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大学・研究所にある論文を検索できる 「健康寿命指標に関連する要因に関する検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

健康寿命指標に関連する要因に関する検討

平, 和也 大阪大学

2020.09.25

概要

〔目的〕
行政が政策目標としている3種類の健康寿命の比較と、健康寿命の算定に用いられる基礎データの中で『死亡者数』と『不健康な人の割合』が健康寿命に与える影響と、向上させるための要因を明らかにすることを第一の目的とした(研究1,2)。さらに、インターネットが健康に及ぼす影響の大きさを鑑み、健康情報の発信者としての医療従事者と一般WEBユーザーが検索する健康情報ニーズとの差異を明らかにすること(研究3)や要介護高齢者の QOL維持に重要な訪問入浴サービスの実態と安全・安楽な提供体制を検討すること(研究4)を目的とした。

〔方法と結果〕
研究1では、政府統計として調査・公開されているオープンデータを用いて、生態学的研究を実施した。行政の政策目標である3種類の健康寿命及び平均余命について、クロンバックのα係数を算出し、質問紙で“健康”を定義している2種類の主観的な健康寿命(α=0.80-0.90)及び平均余命と要介護認定で“健康”を定義している客観的な健康寿命(α=0.92-0.99)は強い関連が認められた。各健康寿命を従属変数、健康寿命の算定基礎データを独立変数とした一般化線形混合モデルによる回帰分析では、男女とも、すべての健康寿命に対してデータ年(β=0.23-1.11)が最も影響しており、寿命の延伸の影響が大きいことが示唆された。また、質問紙で“健康”を定義している2種類の健康寿命の延伸には、主観的健康感(β=-0.56 - -0.34)が有意に関連していた。

研究2では、年代・性別に層化して選択的にリクルートした男性27名、女性32名に対し、主観的健康感の判断要素に関するインタビューを行い、最尤法を用いた因子分析によって、5つの要素を抽出した。また、「身体的な機能と状態」が主要な要素であること、及び、年齢や時代背景の影響を強く受ける要素があることが明らかとなった。

研究3では、日本でのシェアが多いヤフー検索及びヤフー知恵袋のログデータを用いて、医療従事者の使用頻度が高い単語(臨床頻度)とヤフー検索(r = 0.290, P = .003)やヤフー知恵袋(r = 0.337, P = .001)で使用頻度の高い単語との相関係数を算出したところ、弱い相関関係であった。また、WEBユーザーの使用頻度は高いが、臨床頻度が低い単語があることや、年代で特異的に多い単語があることが明らかとなった。

研究4では、訪問入浴は医療的ニーズの高い利用者が多く、浴前処置や入浴の可否判断を行う必要があるため、看護師の同行が望ましいことが示唆された。

〔総括〕
3種類の健康寿命は、平均余命の延伸による影響が大きく、解釈や健康寿命間比較には注意が必要である。政策を検討するうえで、主観的健康感の向上が有効であることが示唆された。主観的健康感の構成要素は、2つの主要素があり、年代や時代背景の影響が大きい要素もあることを考慮したアプローチが望まれる。また、WEBユーザーには医療者と異なる健康情報ニーズがあり、ユーザーニーズや対象者の年齢に応じた情報発信や要介護高齢者の QOL向上のため、安全・安楽な訪問入浴サービスを提供するためには、看護師の同行が必要である。