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Staphylococcus aureus isolated from furunculosis carrying two hyaluronate lyase genes, hysA and hysB

小泉 祐真 広島大学

2022.03.23

概要

論文全文要約

Staphylococcus aureus isolated from furunculosis carrying two hyaluronate lyase genes, hysA
and hysB
(2 つのヒアルロン酸リアーゼ遺伝子、hysA および hysB を保有する癤腫症由来黄色ブドウ
球菌)
小泉 祐真
(医歯薬保健学研究科 医歯薬学専攻)

黄色ブドウ球菌は、ヒトの鼻腔や皮膚に存在するグラム陽性の病原体であり、特にアト
ピー性皮膚炎,癤,膿痂疹などの皮膚疾患の原因菌として知られている。黄色ブドウ球菌
は、多岐にわたる病原性因子を保有しており、特に代表的なものとして、毒素型食中毒の
原因毒素であるエンテロトキシンや、毒素性ショック症候群を引き起こす TSST-1 などが
挙げられる。毒素だけでなく、各種分解酵素や、宿主の免疫を阻害するタンパク類も報告
されている。臨床分離された黄色ブドウ球菌 202 株を比較ゲノム解析した結果、癤由来黄
色ブドウ球菌のクラスターにおける特徴的な遺伝子として、ヒアルロン酸分解酵素である 2
つのヒアルロン酸リアーゼ遺伝子を認めた。hysB 遺伝子の保有率は、癤由来黄色ブドウ球
菌株では 94.1%であった。これより、癤腫症と hysB 遺伝子を保有することの間に、関係が
あるのではないかと推察された。したがって本研究では、癤由来 S. aureus の産生する 2 つ
のヒアルロン酸リアーゼ、HysA および HysB の生化学的および病態生理学的な特徴を解析
することを目的とした。
まず、
hysA および hysB のヒアルロン酸分解能を比較するため、相同組換えを用いて hysA
遺伝子、hysB 遺伝子の片方若しくは両方を欠損させた株を作製した。作製した株をヒアル
ロン酸含有 TSB 培地に播種・培養し、形成された halo の直径を測定することで、菌株にお
けるヒアルロン酸分解能を測定した。また、HysA の組み換えタンパクを精製し、ヒアルロ
ン酸分解能および酵素反応速度を測定した。ヒアルロン酸分解の作用様式を比較するため、
ゲル濾過クロマトグラフィーおよびエレクトロスプレーイオン化質量分析を用いて、ヒア
ルロン酸分解における主要な最終生成物を解析した。hys の発現量およびその時期を比較す
るため、各 hys の終止コドン前に His-tag を付加した JP025 His-hys 株を作製した。JP025
His-hys 株を TSB 培地で培養後、His-tag 抗体を用いた Western blotting にて Hys の発現量
を比較した。マウスの皮下感染モデルを用いた実験では、各 Hys の病態形成における機能
を明らかにするため、蛍光色素 GFP を形質転換した JP025 野生株および変異株を作製し、

Hos:HR-1 マウスの右腋窩に感染させ、7 日毎の蛍光シグナルおよび潰瘍の大きさを測定し
た。また、感染初期における病態形成への寄与を比較するため、JP025 野生株および変異株
を感染後、2 日目の組織を採取し、免疫組織化学染色およびフローサイトメトリー(FACS)
解析、生菌率の測定を行った。免疫組織化学染色ではヒアルロン酸および黄色ブドウ球菌
を染色した。FACS 解析では、Ly6G+、CD11b+細胞を好中球として分画した。生菌率の測
定は、採取した組織をホモジネーションし、TSA プレート上で培養し、組織重量当たりの
生菌数を測定した。また、感染 3 日後の組織を回収し、H&E 染色を行い、病理組織画像の
皮下脂肪細胞層の厚さを測定することで、宿主の反応性脂肪生成を評価した。
以上の実験の結果、hysB 遺伝子を欠損させると、菌株におけるヒアルロン酸分解が減少
することがわかった。精製した HysA を用いたヒアルロン酸分解能の差は、pH6.0 において
は HysA の方がヒアルロン酸分解能、ヒアルロン酸との親和性、酵素反応速度いずれにおい
ても高いことがわかったが、pH を酸性条件にしていくと HysB の方が、ヒアルロン酸分解
能が高いことが示された。HysA、HysB はどちらも同様のヒアルロン酸分解作用様式を示
し、主要なヒアルロン酸分解産物はβ脱離した 4 糖であることが示された。発現量解析よ
り、最終的な発現量は HysB が高いことが示された。In vivo においては、hysA 遺伝子を欠
損させても潰瘍形成の遅延は起こらなかったが、hysB 遺伝子を欠損させた株では潰瘍の形
成の遅延、ヒアルロン酸分解量および生菌率の減少傾向が認められた。

hysB 遺伝子を保有すると halo の直径が有意に増大したのは、HysB の発現量が高いため
であると考えられる。マウス感染モデルを用いたいずれの実験においても、hysA 欠損株で
認められた結果は野生株に似た傾向を示したが、14 日目以降の膿瘍の治癒が早まる傾向を
示した。これより、hysA 遺伝子が感染後期の潰瘍の形成に寄与していることが示唆された。
また、免疫組織化学染色より、hysB を保有していれば組織中のほぼすべてのヒアルロン酸
を分解できることが示された。一方で、hysB 欠損株では潰瘍形成の遅延傾向およびヒアル
ロン酸分解量の減少傾向、好中球遊走割合の減少が認められた。これより、hysB 遺伝子を
保有することが感染早期の膿瘍の形成に関与していることが示唆された。生菌率が野生株
および hysA 欠損株で多い傾向にあったのは、感染初期にヒアルロン酸を分解して栄養源と
している、あるいは何らかの影響で貪食作用が阻害されている可能性が考えられる。好中
球の遊走割合は、野生株および hysA&B 欠損株では同様の結果が示されたため、hysB 欠損
株で逆の結果が示された原因は明らかにはなっていない。これは hysB 遺伝子を欠損させた
遺伝子配列の影響とも、ヒアルロン酸の主要な受容体である CD44 を介した好中球の遊走
とは別の経路での好中球遊走が惹起されたとも考えられる。
本研究より hysA 遺伝子が感染後期の膿瘍形成に、hysB 遺伝子が感染初期の膿瘍形成に
関与していることがわかった。

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