳基底核前部(腹側尾状核および側坐核)との境界線辺りに位置していた。つ
まり、この機能的結合の減少の殆どは、画像補正前では大脳基底核の信号が大脳白質
に誤って位置しているために生じた結果であると思われ、歪み補正前データセットで
は機能画像と構造画像の位置合わせや空間的標準化が不完全であることを示唆してい
る。
2. パーキンソン病患者を対象に、RSN における機能的結合の程度とすくみ足の重症度
の程度を示す new freezing of gait questionnaire (NFOGQ) のスコアとの関連性を検
討した結果、BGN では被殻および扁桃体において、CBLN では小脳虫部及び小脳半
球において、左感覚運動ネットワーク(SMN)では補足運動野(SMA)や運動前野
(PM)
、一次運動野を含むネットワーク内部で、右 SMN では、PM と頭頂葉の一部
を含むネットワーク内部で機能的結合と NFOGQ のスコアとの間で正の相関が見られ
た。これらの RSN における機能的結合の変化がすくみ足の重症度を反映している可
能性が考えられる。
3. パーキンソン症候群患者および対照健常高齢者を対象に、直線歩行と曲線歩行を組合
せ 8 の字を描くように歩行する中で、狭い 2 つのコーンの間を通る 8 の字歩行課題と
通常直線歩行課題の比較を行った。結果、2 つのコーンの幅を対象者の肩幅とした 8
の字歩行課題において、パーキンソン症候群患者と健常高齢者の間で加速度計による
行動評価系の差がみられ、最もすくみ足の誘発を捉えることができた。一方で、安静

時機能的結合ネットワークと 8 の字歩行による行動評価系の指標との関連性はみられ
ず、今後、症例数を積み重ねた上で、追加検討が必要であることが示唆された。
以上、本論文は安静時 fMRI による RSN の機能的結合解析から、BGN、SMN、CBLN など
の機能的結合と質問紙によるすくみ足の重症度評価との間での正の相関関係を明らかにし、
これらの RSN における機能的結合の変化がすくみ足の病態鑑別のための有用な脳イメージ
ング指標となる可能性が示唆された。加えて、8 の字歩行課題と加速度計を用いた行動評価
系の解析から、すくみ足の誘発を捉えることが可能となった。これらの指標をリハビリテー
ション介入の評価尺度として検討することで、現象として現れる行動学的すくみ足の改善
効果のみならず、上位中枢の機能的変化を捉えることで、効率的かつ多角的にリハビリテー
ション介入効果を判定するためのエビデンスの蓄積に寄与できると考えられる。
よって本論文は博士(医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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