HER2陽性乳癌に対する術前pertuzumab併用化学療法の検討 (第137回成医会総会一般演題)
概要
【目的】
乳癌において術前補助化学療法(NAC)は術後化学療法と同等な予後が得られ,乳房温存率も高いことから標準治療として用いられている.東京慈恵会医科大学附属病院(当院)では1980年代からNAC を施行しており,過去30年の長期成績を検討する為,後方視的に解析を行った.
【方法】
1986年1月1日から2016年12月31日までに当院にてNAC を施行した原発性乳癌615例を対象とし,subtype 別の予後や治療効果について検討した.
【結果】
年齢の中央値は53(24‐83)歳,閉経前/ 後は324/291例,リンパ節転移陽性が312例,subtype はLuminal A 188例,Luminal B(HER2陰性)130例,Luminal B(HER2陽性)92例,HER2 58例,Triple negative 111例であった.追跡期間中央値は79.0か月,7年無病生存率/ 生存率はLuminal A 80.7%/92.3%,Luminal B(HER2陰性)75.9 % /88.1 %,Luminal B(HER2陽性)84.2 %/92.4 %,HER2 79.3 % /86.4 %,Triple negative80.5% /84.0%.レジメンは1st/2nd/3rd generationが19/71/469例で,OS は3rd generation で有意に優れていた(HR 0.26, p<0.01).pCR 率は全体で11.8%,HER2 type で20.4%であった.多変量解析ではDFS に対する独立危険因子としてリンパ節転移なし,静脈浸潤陽性,核グレード3,画像評価PD が検出された.
【結論】
当院の成績は過去の報告に比して遜色のない結果であった.また早期乳癌のDFS に寄与する因子として,リンパ節転移の有無が重要であった.