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大学・研究所にある論文を検索できる 「1次繊毛を介して哺乳類の組織発生を制御する新規分子DYRK2の同定 (第137回成医会総会一般演題)」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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1次繊毛を介して哺乳類の組織発生を制御する新規分子DYRK2の同定 (第137回成医会総会一般演題)

河村, 明良 吉田, 彩舟 青木, 勝彦 吉田, 清嗣 東京慈恵会医科大学

2020.11.15

概要

組織発生はシグナル分子の時空間的発現パターンより厳密に制御され,その異常は様々な奇形疾患を呈する.近年,この組織発生において細胞内小器官「1次繊毛」が注目を集めている.G0期( 静止期)に形成される1次繊毛は,細胞周期の制御に密接に関与するだけでなく,数多くの受容体が集積し,「細胞のアンテナ」として機能している.2000年以降,1次繊毛の異常が,内臓逆位,骨格異常,腎嚢胞など多岐にわたる疾患「繊毛病」と称される繊毛機能不全疾患を呈することが明らかになってきた.したがって,新規の1次繊毛制御因子の同定は,1次繊毛の機能解明に加え,組織発生機序の理解,それらの異常によって生じる奇形疾患の病態解明につながる.本研究では,組織発生を制御する新規分子の同定を目的に,哺乳類の発生に関して知見が報告されていない「リン酸化酵素(Dual-specificity tyrosine-regulated kinase:以下Dyrk2)」に注目し,DYRK2と組織発生との関連性を評価した.作出したDyrk2 欠損マウスを解析した結果,骨格系を中心に組織発生不全を呈することを見出した.次に,Dyrk2 欠損マウスの示す組織形成異常の原因となるシグナル系を探索した.その結果,Dyrk2 欠損マウスでは,Hedgehogシグナルが顕著に抑制されており,DYRK2がHedgehog シグナルの正の制御因子であることを見出した.次に,Dyrk2 の欠損が,Hedgehog シグナル異常を引き起こす機序を細胞レベルで解析した.その結果,Dyrk2 欠損細胞ではHedgehog シグナルの反応の場である1次繊毛の形態と機能異常が生じることを見出した.さらに,1次繊毛の異常は細胞周期への再侵入(G0-G1遷移)を障害することが知られている.実際に,Dyrk2 欠損細胞では細胞周期への再侵入が有意に抑制されており,Hedgehog シグナルの低下に加えて,細胞周期の再侵入抑制が,Dyrk2 欠損マウスの示す組織低形成の一因となっていることが示唆された.以上の個体・細胞レベルの解析から,DYRK2が1次繊毛形成を介し,哺乳類の組織発生を制御する新規分子であることを証明した.1次繊毛やHedgehog シグナルの異常に起因する疾患には,先天奇形に加えて,多発性嚢胞腎や一部のがんなど出生後に呈する疾患もある.こうした疾患にもDYRK2の発現低下や機能低下が関わっている可能性があり,多種の病態理解や治療法の基盤となる知見につながることが期待される.

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