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大学・研究所にある論文を検索できる 「フェレット緑内障モデルの確立と高眼圧による高次視覚中枢神経障害の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

フェレット緑内障モデルの確立と高眼圧による高次視覚中枢神経障害の検討

藤代, 貴志 東京大学 DOI:10.15083/0002006132

2023.03.20

概要

【別紙2】

審査の結果の要旨

氏名 藤代 貴志


本研究は、フェレットを用いて高眼圧による緑内障性視神経症(GON)を有する緑内
障モデルを確立し、このフェレット緑内障モデルを用いて、緑内障によるGONに伴
う外側膝状体(LGN)の組織学的変化の検討を試みたもので、下記の結果を得ている。

1. フェレットにおいて結膜上皮細胞注入により隅角を閉塞することによる
高眼圧モデルを作成することに成功をした。今回のモデルは、ヒトの緑内障と
して臨床的に最も多い開放隅角緑内障とは異なり、組織学的な評価から隅角に
増殖した線維芽細胞が充満することで隅角閉塞が起きて眼圧上昇をきたす閉塞
隅角緑内障モデルであった。
2. このモデルにおいて、視神経における障害は、視神経の乳頭陥凹の拡大と
視神経束の結合組織の肥厚という所見として観察された。さらに視神経の軸索
束に取り込まれた蛍光色素は、正常のフェレットに比べて高眼圧のフェレット
の軸索束では明らかに減少していた。以上からフェレット高眼圧モデルでの眼
圧上昇の期間は、視神経乳頭と視神経の軸索輸送の障害を発症するのに充分で
あった。
3. 今回のモデルでは、LGNのマクロ的な観察により高眼圧眼から投射される
LGNの蛍光色素の取り込みが低下していることから網膜神経節細胞(RGC)の軸索
の輸送能力の低下もしくは神経障害が起きていることが確認できた。しかしな
がら、軸索の輸送能の低下なのか、軸索が投射するLGNのレベルにおいて神経障
害が起きているかを区別することはできなかった。
4. 次にLGNの組織学的な変化の解析を行い、高眼圧フェレットの眼球におけ
るRGCの神経軸索障害を反映してその投射部位であるLGNでの蛍光輝度が減少し
ていることが分かった。さらに高眼圧眼から投射される両側のLGNの各層で神経

細胞障害とグリア細胞が増加していた。以上から、この高眼圧フェレットモデ
ルで、眼圧による視覚中枢神経のLGNの障害の部位や障害の程度を分析すること
に成功した。
5. この高眼圧モデルは閉塞隅角緑内障による非常に高い眼圧であるため、眼
圧による障害だけでなく血流障害による虚血性視神経症も引き起こしている可
能性がある。また、短期間で強い神経障害を起きているため、LGNにおける神経
障害とグリア細胞の増加がヒトの病型として多い開放隅角緑内障(POAG)でも同
様な変化が誘発されているかは未解明であり、今後モデルの改善取り組み、よ
り軽度の眼圧上昇のモデルへの改善を行うことが必要であった。

以上、高眼圧フェレットモデルを用いることは、緑内障による RGC から LGN まで
の神経細胞系、およびグリア細胞系の障害の解析を行うために有用であることがわ
かった。今後研究を進めることで、詳細に視覚中枢神経の障害メカニズムを明らか
にし、病気の早期から生じる特定の神経細胞の保護に必要な知見を得て、眼圧下降
以外からのアプローチで緑内障における神経障害の保護を行う新規の治療戦略を
探索して行くことが可能なる。将来的には、眼から脳までを統合的な緑内障の病態
を解明し、眼圧下降を主体とした従来の治療法ではなく、神経の保護を目的とした
これまでに開発されていない緑内障における神経保護治療の開発に重要な貢献を
なすと考えられる。

よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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