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大学・研究所にある論文を検索できる 「Staphylococcus aureus isolated from furunculosis carrying two hyaluronate lyase genes, hysA and hysB」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Staphylococcus aureus isolated from furunculosis carrying two hyaluronate lyase genes, hysA and hysB

小泉 祐真 広島大学

2022.03.23

概要

【概要】
 臨床分離された黄色ブドウ球菌202株を対象とした比較ゲノムハイブリダイゼーションの結果、癤から分離された黄色ブドウ球菌株は高い割合でヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニダーゼ(hys)遺伝子を2つ保有することがわかった。我々はその2つ目のhys遺伝子をhysBと命名した。本研究では、hysA遺伝子とhysB遺伝子の酵素学的特徴と病態形成における寄与の違いを、癤由来黄色ブドウ球菌JP025株を用いて調べた。精製した2つのHysAは至適pHが異なったが、ヒアルロン酸分解の作用様式は同じであると推察され、ヒアルロン酸分解における最終生成物の大部分はβ脱離した4糖であった。hysA遺伝子は、その発現量の違いから、遺伝子が菌株におけるヒアルロン酸分解に重要であると示唆された。皮下感染モデルにおける病態形成では、 hysA遺伝子を欠損すると潰瘍の縮小化が、hysB遺伝子を欠損させると潰瘍の形成の遅延が認められた。これらの結果より、hysA遺伝子は感染後期の膿瘍の形成に、hysB遺伝子は潰瘍の早期の形成に関与していることが示唆された。

【方法】
 臨床分離された、hys遺伝子を2 つ(hysAおよびhysB)保有する癤由来黄色ブドウ球菌JP 025 株を実験に用いた。相同組換えを用いてhysA遺伝子、hysB 遺伝子の片方若しくは両方を欠損した株を作製した。作製した株をヒアルロン酸含有培地に播種・培養し、形成されたhaloの直径を測定することでphenotypeにおけるヒアルロン酸分解能を測定した。シグナルペプチドを除いた組換えHysAを精製し、酢酸ナトリウムバッファー中でヒアルロン酸と混和し、ヒアルロン酸分解能および酵素反応速度を測定した。また、至適pHを測定した。ヒアルロン酸分解の作用様式を比較するため、Hysとヒアルロン酸を混和した後、ゲル濾過クロマトグラフィーにて分離分析を行い、得られた産物をフラグメンテーションさせ、ヒアルロン酸分解における主要な最終生成物を解析した。hysの発現量およびその時期を比較するため、各hysの終止コドン前にHis- tagを付加したJP025株を作製し、JP025 His- hys株をTSB培地で培養後、His-tag抗体を用いたWestern blottingにてHysの発現量を比較した。マウスの皮下感染モデルを用いた実験では、各Hysの病態形成における機能を明らかにするため、蛍光色素GFPを形質転換したJP025野生株および変異株を作製し、Hos: HR- lマウスの右腋窩に感染させ、7日毎の蛍光シグナルおよび潰瘍の大きさを測定した。また、感染初期における病態形成への寄与を比較するため、JP025 野生株および変異株を感染後、2 日目の組織を採取し、免疫組織化学染色およびフローサイトメトリー(FACS)解析、生菌率の測定を行った。免疫組織化学染色ではヒアルロン酸および黄色ブドウ球菌を染色した。 FACS解析では、Ly6G+、CDllb+細胞を好中球として分画した。生菌率の測定は、採取した組織をホモジネーションし、TSAプレート上で培養し、組織重量当たりの生菌数を測定した。

【結果】
 ヒアルロン酸プレートアッセイでは、hysB遺伝子を欠損させるとhaloの直径が有意に減少することが示された。精製したHysを用いたヒアルロン酸分解能の差は、pH6.0においてはHysAの方がヒアルロン酸分解能、ヒアルロン酸との親和性、酵素反応速度いずれにおいても高いことがわかったが、pHを酸性条件にしていくとHysBの方が、ヒアルロン酸分解能が高いことが示された。分離分析で示されたピークはHysA、HysBどちらも同様の傾向を示した。また、マススペクトトメトリー分析によって、主要なヒアルロン酸分解産物はβ脱離した4 糖であることが示された。発現量解析より、最終的な発現量はHysBが高いことが示された。In vivoにおいては、hysA遺伝子を欠損させても潰瘍形成の遅延は起こらなかったが、遺伝子を欠損させた株では潰瘍の形成の遅延、ヒアルロン酸分解量の減少傾向、生菌率の減少傾向が認められた。

【考察】
 各Hysのヒアルロン酸分解能の至適p Hは異なるが、その分解様式は同じであることが示唆された、したがって、ヒアルロン酸含有培地でのプレートアッセイにおいて遺伝子を保有するとhaloの直径が有意に増大したのは、HysBの発現量が高いためであると考えられる。
 マウス感染モデルを用いたいずれの実験においても、欠損株で認められた結果は野生株に似た傾向を示したが、14 日目以降の膿瘍の治癒が早まる傾向を示した。これより、hysA遺伝子が感染後期の潰瘍の形成に寄与していることが示唆された。また、免疫組織化学染色より、知必を保有していれば組織中のほぼすべてのヒアルロン酸を分解できることが示された。一方で、如必欠損株では潰瘍形成の遅延傾向およびヒアルロン酸分解量の減少傾向、好中球遊走割合の減少が認められた。これより、hysB遺伝子を保有することが感染早期の膿瘍の形成に関与していることが示唆された。生菌率が野生株およびhysA欠損株で多い傾向にあったのは、感染初期にヒアルロン酸を分解して栄養源としている、あるいは何らかの影響でphagocytosisが阻害されている可能性が考えられる。好中球の遊走割合は、野生株およびhysA&B欠損株では同様の結果が示されたため、hysB欠損株で逆の結果が示された原因は明らかにはなっていない。これはhysB遺伝子を欠損させた遺伝子配列の影響とも、ヒアルロン酸の主要な受容体であるCD 44 を介した好中球の遊走とは別の経路での好中球遊走が惹起されたとも考えられる。
 まとめると、本研究よりhysA 遺伝子が感染後期の膿瘍形成に、hysB遺伝子が感染初期の病態の増悪化に関与していることがわかった。

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