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Effectiveness of trabeculectomy with mitomycin C for glaucomatous eyes with low intraocular pressure on treatment eye drops

湯浅 勇生 広島大学

2021.03.23

概要

D172369 医歯薬学専攻 広島大学病院 眼科 湯浅 勇生
首題
眼圧下降剤使用下で眼圧が低く維持されている緑内障眼に対してマイトマイシン C(MMC)
併用線維柱帯切除術を行うことの有効性
要約>
目的
首題の有効性と安全性を検討すること
方法
手術前の眼圧が 21mmHg 以下の患者 294 例のうち、294 眼の眼圧が調査された。すべての
眼は眼圧が 21mmHg 以下であり、線維柱帯切除術単独、あるいは線維柱帯切除術(白内障
手術併用)を受けた。2 つの成功基準を用いた。定義 A をベースライン眼圧から 20%以上
下降、定義 B をベースライン眼圧から 30%以上下降とした。主要アウトカムは、各基準の
それぞれの成功率であった。
結果
5 年後の qualified success rates は、定義 A で 87.3%、定義 B で 42.0%であった。平均眼圧
は、線維柱帯切除術後 5 年で 16.7±2.7mmHg から 11.6±4.0mmHg と有意に低下した(p<
0.0001)
;薬剤スコアは、術後 5 年で 2.7±1.1 から 1.0±1.2(p<0.0001)と有意に減少した。
3 回以上の線維柱帯切除術、ニードリングは失敗のリスクの増加と関連していた。術後の前
房出血、感染症、浅前房、濾過胞漏出の発生率はそれぞれ 2.4%、2.4%、2.0%、3.4%であ
った。
結論
本研究では、MMC を用いた線維柱帯切除術は、術前の眼圧が正常範囲内であっても、手術
合併症の少ない有効な手段であることが示された。
キーワード:合併症、有効性、眼圧、トラベクレクトミー

本文
intoroduction
緑内障の治療には眼圧を下げることが重要な治療法である。しかし、眼圧を 21mmHg 以下
にコントロールしても、視野欠損が進行することがある。手術は、眼圧下降剤では緑内障患
者の視野を維持するために十分な眼圧下降が得られない場合に行われる(Jongsareejit ら
2005 年;Aoyama ら 2010 年)
。MMC を用いた線維柱帯切除術は、眼圧を下げるために用い
られる最も一般的な手術法である。そのため、眼圧が正常範囲内にある場合の線維柱帯切除
術の成績とその合併症を知ることは重要である。正常な眼圧の眼に対して行われた線維柱
帯切除術は、特に眼圧が非常に低い眼において、低眼圧、低眼圧黄斑症、脈絡膜滲出液のリ
スクがあると報告されている(Hagiwara et al. 2000; Membrey et al. 2000; Jongsareejit et al. 2005)。
Collaborative Bleb-related Infection Incidence and Treatment Study(CBIITS)は、日本緑内障学会
評議員会の理事がスタッフドクターを務める施設が参加した 5 年間の多施設前向き研究で
ある(山本ら 2014 年;杉本ら 2015 年)。本共同研究の目的は、正常眼と高眼圧緑内障眼に
おける線維柱帯切除術後の濾過胞連感染症と術後合併症の発生率を明らかにすることであ
った。研究対象となった 1098 眼のうち、2.2%が 5 年間の追跡期間中に感染症を発症した。
登録された 1249 眼のうち、正常眼圧緑内障(NTG)を含む、眼圧 21mmHg 以下の原発開放
隅角緑内障が 294 眼に認められた。
本研究の目的は、手術前の眼圧が正常範囲(10-21mmHg)内におさまる症例に対し、さらに
眼圧を低下させるために、線維柱帯切除術の有効性を検討することであった。これを達成す
るために、ベースラインの眼圧が 21mmHg 以下であった CBIITS に参加していたデータをレ
ビューし、解析した。その結果、成功率、成功率に影響を与えた要因、および線維柱帯切除
術後の合併症の発生率を明らかにした。
方法
5 年間の CBIITS の登録期間は 2004 年から開始され、術後評価は 6 ヶ月間隔で 5 年間実施し
た。全患者からインフォームドコンセントを得たほか、全 34 施設の機関審査委員会の承認
を得た。研究はヘルシンキ宣言に従って実施された。参加眼科医は日本緑内障学会評議委員
であり、術後 5 年間の術後合併症および術後に行われた介入を評価するために倫理審査委
員会の承認をプロスペクティブに取得した。合併症の分類基準や方法は各術者が決定した。
解析に適した両眼のデータがある場合は、最初に手術を受けた眼のデータを解析に使用し
た。緑内障手術の適応、手術手技、術後管理については、各臨床センターの医師が決定した。

1249 眼のうち、眼科手術歴や薬物療法の有無にかかわらず眼圧が 21 mmHg 以下の原発開
放隅角緑内障(POAG)の患者 294 例 294 眼のデータを解析した。一次アウトカムの指標は、
定義された各基準に基づいて行われた線維柱帯切除術の成功率であった。副次項目は、眼圧、
手術失敗に関連する因子、手術合併症の発生率であった。眼圧測定にはゴールドマン圧平眼
圧計を使用した。眼圧測定は各医師が行った。術前眼圧は手術前 3 回の来院時の平均眼圧測
定値とした。
手術成績の分類
Collaborative Normal-Tension Glaucoma Study(CNTGS)では、眼圧を 30%以上(術前の眼圧に対
して)下げると、視野障害の進行が認められた眼は 20%であったのに対し、放置した場合
は 60%であったことが報告されている。
(CNTGS Group 1998)。これらの結果を踏まえ、定義
A では眼圧 20%以上下降、定義 B では眼圧 30%下降に分けた。眼圧下降剤を全く使用して
いない眼圧は不明であるため、NTG と高眼圧の POAG 患者の両方を対象とし、薬物治療で眼
圧を 21mmHg 以下にコントロールした。さらに、眼圧下降剤を使用して眼圧の低下を示し
たものを「qualified success」と定義し、眼圧下降剤を使用せずに眼圧を低下させた場合を
「complete success」と定義した。complete success の定義には、ニードリング、結膜再縫合、
白内障手術は含めなかった。手術の失敗は、2 回の連続測定で 5mmHg 未満の低眼圧に遭遇
した場合、眼圧上昇による再手術が必要な場合、または光覚が失われた場合と定義した。術
後合併症の数と術後の薬剤薬の数の変化を分析した。
統計解析
カプランマイヤー生存曲線を用いて線維柱帯切除術の成功を判定し、Cox 比例ハザード、単
変量解析、多変量解析、t 検定を用いてベースライン値に対する術後の変化の有意性を判定
した。統計解析には jmp ソフトウェアバージョン 9(SAS Inc, Cary, NC, USA)を用い、p < 0.05
を有意とした。
結果
ベースライン時の患者の人口統計を表1に示す。294 例 249 眼を解析した(図 1)。男性 156
例、女性 138 例で、年齢は 63.3±12.4 歳であった。観察期間は 55.3±11.1 ヶ月で、右眼は 154
例、左眼は 140 例であった。緑内障手術歴のない眼は 258 例,緑内障手術歴のある眼は 36
例であった。結膜切開は、輪部基底切開 180 眼、円蓋部基底切開 114 眼で行った。244 眼で
は線維柱帯切除術のみを行ったが、50 眼では線維柱帯切除術(白内障手術併用)を行った。
手術前の眼圧は 16.7±2.7mmHg であった;12 ヵ月目の眼圧は 10.6±3.8mmHg、24 ヵ月目の眼
圧は 11.3±3.8mmHg、36 ヵ月目の眼圧は 11.6±4.0mmHg、48 ヵ月目の眼圧は 11.5±3.8mmHg、
60 ヵ月目の眼圧は 11.6±4.0mmHg であった。術後、全期間においてベースライン眼圧に対し

て有意に低下した(図 2)

手術前の薬剤スコアは 2.72±1.18(中央値、3;範囲、0~6)であり、この値にはアセタゾラ
ミドの経口投与を受けている患者が 24 人含まれていた。術後の薬剤スコアは 1.01±1.21(中
央値 0、範囲 0~4)であった(図 3)

1 年後の qualified success は、定義 A 群で 94.9%、定義 B 群で 74.1%、5 年後の成功率は定義
A 群で 87.3%、定義 B 群で 42.0%でした。1 年後の complete success は、定義 A 群では 72.2%、
定義 B 群では 63.3%でした。5 年後、20%以上、30%以上の眼圧低下を得た患者の割合は、
それぞれ 44.4%、28.9%であった(図 4、5)
。術中の合併症は、後嚢破裂 1 例であったが、
前房出血、浅前房は 1 例もなかった。術前・術後合併症の内訳は、術前・術後合併症ともに
前房出血 7 例(2.4%)
、感染症 7 例(2.4%)、浅前房(2.0%)6 例、濾過胞漏出 10 例(3.4%)

脈絡膜剥離 6 例(2.0%)
、低眼圧 8 例(2.7%)であった。
ベースライン眼圧が高い眼では、より良い結果が得られた。患者の年齢、患者の性別、眼側、
結膜切開の位置は手術の成功と有意な相関はなかった。(表 3) 白内障手術の既往や白内障
手術と併用した線維柱帯切除術は手術成功に有意な影響を及ぼさなかった。表 3)29 人の患
者が術後のニードリングを必要とした。ニードリングは定義 A と B ではハイリスクであっ
た。ニードリング処置を減らすことで結果は改善した(ニードリング:定義 A の complete
success p<0.001;表 4)
。術前緑内障手術の回数を減らすことで成績は改善した(p=0.03;
図 6)

discussion
いくつかの研究では、NTG を用いた眼の線維柱帯切除術後の長期的な眼圧の変化について
報告がある。Jongsareejit ら(2005 年)は日本人患者 39 眼を分析し、最終的な眼圧は
11.1±1.3mmHg であったと報告している。これは、MMC を使用して線維柱帯切除術を行った
後のベースラインの眼圧 15.9±1.9mmHg から 30.1%の低下であり、線維柱帯切除術後 4 年ま
で持続した。手術で 20%以上の眼圧下降を得た場合、術後 4 年後の眼圧下降率は 41.3%
であり、30%以上の眼圧下降を得た場合、同期間の眼圧下降率は 39.4%であった。Schultz
ら(2016)は、ベースラインの平均眼圧が 15mmHg 以下の緑内障患者 28 人の 30 眼に線維
柱帯切除術を行った。彼らの報告によると、68%の患者が薬物療法により 8 年後にベースラ
イン眼圧の 20%以上の術後眼圧下降を示した。30%以上の眼圧下降では、8 年後の成功率
は 45%であった。いずれも視野欠損の進行を認めなかった。Jayaram ら(2016)は、NTG 患
者 98 人の 131 眼に対して線維柱帯切除術を施行した。術前の眼圧は 14.7±1.9mmHg であっ
たが、これらの研究者は薬物療法を用いて 10.2±2.1mmHg と 4 年間眼圧をコントロールする
ことができた。眼圧を 30%以上下降させることができたのは 131 例の NTG 患者のうち 62%
であり、本研究の成功率よりも高かった。この違いの原因の一つとして、日本人とヨーロッ
パ人の線維柱帯切除術の線維化反応の違いが考えられる。また、Jayaram ら(2016)の研究

では、線維柱帯切除術(白内障手術併用)を受けた患者を除外していることも、この違いの
原因の一つと考えられる。Ogata-Iwao ら(2013)は、以前、線維柱帯切除術(白内障手術併
用)は、線維柱帯切除術単独と比較して、眼圧下降が不十分だったと報告している。
合併症
術後 1 ヶ月以内に濾過胞漏出が発生した症例は 2.4%であった。次いで脈絡膜剥離が 1.7%、
浅前房が 1.02%であった。濾過胞漏出は、低眼圧や後期には濾過胞不全につながる可能性が
あるため、重要な所見である。眼圧が高い眼では、Tube Versus Trabeculectomy(TVT)試験で
11%、Trabeculectomy in the 21st Century 試験で 14%、Collaborative Initial Glaucoma Treatment
Study(CIGTS)で 6%の濾過胞漏出が報告されている(Jampel et al. 2001; Gedde et al. 2012;
Kirwan et al. 2013)

脈絡膜剥離は TVT 試験では 13%、
21 世紀の Trabeculectomy 試験では 5%、
CIGTS 試験では 11%に認められた(Jampel et al. 2001; Gedde et al. 2012; Kirwan et al. 2013)。TVT
研究では 10%の眼に浅前房が認められ、21st Century Study では線維柱帯切除術で 0.9%、
CIGTS では 13%であった(Jampel et al. 2001; Gedde et al. 2012; Kirwan et al. 2013)。我々の研究
では、早期合併症の頻度は 7.8%と比較的低かった(表 2)

我々の研究では、晩期合併症の頻度は 7.0%であった。最も頻度の高かった晩期合併症は感
染症で 2.4%であった。緑内障手術後の後期の感染症は、TVT 試験では 2.4%、21st Century
Study の線維柱帯切除術では 1%、CIGTS では 6%、CBIITS では 2.2%であった。術前の眼圧に
関係なく、線維柱帯切除術後には一定の頻度で感染症が発生していた。
線維柱帯切除術後に眼圧が低ければ、患者は低眼圧黄斑症、脈絡膜剥離、白内障の発症など、
低眼圧とそれに伴う合併症のリスクを経験する(Hagiwara ら 2000;Musch ら 2008)
。我々の
294 例のうち、低眼圧黄斑症は 1 例もなく、3 例(1.02%)では術後 1 ヵ月以上前から浅前
房、1 例では脈絡膜剥離が認められた。NTG の過去の報告では、晩期の低眼圧は 0.8~30%
の眼に発生していた(Membrey et al. 2000; Higashide et al. 2016; Jayaram et al. 2016; Schultz et
al. 2016)
。我々の合併症の発生率は他の報告に比べて高くはなく、本研究では線維柱帯切除
術後の目標眼圧が低すぎたのではないかと推測している(Schultz et al. 2016)。
手術失敗のリスク要因
緑内障手術の既往歴、術前の水晶体の状態、術前の低眼圧は定義 A に基づく成功と有意に
関連していたが、ニードリングは定義 A または B のいずれにも到達しないリスクと関連し
ていた(表 3)
。我々は、ニードリング治療は眼圧を低下させるのではないかと疑っていた。
しかし、一部の患者では短期間で低眼圧になった。我々の研究集団では創傷治癒がすでに強
力に起きていたため、眼圧が十分に低下しなかったのではないかと推測される。濾過手術を
成功させるためには、初期の段階から適切な濾過量が必要である。術前の高眼圧は、眼圧コ

ントロール不良の危険因子として報告されている(Sugimoto et al. CITGS では、ベースライン
の眼圧が高いほど、9 年間の追跡期間中の眼圧の上昇と関連していた(Musch ら 2008)
。対
照的に、術前眼圧が低いため、我々の患者では 30%以上の眼圧下降を達成することが困難
であった。ベースライン眼圧が低い患者が、低眼圧に関連した合併症を経験することなく、
はるかに低い眼圧を達成することは困難である(Schultz ら、2016)

粟井・笠岡ら(2013)は、緑内障手術の間隔が短いことと、過去に行われた線維柱帯切除術
の回数が、その後の MMC 併用した線維柱帯切除術の失敗と有意に関連する因子を構成して
いることを報告している。Law ら(2009 年)は、開放隅角緑内障の眼では、MMC 併用線維
柱帯切除術を繰り返すことは、初回の MMC による線維柱帯切除術に比べて、眼圧の下降効
果が低いことを報告している。実際、私たちは、目標眼圧によって決まるように、過去の緑
内障手術の回数が成功率に影響していることを発見した。
この研究にはいくつかの限界があった。第一に、線維柱帯切除術の手術手技は、手術の適応
と使用される手術手技が各術者の裁量で選択されたため、すべての患者で一貫していなか
った。そのため、術者はそれぞれの好みの方法で線維柱帯切除術を行っていた。第二に、本
研究で使用したデータは、もともと濾過胞感染症の発生率を調べるために収集されたもの
であるため、視野や術後の処置に関する情報が適切に収集されていなかった。したがって、
我々の研究の対象者において、線維柱帯切除術による視野欠損の進行を遅らせることが可
能であったか、あるいは止めることが可能であったかどうかは不明である。多くの患者は、
眼圧が正常範囲内にあるにもかかわらず、疾患の進行を継続して経験する可能性がある
(Shiose ら 1991; Anderson ら 2003)。多くの研究(Aoyama et al. 2010; Jayaram et al. 2016;
Schultz et al. 2016; Naito et al. 2017; Oie et al. 2017)では、線維柱帯切除術が眼圧を有意に減少
させ、視野障害の進行を防ぐことができることが示されている。薬物療法により眼圧が正常
範囲に維持されている緑内障患者に線維柱帯切除術を行うと、視機能の維持が期待できる
と推測される。しかし、柏木ら(2016)は、線維柱帯切除術後の眼圧コントロールが有効で
あるにもかかわらず、視機能が悪化する可能性があることを報告している。
結論
我々の結果は、眼圧が正常範囲内にある眼において、ベースラインの眼圧を 20%以上下げ
ることが可能であり、これは比較的軽微な合併症で達成できることを示している。したがっ
て、眼圧が 21mmHg 以下の眼には、安全に線維柱帯切除術を行うことができると結論づけ
た。

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