日本のプロトンポンプ阻害薬抵抗性胃食道逆流症におけるexcessive SGBの現状～国際比較～

概要

（書式１８）

学
（

位 論 文 要 約
A b s t r a c t ）

博士論文題目 Title of dissertation
日本のプロトンポンプ阻害薬抵抗性胃食道逆流症における excessive SGB の現状～国際比較～

東北大学大学院医学系研究科
内科病態学講座
氏名 Name

医科学専攻

消化器病態学分野
伊丹

【背景】胸やけや逆流感を主な症状とする胃食道逆流症 (GERD; gastroesophageal

英昭

reflux disease) で

は proton pump inhibitor (PPI) 投与によって治療される。しかし、症状抑制が不十分な PPI 抵抗性 GERD
患者が少なくなく、supragastric belching (SGB) が PPI 抵抗性 GERD の病態の一つとして考えられてい
る。
近年 PPI 抵抗性 GERD 患者の 42%に SGB の頻度が多い excessive SGB 症例がいることが報告された。
Excessive SGB 患者は酸分泌抑制薬にほとんど反応せず、認知行動療法が有効とされる。SGB に関する報
告の多くは欧米諸国からの報告である。アジア圏からの PPI 抵抗性 GERD 患者における excessive SGB 症
例の割合や胸やけや逆流症状との関連性についてはほとんど知られていない。
【目的】
①日本人の PPI 抵抗性 GERD 症例における excessive SGB 患者の割合について明らかにすること。
②日本と英国の PPI 抵抗性 GERD 患者における excessive SGB 症例の割合を比較し、SGB と逆流症状と
の関連性を検討すること。
【方法】日本人の PPI 抵抗性 GERD 患者 124 例、英国人の PPI 抵抗性 GERD 患者 83 例の 24 時間 pH・
多チャネルインピーダンスモニタリング (MII-pH monitoring; 24hour multichannel intraluminal
impedance pH monitoring) の記録を解析した。
【結果】①日本人の GERD 患者における excessive SGB の割合は 18.5%であった。②日本人の GERD 患者
における excessive SGB の割合は、
英国人 SGB 患者の割合 36.1%と比較し有意に低値であった (p=0.006)。
日本と英国の excessive SGB について SGB の回数やすべての液体逆流のうち SGB により引き起こされた
液体逆流の割合に有意差はなかった。ロジスティック回帰分析を行ったところ、日本の excessive SGB に対
する英国のオッズ比は 2.49 (95%信頼区間, 1.31-4.70; p<0.01) であった。二国間における患者の年齢や BMI、
症状、MII-pH monitoring のパラメータについて調整を行うとオッズ比は 2.91 (95%信頼区間, 1.09-7.73;
p=0.032) であった。
【結論】日本の PPI 抵抗性 GERD 患者における excessive SGB 患者の割合は英国に比べて低かった。 ...